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日本の死因はどう変わった?老衰急増の意外な真実

看護師国家試験 第114回 午後 第80問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康と公衆衛生

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第80問

日本の人口動態統計の死因別死亡率の年次推移をグラフに示す。 Cの死因はどれか。

日本の人口動態統計の死因別死亡率の年次推移をグラフに示す。 Cの死因はどれか。
  1. 1.肺炎(pneumonia)
  2. 2.老衰
  3. 3.心疾患(heart disease)
  4. 4.脳血管疾患(cerebrovascular disease)
  5. 5.悪性新生物<腫瘍>(malignant neoplasm)

対話形式の解説

博士 博士

今回は人口動態統計の死因別死亡率の年次推移グラフを読み解くのじゃ。

アユム アユム

死因の順位って毎年同じじゃないんですか?

博士 博士

いやいや、時代とともに大きく変動しておるのじゃ。1950年代は結核が死因第1位だったし、1970年代までは脳血管疾患が首位だった時代もあるのじゃ。

アユム アユム

え、そんなに変わるんですか!

博士 博士

戦後の感染症対策、降圧治療の普及、生活習慣の変化、高齢化など、医療と社会の変化が死因にも反映されるのじゃ。

アユム アユム

今の順位はどうなっているんですか?

博士 博士

2024年時点で第1位 悪性新生物(約38万人)、第2位 心疾患(約23万人)、第3位 老衰(約20万人)、第4位 脳血管疾患、第5位 肺炎じゃ。

アユム アユム

老衰が3位なんですね!意外です。

博士 博士

そう、ここが今回の問題のキーなのじゃ。老衰は2000年代までは低位だったが、2010年代後半から急上昇し、2018年には脳血管疾患を抜いて第3位になったのじゃ。

アユム アユム

なんで急に増えたんですか?

博士 博士

2つの要因があるのじゃ。1つは超高齢化で90代・100代の死亡が増えたこと。もう1つは「老衰死」と診断するケースが増えた診断慣行の変化じゃ。

アユム アユム

診断のしかたが変わったんですね。

博士 博士

うむ。以前は何かしら病名を付けていたケースを、近年は明確な疾患がない高齢者に「老衰」と記載することが増えておる。

アユム アユム

じゃあ問題のCは老衰ということですね。

博士 博士

その通り。Cは2010年代後半から急上昇するカーブを示すから老衰じゃ。

アユム アユム

他のグラフも整理してください。

博士 博士

Aは最上位を一貫して走る悪性新生物。Bは緩やかに上昇する心疾患。Dは1970年代以降減少してきた脳血管疾患。Eは2000年代に上昇後、近年減少している肺炎じゃ。

アユム アユム

肺炎が減ったのには理由がありますか?

博士 博士

肺炎球菌ワクチンの普及と、2017年の死因分類改訂で誤嚥性肺炎が独立分類されたことが大きいのじゃ。

アユム アユム

統計の見方には診断分類の変化も影響するんですね。

博士 博士

その通り。だから死因統計を読むときは「年次推移のカーブ」「分類の変更」「社会背景」をセットで考えるのが鉄則じゃ。

アユム アユム

看護師としても、人口動態の変化は地域看護や政策の理解に欠かせませんね。

博士 博士

うむ。健康日本21(第三次)では引き続き生活習慣病対策が重点じゃが、超高齢化に伴う「人生の最終段階」のケアも今後ますます重要になるのじゃ。

POINT

日本の死因別死亡率の年次推移では、悪性新生物が1981年以降一貫して第1位を占め、心疾患が第2位を維持、老衰は2010年代後半から急上昇して2018年に脳血管疾患を抜いて第3位となりました。グラフCのような近年の急上昇カーブを示すのは老衰であり、その背景には超高齢化の進行と「老衰死」と診断する慣行の浸透があります。脳血管疾患は降圧治療の普及で減少、肺炎は肺炎球菌ワクチンの普及や2017年の死因分類改訂(誤嚥性肺炎の独立)で減少傾向にあります。死因統計を読み解くには年次推移のカーブだけでなく、分類変更や社会的背景を含めた総合的視点が必要であり、看護師は地域看護・公衆衛生・政策理解の基礎として人口動態の変化を押さえておく必要があります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:日本の人口動態統計の死因別死亡率の年次推移をグラフに示す。 Cの死因はどれか。

解説:正解は 2 です。日本の死因別死亡率の年次推移グラフでは、悪性新生物が1981年以降一貫して第1位を占め急上昇している。心疾患は第2位を維持し緩やかに上昇、脳血管疾患は1970年代までトップだったが治療改善で減少傾向、肺炎は2000年代に上昇後、ワクチン普及や定義変更で2010年代後半から減少。一方「老衰」は2000年代までは低位だったが、2010年代以降に急増し、2018年に脳血管疾患を抜いて第3位、その後さらに上昇している。Cはこの「2010年代後半から急上昇」のパターンを示すため老衰に該当する。

選択肢考察

  1. × 1.  肺炎(pneumonia)

    肺炎は2000年代に上昇したが肺炎球菌ワクチンの普及や2017年の死因分類変更(誤嚥性肺炎の独立分類)により近年は減少〜横ばい。Cの急上昇パターンとは一致しない。

  2. 2.  老衰

    高齢化の進行と「老衰」と診断するケースの増加により、2010年代後半から急速に上昇。2018年に脳血管疾患を抜いて第3位となり、近年は心疾患に次ぐ位置に迫る勢いを示す。Cの急上昇カーブと合致する。

  3. × 3.  心疾患(heart disease)

    心疾患は1985年以降ほぼ第2位を維持し、緩やかに上昇している。Cのような近年の急上昇カーブではなく、グラフBに該当する。

  4. × 4.  脳血管疾患(cerebrovascular disease)

    脳血管疾患は1970年代まで死因第1位だったが、降圧治療の普及などで減少し続けている。Cのような上昇カーブではなく、グラフDに該当する。

  5. × 5.  悪性新生物<腫瘍>(malignant neoplasm)

    悪性新生物は1981年以降一貫して第1位で、最も高い死亡率を示す。Cではなく最上位の線(グラフA)に該当する。

2024年(令和6年)の死因順位(概数):第1位 悪性新生物(約38万人)、第2位 心疾患(約23万人)、第3位 老衰(約20万人)、第4位 脳血管疾患(約11万人)、第5位 肺炎(約7万人)。老衰の急増は超高齢化と「老衰死」を選択する診断慣行の浸透が背景にある。2017年の死因分類改訂で誤嚥性肺炎が肺炎から分離されたため、肺炎の数値が下がった点も見逃せない。健康日本21(第三次)では生活習慣病(がん・心疾患・脳血管疾患)対策が引き続き重点課題である。

近年の死因別死亡率の年次推移、特に「2010年代後半からの老衰の急増」というトレンドを把握しているかを問う公衆衛生の頻出問題。