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胃内視鏡検査と前立腺肥大症

看護師国家試験 第108回 午前 第54問 / 老年看護学 / 健康状態・受療状況に応じた看護

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第54問

Aさん(80歳、男性)は、空腹時の胃の痛みが2週間続くため受診し、1週後に胃内視鏡検査を受けることになった。 検査を受けるAさんへの看護で適切なのはどれか。

  1. 1.検査前日の夜に下剤を服用することを伝える。
  2. 2.検査前に前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)の既往の有無を確認する。
  3. 3.検査中は仰臥位の姿勢を保持する。
  4. 4.検査後はすぐに食事ができることを説明する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は80歳のAさんが胃内視鏡検査を受ける際の看護を考えるぞ。

アユム アユム

博士、正解はどれですか?

博士 博士

正解は2の「検査前に前立腺肥大症の既往の有無を確認する」じゃ。

アユム アユム

どうして前立腺肥大症を確認するんですか?

博士 博士

検査前に胃の蠕動を止めるためブスコパン(ブチルスコポラミン)という抗コリン薬を打つんじゃ。これが尿閉を起こすので前立腺肥大症には禁忌なんじゃよ。

アユム アユム

他に禁忌はありますか?

博士 博士

緑内障では眼圧上昇、頻脈性不整脈や狭心症では心負荷を増やすため禁忌じゃ。禁忌例ではグルカゴンを代替薬として使うぞ。

アユム アユム

選択肢1の前夜の下剤は?

博士 博士

下剤は大腸内視鏡で腸洗浄のために使うんじゃ。上部消化管内視鏡では不要で、前夜21時以降の絶食だけで十分じゃな。

アユム アユム

選択肢3の仰臥位は?

博士 博士

仰臥位では唾液や胃液で誤嚥しやすく、スコープも挿入しにくい。左側臥位で顎を少し引くのが基本じゃ。

アユム アユム

選択肢4の検査後すぐの食事は?

博士 博士

咽頭麻酔のキシロカインが残っていると誤嚥するんじゃ。観察のみなら約1時間、生検をしたら2時間以上の絶飲食が必要じゃぞ。

アユム アユム

検査の流れを整理するとどうなりますか?

博士 博士

前夜絶食、当日消泡剤ガスコン内服、咽頭麻酔、ブスコパン、必要に応じ鎮静薬ミダゾラム、検査、麻酔覚醒後に飲水テストという流れじゃ。

アユム アユム

高齢者では特に注意点がありますか?

博士 博士

循環動態の変動、誤嚥、鎮静薬による呼吸抑制に注意じゃ。80歳のAさんなら前立腺肥大症や心疾患の既往確認が必須じゃな。

アユム アユム

生検後の食事で気をつけることは?

博士 博士

熱いもの、辛いもの、アルコールは出血を誘発するから当日は避けるよう指導するんじゃ。

アユム アユム

覚え方のコツは?

博士 博士

「ブ(ブスコパン)は前(前立腺)緑(緑内障)心(心疾患)に注意」と語呂で覚えると良いぞ。

POINT

上部消化管内視鏡検査では抗コリン薬ブスコパンによる胃蠕動抑制が重要ですが、前立腺肥大症・緑内障・重症心疾患では禁忌となるため、高齢者では必ず既往歴を確認します。体位は左側臥位、検査後は咽頭麻酔が切れるまで絶飲食、生検後は刺激物を避けることも押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(80歳、男性)は、空腹時の胃の痛みが2週間続くため受診し、1週後に胃内視鏡検査を受けることになった。 検査を受けるAさんへの看護で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。上部消化管内視鏡検査では胃蠕動を抑える目的で抗コリン薬(ブチルスコポラミン=ブスコパン)が使用されます。抗コリン薬は前立腺肥大症・緑内障・重症心疾患(頻脈性不整脈など)で禁忌のため、高齢男性であるAさんには特に前立腺肥大症の既往の有無を必ず確認する必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  検査前日の夜に下剤を服用することを伝える。

    下剤は大腸内視鏡検査で腸管洗浄のために用いられます。上部消化管内視鏡では前日夜21時以降の絶食のみで下剤は不要であり、誤った指導です。

  2. 2.  検査前に前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)の既往の有無を確認する。

    前処置の抗コリン薬は尿閉や眼圧上昇を招くため、前立腺肥大症・緑内障・重症心疾患では禁忌です。80歳男性では前立腺肥大症の有病率が高いため、事前確認は必須で代替薬(グルカゴン)の選択にも関わります。

  3. × 3.  検査中は仰臥位の姿勢を保持する。

    検査中の体位は左側臥位です。仰臥位では唾液や胃液で誤嚥しやすく、スコープ挿入も困難になります。左側臥位で顎をやや引くことで観察と安全性が確保されます。

  4. × 4.  検査後はすぐに食事ができることを説明する。

    咽頭麻酔(キシロカインスプレー等)の効果が残っている間は誤嚥リスクが高く、観察のみなら検査後約1時間、生検を行った場合は2時間以上の絶飲食が必要です。

上部消化管内視鏡検査の前処置としては、①前夜21時以降の絶食、②当日の消泡剤(ガスコン)内服、③咽頭麻酔(キシロカインビスカス)、④鎮痙薬(ブスコパン、禁忌例ではグルカゴン)、⑤必要に応じ鎮静薬(ミダゾラム)の順で行われます。検査後は麻酔が切れてから飲水テストを行い、生検があれば熱い物や刺激物を避けるよう指導します。

高齢者の上部消化管内視鏡検査における禁忌確認(抗コリン薬と前立腺肥大症)を問う問題です。