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老化で減るもの増えるもの、体の中で起きている変化を整理しよう

看護師国家試験 第109回 午後 第55問 / 老年看護学 / 高齢者の理解と生活

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第55問

老化によって減少または低下するのはどれか。

  1. 1.重心の動揺
  2. 2.糸球体の数
  3. 3.嗅覚の閾値
  4. 4.前立腺の重量

対話形式の解説

博士 博士

今日は加齢による身体変化の問題じゃ。老化で「減少または低下」するのはどれか、という問いじゃが、答えはどれだと思うかね?

サクラ サクラ

糸球体の数…ですかね?腎臓は年をとると悪くなるイメージがあります。

博士 博士

正解じゃ!2の糸球体の数が減少する。腎臓は30〜40歳をピークにネフロンが徐々に失われていくのじゃ。

サクラ サクラ

ネフロンって何でしたっけ?

博士 博士

糸球体と尿細管を合わせた腎臓の基本単位じゃ。片方の腎臓に約100万個あり、尿をつくる工場と考えればよい。

サクラ サクラ

それが年とともに減ると、どんな不都合があるんですか?

博士 博士

糸球体濾過量が下がり、腎排泄性の薬が体内に溜まりやすくなる。尿濃縮力も落ちて夜間頻尿、脱水、電解質異常を起こしやすい。

サクラ サクラ

他の選択肢はどう考えればいいんですか?

博士 博士

1の重心の動揺は「増加」じゃ。下肢筋力・前庭機能・視覚・深部感覚が落ちて立位が不安定になる。転倒リスクの源泉じゃな。

サクラ サクラ

3の嗅覚の閾値は?

博士 博士

閾値とは感じ取れる最小濃度のこと。加齢で嗅神経が変性すると、より強い匂いでないと感じないから閾値は「上昇」する。感覚そのものは鈍くなるわけじゃ。

サクラ サクラ

ややこしいですね…閾値が上がる=鈍くなる、と覚えます。

博士 博士

その通り。視覚・聴覚・味覚・嗅覚すべてで閾値は上昇すると整理しておこう。

サクラ サクラ

4の前立腺はどうですか?

博士 博士

前立腺は加齢で肥大し重量が増す。いわゆる前立腺肥大症で、60代では半数以上の男性に認められる。尿閉・残尿・頻尿の原因じゃ。

サクラ サクラ

減るものと増えるものを整理すると覚えやすいですね。

博士 博士

うむ。減るもの:糸球体、GFR、肺活量、骨密度、筋量、免疫、唾液。増えるもの:感覚閾値、前立腺、収縮期血圧、動脈硬化度、体脂肪率、残気量、重心動揺。対比で覚えるのが近道じゃ。

サクラ サクラ

加齢って単純に「衰える」だけじゃないんですね。臓器ごとに方向性が違うのは面白いです。

博士 博士

そこが老年看護の醍醐味じゃよ。個別性を捉えてケアに活かしてほしい。

POINT

老化による身体変化は臓器や機能によって方向性が異なります。減少・低下するのは糸球体数・糸球体濾過量・肺活量・骨密度・筋量・免疫機能・唾液分泌などで、本問の正解は「糸球体の数」です。一方で重心動揺・感覚閾値(視・聴・味・嗅覚)・前立腺重量・収縮期血圧・動脈硬化度は増加・上昇します。特に感覚閾値は「上がる=感じにくくなる」点が混同されやすく、嗅覚・味覚低下は食欲不振や誤嚥にも関わる重要視点です。高齢者看護では、こうした変化を理解したうえで転倒予防・薬剤投与量調整・脱水予防・栄養管理など、個別性の高いケアを組み立てることが求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:老化によって減少または低下するのはどれか。

解説:正解は2の糸球体の数である。腎臓は加齢とともに腎重量が低下し、糸球体硬化や線維化によりネフロン(糸球体+尿細管)の数が徐々に減少していく。一般に30〜40歳をピークに糸球体数・糸球体濾過量(GFR)ともに減少し、高齢者では腎血流量も若年者の約半分程度に低下する。この結果、薬物排泄能の低下(腎排泄性薬剤の蓄積リスク)、尿濃縮力低下による夜間頻尿、水・電解質異常の起こりやすさが生じ、看護では高齢者の水分管理と薬剤投与量の調整が重要となる。

選択肢考察

  1. × 1.  重心の動揺

    加齢により下肢筋力・前庭機能・視覚・深部感覚が低下し、静止立位でも重心動揺は大きくなる。つまり「増加」する指標であり、低下はしない。転倒リスクを高める要因となる。

  2. 2.  糸球体の数

    加齢に伴い糸球体硬化と腎実質の萎縮が進行し、機能的糸球体数は減少する。これにより糸球体濾過量が低下し、腎機能全体が緩やかに落ちていく。

  3. × 3.  嗅覚の閾値

    閾値とは感知できる最小の刺激強度のこと。加齢で嗅神経や嗅上皮が変性すると、においを感じるのに必要な濃度が高くなる=閾値は「上昇」する(感覚は鈍くなる)。

  4. × 4.  前立腺の重量

    前立腺は40歳以降肥大し、多くの高齢男性で良性前立腺肥大症となる。重量・体積ともに増加する臓器で、尿閉や排尿障害の原因となる。

加齢による生理機能の変化は臓器ごとに方向性が異なる。減少・低下するもの:腎糸球体数、GFR、心拍出量予備、肺活量、骨密度、筋量(サルコペニア)、免疫機能、唾液分泌、皮下脂肪以外の脂肪を除く体重、記憶の一部。増加・上昇するもの:感覚閾値(視・聴・味・嗅覚すべて)、前立腺重量、収縮期血圧、血管壁の硬さ、体脂肪率、残気量、重心動揺。減少・増加の方向性を体系的に整理すると国試での応用が効く。

加齢による臓器・機能の変化の方向性を問う基本問題。糸球体数は減少、感覚閾値・前立腺・重心動揺は増加、というパターンを整理して覚えることが重要。