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エリクソンの心理社会的発達理論

看護師国家試験 第107回 午前 第47問 / 老年看護学 / 高齢者の理解と生活

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第47問

老年期の心理社会的葛藤を「統合」対「絶望」と表現した人物はどれか。

  1. 1.ペック、R.C.( Peck,R.C. )
  2. 2.バトラー、R.N.( Butler,R.N. )
  3. 3.エリクソン、E.H.( Erikson,E.H. )
  4. 4.ハヴィガースト、R.J.( Havighurst,R.J. )

対話形式の解説

博士 博士

老年期の発達課題の問題じゃ。お主、エリクソンの8段階を言えるかの?

サクラ サクラ

はい、乳児期は基本的信頼対不信、幼児期初期は自律性対恥・疑惑、幼児期は積極性対罪悪感、学童期は勤勉性対劣等感、青年期は同一性確立対同一性拡散、成人前期は親密性対孤立、成人期は生殖性対停滞、そして老年期が統合対絶望です。

博士 博士

完璧じゃ!8段階の暗唱は国試の基本じゃぞ。それぞれの段階で獲得される徳は覚えておるか?

サクラ サクラ

ええと、希望、意志、目的、有能感、忠誠、愛、世話、知恵、だったと思います。

博士 博士

見事じゃ。老年期に獲得されるのが「知恵(wisdom)」じゃの。人生を肯定的に振り返り統合できれば知恵を得る、未完の思いが強ければ絶望に陥る、というわけじゃ。

サクラ サクラ

ペックさんはどういう人でしたか?

博士 博士

ペックはエリクソンの老年期を3つに細分化したのじゃ。①自我の分化対仕事役割への没頭、引退後のアイデンティティの問題。②身体の超越対身体への没頭、健康問題への向き合い方。③自我の超越対自我への没頭、死の受容じゃ。

サクラ サクラ

バトラーさんは?

博士 博士

バトラーは人生回想法(ライフレビュー)を提唱した精神科医じゃ。高齢者が過去を語ることで人生を統合していく心理療法じゃの。ちなみにエイジズム、高齢者差別という言葉もバトラーの造語じゃぞ。

サクラ サクラ

ハヴィガーストさんは発達課題論ですよね。

博士 博士

その通り。彼は人生を6段階に分け、それぞれで達成すべき具体的な課題を示した。老年期では退職への適応、配偶者の死への適応、同年代集団との親和、社会的役割の柔軟な受容などじゃ。

サクラ サクラ

活動理論もハヴィガーストでしたよね?

博士 博士

そうじゃ。高齢者が活動的に社会参加するほどQOLが高まるという理論じゃ。対比されるのがカミングとヘンリーの離脱理論、加齢とともに社会的役割から徐々に離脱するのが自然で適応的、という理論じゃ。

サクラ サクラ

老年看護学では人物と理論のセットで覚えるのが効率的ですね。

博士 博士

その通り。国試では頻出じゃから、カード化して覚えるとよいぞ。

サクラ サクラ

エリクソンの理論は何歳頃の著作ですか?

博士 博士

主著は1950年代じゃが、晩年の90代で自ら老年期を体験しながら理論を補完した。ジョアンとの共著『老年期』も有名じゃ。

サクラ サクラ

自分で体験しながら理論化するってすごいですね。

博士 博士

理論と実践の融合、看護にも通じる姿勢じゃの。

POINT

老年期の心理社会的葛藤「統合対絶望」を提唱したのはエリクソンです。彼はライフサイクルを8段階に分け、各段階で乗り越えるべき発達課題を設定し、老年期では人生の受容を通じて「知恵」という徳を獲得するとしました。関連する人物として、ペックは老年期課題を3つに細分化、バトラーは人生回想法とエイジズムを提唱、ハヴィガーストは発達課題論と活動理論を展開しています。人物と理論をセットで覚えることが老年看護学の学習ポイントです。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:老年期の心理社会的葛藤を「統合」対「絶望」と表現した人物はどれか。

解説:正解は3のエリクソン(Erikson,E.H.)です。エリクソンはライフサイクルを8段階に分け、それぞれの段階に固有の心理社会的危機(発達課題)が存在するとしました。老年期(第8段階、65歳以降)では「統合(integrity)」対「絶望(despair)」が課題となり、これまでの人生を肯定的に振り返り受容できれば統合感と「知恵(wisdom)」という徳(人格的活力)を獲得できる一方、後悔や未完の思いが強ければ絶望に陥るとしました。8段階とは乳児期「基本的信頼対不信」、幼児期初期「自律性対恥・疑惑」、幼児期「積極性対罪悪感」、学童期「勤勉性対劣等感」、青年期「同一性確立対同一性拡散」、成人前期「親密性対孤立」、成人期「生殖性対停滞」、老年期「統合対絶望」です。

選択肢考察

  1. × 1.  ペック、R.C.( Peck,R.C. )

    ペックはエリクソンの老年期理論を発展させ、老年期の課題を①自我の分化対仕事役割への没頭、②身体の超越対身体への没頭、③自我の超越対自我への没頭の3つに細分化しました。

  2. × 2.  バトラー、R.N.( Butler,R.N. )

    バトラーは高齢者の人生回想法(ライフレビュー)を提唱した精神科医です。人生の回顧が老年期の心理的統合に寄与するとし、エイジズム(高齢者差別)の概念も提唱しました。

  3. 3.  エリクソン、E.H.( Erikson,E.H. )

    エリクソンは心理社会的発達理論を提唱し、ライフサイクルの8段階それぞれに発達課題を設定しました。老年期の課題が「統合対絶望」で、獲得される徳は「知恵」です。

  4. × 4.  ハヴィガースト、R.J.( Havighurst,R.J. )

    ハヴィガーストは発達課題論を提唱し、人生を6段階に分け各段階で達成すべき具体的課題を示しました。老年期では引退への適応、配偶者の死への適応、同年代との親和などを発達課題としています。

エリクソンの8段階発達課題の語呂:「信じて自律、積極勤勉、アイデンティティ親密に、世代継いで統合へ」。老年期に関連する人物は①エリクソン:統合対絶望、②ペック:3つの適応課題、③バトラー:ライフレビュー、④ハヴィガースト:発達課題論、⑤カミング&ヘンリー:離脱理論、⑥ハヴィガースト:活動理論、とセットで覚えると国試対策に有効です。

エリクソンの心理社会的発達理論、特に老年期の発達課題「統合対絶望」を提唱した人物を問う基本問題です。