尿失禁パッドによる外陰部掻痒症のケア
看護師国家試験 第104回 午前 第57問 / 老年看護学 / 健康状態・受療状況に応じた看護
国試問題にチャレンジ
Aさん(75歳、女性)は、自立した生活を送っている。尿失禁があるため、尿失禁用パッドを使用している。大腿内側部と外陰部の掻痒感を訴え、皮膚科を受診し、外陰部掻痒症(pruritus vulvae)と診断された。 このときの指導内容で適切なのはどれか。
- 1.水分摂取を控える。
- 2.間欠的自己導尿を行う。
- 3.尿失禁用パッドの交換頻度を増やす。
- 4.掻痒感のある部位をアルコール綿で清拭する。
対話形式の解説
博士
Aさんは自立した生活を送る75歳女性で、尿失禁用パッドを使ううちに外陰部の掻痒症と診断されたんじゃ。
サクラ
パッドの中で皮膚がふやけ、尿の刺激で炎症が起きたのですね。
博士
これを失禁関連皮膚炎、英語ではIADと呼ぶんじゃよ。
サクラ
予防には何が大切でしょうか?
博士
湿潤と尿成分の刺激を減らすことじゃ。具体策は?
サクラ
パッドをこまめに交換して、皮膚を清潔・乾燥に保つことです。
博士
その通り。交換時には陰部洗浄や保護剤の塗布も組み合わせるとよいぞ。
サクラ
水分制限はどうですか?
博士
脱水や尿の濃縮を招いて、かえって皮膚刺激や尿路感染を悪化させるんじゃ。
サクラ
アルコール綿での清拭は?
博士
アルコールは刺激が強く、炎症を悪化させるから避けるべきじゃ。
サクラ
間欠的自己導尿はAさんに必要ですか?
博士
Aさんは自尿があり自立しとる。導尿の適応はないんじゃよ。
サクラ
やはり選択肢3の交換頻度を増やすのが最適ですね。
博士
ワセリンや撥水クリームなど皮膚保護剤の使用も併せて指導しよう。
サクラ
骨盤底筋訓練など失禁そのものへのアプローチも考えます。
POINT
尿失禁用パッドによる外陰部掻痒症は失禁関連皮膚炎の一種で、湿潤と尿成分の刺激が原因です。パッドの交換頻度を増やして皮膚を清潔・乾燥に保ち、優しい洗浄と保護剤塗布を組み合わせるケアが基本です。水分制限は脱水を招き不適切で、アルコール綿は刺激が強く悪化要因となります。Aさんは自立しているため自己導尿の適応もありません。失禁そのものへの介入も並行して検討しましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Aさん(75歳、女性)は、自立した生活を送っている。尿失禁があるため、尿失禁用パッドを使用している。大腿内側部と外陰部の掻痒感を訴え、皮膚科を受診し、外陰部掻痒症(pruritus vulvae)と診断された。 このときの指導内容で適切なのはどれか。
解説:正解は3です。尿失禁用パッドの長時間装着により尿が皮膚に接触し続けると、湿潤環境とアンモニア刺激で皮膚バリアが障害され掻痒症が生じます。パッド交換頻度を増やして皮膚を清潔・乾燥に保つことが最も適切な指導です。
選択肢考察
-
× 1. 水分摂取を控える。
水分制限は脱水や尿の濃縮を招き、かえって皮膚刺激や尿路感染リスクを高めます。高齢者では脱水になりやすいため、水分を控える指導は不適切です。
-
× 2. 間欠的自己導尿を行う。
間欠的自己導尿は排尿障害で残尿が多い患者に行うもので、Aさんは自尿があり自立しています。導尿は尿路感染リスクを増やし、ここでは適応がありません。
-
○ 3. 尿失禁用パッドの交換頻度を増やす。
パッド交換頻度を増やすことで皮膚の湿潤と尿成分の刺激が減り、掻痒症の軽減・予防に直結します。交換時の陰部洗浄や保湿剤・保護剤の使用も併せて指導します。
-
× 4. 掻痒感のある部位をアルコール綿で清拭する。
アルコールは皮膚刺激が強く、炎症や乾燥を悪化させます。陰部などのデリケートゾーンは弱酸性洗浄剤と微温湯で優しく洗い、しっかり乾燥させるのが適切です。
失禁関連皮膚炎(IAD)の予防には3つのケアが基本です。尿便の早期除去(こまめな交換)、優しい洗浄、皮膚保護剤(ワセリンや撥水クリーム)の塗布です。さらに尿失禁の原因評価(骨盤底筋訓練の適応など)も並行して行うと、根本的な改善につながります。
尿失禁用パッドによる失禁関連皮膚炎の予防・改善ケアとして、交換頻度の増加と皮膚保護の重要性を理解しているかを問う問題です。
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