内臓脂肪はどう測る?CTと腹囲のコンビで見抜くメタボの正体
看護師国家試験 第114回 午後 第85問 / 健康支援と社会保障制度 / 生活者の健康増進
国試問題にチャレンジ
内臓脂肪の蓄積を推定するために用いるのはどれか。2つ選べ。
- 1.身長
- 2.体重
- 3.腹部CT
- 4.腹囲<ウエスト周囲長>
- 5.血中トリグリセライド値
対話形式の解説
博士
今回は内臓脂肪の評価方法じゃ。メタボリックシンドロームの中心テーマじゃよ。
サクラ
内臓脂肪と皮下脂肪って何が違うんですか?
博士
皮下脂肪は皮膚の下、内臓脂肪は腹腔内の臓器の周りにつく脂肪じゃ。内臓脂肪のほうが代謝活性が高く、生活習慣病のリスクと直結する。
サクラ
体重で評価できるんじゃないんですか?
博士
体重には筋肉や骨、水分、皮下脂肪も含まれる。だから体重だけでは内臓脂肪量はわからん。
サクラ
BMIならどうですか?身長と体重から計算するやつ。
博士
BMIは肥満度の目安にはなるが、内臓脂肪と皮下脂肪の区別はできない。「隠れ肥満」と言って、BMIが正常でも内臓脂肪が多い人もおる。
サクラ
では何で測るんですか?
博士
最も精度が高いのは腹部CTじゃ。臍の高さの横断像で内臓脂肪面積を直接計測できる。100cm²以上で内臓脂肪型肥満と診断するのじゃ。
サクラ
CTって被ばくしますよね。健診で全員に使うのは難しそうです。
博士
鋭い指摘。だから簡便な代替として腹囲(ウエスト周囲長)が使われる。男性85cm以上、女性90cm以上が目安じゃ。
サクラ
男性のほうが基準値が小さいんですか?
博士
そうじゃ。男性のほうが内臓脂肪がつきやすい体質で、女性は皮下脂肪が多くなる傾向がある。だから基準が違うのじゃ。
サクラ
血中トリグリセライドはどうですか?脂質ですよね。
博士
TGは脂質代謝異常の指標で、メタボの診断項目の一つにはなるが、内臓脂肪量そのものを推定する指標ではない。
サクラ
メタボリックシンドロームの診断基準を整理してもらえますか?
博士
日本基準では必須項目が腹囲(男性85cm以上・女性90cm以上)。これに(1)脂質異常、(2)血圧上昇、(3)空腹時高血糖、のうち2項目以上で診断じゃ。
サクラ
腹囲が必須なんですね。やはり内臓脂肪が中心なんだ。
博士
その通り。内臓脂肪は減らせば改善する。看護師としては食事・運動指導が大切な役割じゃな。
POINT
内臓脂肪の蓄積を評価する方法として、最も精度が高いのは腹部CTで、臍レベルの横断像から内臓脂肪面積を直接計測し100cm²以上で内臓脂肪型肥満と診断します。一方、簡便で集団健診に広く用いられるのが腹囲(ウエスト周囲長)で、男性85cm以上・女性90cm以上が内臓脂肪蓄積の目安となり、メタボリックシンドロームの必須項目にもなっています。身長や体重、BMIだけでは内臓脂肪と皮下脂肪を区別できず、血中トリグリセライド値もメタボの診断項目ではあるものの内臓脂肪量を直接示す指標ではありません。看護師は腹囲測定の意義を理解し、対象者の生活習慣指導に活かすことが求められます。
解答・解説
正解は 3 ・ 4 です
問題文:内臓脂肪の蓄積を推定するために用いるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 の「腹部CT」と 4 の「腹囲<ウエスト周囲長>」です。内臓脂肪の蓄積はメタボリックシンドロームや生活習慣病の中心的なリスク因子であり、その評価には直接的方法と間接的方法があります。腹部CTでは臍レベルの横断像から内臓脂肪面積を直接計測でき、100cm²以上で内臓脂肪型肥満と診断されます。一方、腹囲(ウエスト周囲長)は簡便で非侵襲的な間接的指標で、立位・呼気時に臍の高さで測定し、男性85cm以上・女性90cm以上が内臓脂肪蓄積の目安となります。
選択肢考察
-
× 1. 身長
身長は体格指数(BMI)の算出に必要だが、それ単独では内臓脂肪の蓄積を推定することはできない。
-
× 2. 体重
体重には筋肉・骨・水分・皮下脂肪なども含まれ、内臓脂肪量を直接反映しない。BMIと組み合わせても内臓脂肪と皮下脂肪の区別はできない。
-
○ 3. 腹部CT
腹部CTの臍レベル横断像で内臓脂肪面積を直接定量できる最も精度の高い方法。100cm²以上で内臓脂肪型肥満と診断される。被ばくや費用の問題はあるが、隠れ肥満の検出にも有用。
-
○ 4. 腹囲<ウエスト周囲長>
簡便・非侵襲的で集団健診に広く使われる間接的指標。臍の高さで測定し、男性85cm以上・女性90cm以上で内臓脂肪蓄積を疑う。メタボリックシンドロームの必須項目でもある。
-
× 5. 血中トリグリセライド値
脂質代謝異常の指標であり、メタボリックシンドロームの診断項目の一つ。内臓脂肪蓄積と関連はあるが、TG値そのものから内臓脂肪量を推定する指標ではない。
メタボリックシンドロームの診断基準(日本基準)では、必須項目として腹囲(男性85cm以上・女性90cm以上)が定められ、これに加えて(1)高トリグリセライド血症かつ/または低HDL血症、(2)血圧上昇、(3)空腹時高血糖、のうち2項目以上を満たすことで診断される。腹囲は内臓脂肪面積100cm²に相当する値として設定されている点を押さえておきたい。実臨床では健診で腹囲をスクリーニングし、必要に応じて腹部CTで精査する流れが一般的である。
内臓脂肪を直接または間接的に評価する指標を問う問題。BMIや血液検査では内臓脂肪は推定できず、腹囲・腹部CTが用いられる点を理解しているかがカギ。
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