保健統計の指標を一気に整理 受療率は人口10万対で表す
看護師国家試験 第112回 午後 第33問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康と公衆衛生
国試問題にチャレンジ
健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。
- 1.罹患率が高い疾患は有病率が高くなる。
- 2.推計患者数には助産所を利用した者を含む。
- 3.受療率は人口10万人に対する推計患者数である。
- 4.平均在院日数は調査時点で入院している者の在院日数の平均である。
対話形式の解説
博士
今日は保健統計の基本指標を総ざらいするぞ。罹患率、有病率、受療率、平均在院日数はそれぞれ定義が微妙に違うから、しっかり区別するのじゃ。
サクラ
罹患率と有病率って似てますけど、どう違うんですか?
博士
罹患率は「一定期間に新しく発生した患者」の割合、有病率は「ある時点で病気を持っている人」の割合じゃ。時間の幅があるか、瞬間を切り取るかの違いじゃな。
サクラ
じゃあ罹患率が高ければ必ず有病率も高い、とは言えないんですね。
博士
その通りじゃ。例えばインフルエンザは冬に罹患率がドーンと上がるが、数日で治るから有病率はそれほど高くならん。逆に糖尿病は罹患率は緩やかでも一生付き合う病気だから有病率は高くなる。
サクラ
慢性か急性かで、関係が変わるんですね。受療率の定義は?
博士
受療率は患者調査の指標で、調査日に医療機関を受けた推計患者数を人口10万対で表す。計算式は「推計患者数÷推計人口×100,000」じゃ。
サクラ
「人口10万人あたり」って、何人に1人みたいな指標の変形ですね。
博士
そうじゃ。割合が小さいと見にくいので、人口10万で割って整数近い形にするのじゃ。選択肢3はまさにこの定義通り。
サクラ
推計患者数は助産所も含むんですか?
博士
含まん。患者調査の対象は病院、一般診療所、歯科診療所の3種類じゃ。助産所・薬局・介護施設は含まれない点を押さえておくのじゃ。
サクラ
平均在院日数の計算はどうなっていますか?
博士
「在院患者延数÷(新入院+退院)×1/2」が病院報告の式じゃ。「調査時点で入院している人の日数の平均」ではないぞ。既に退院した人の入院日数も含めて計算する。
サクラ
少し複雑ですね。何のために使う数字なんですか?
博士
地域医療構想や診療報酬改定の議論に使う重要指標じゃ。日本は先進国の中でも平均在院日数が長かったが、DPC導入や地域包括ケアの推進で年々短縮傾向にある。
サクラ
疫学用語はとっつきにくいですけど、概念が分かると楽しいですね。
博士
その通り。指標の裏には「何を測りたいか」という発想がある。定義だけでなく用途まで理解すると一生使える知識になるぞ。
POINT
保健統計の基本指標には、一定期間の新規発生者の割合を示す罹患率、ある時点の患者の割合を示す有病率、人口10万対で示される受療率、そして退院患者の入院期間を平均した平均在院日数があります。受療率は患者調査において「推計患者数÷推計人口×100,000」で計算され、入院受療率・外来受療率として地域の医療需要把握に用いられます。推計患者数の対象は病院・一般診療所・歯科診療所に限られ、助産所は含まれません。看護師国家試験ではこれら疫学・統計用語の定義が繰り返し出題されており、概念の違いを整理して覚えることが公衆衛生分野攻略の基本となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。受療率は患者調査において、調査日に医療機関(病院・一般診療所・歯科診療所)で受療した推計患者数を人口10万人あたりで表した指標である。計算式は「受療率(人口10万対)=推計患者数/推計人口×100,000」で、入院・外来別に集計される。
選択肢考察
-
× 1. 罹患率が高い疾患は有病率が高くなる。
罹患率は一定期間に新たに発生した患者数の割合、有病率はある時点で疾患を有している人の割合を指し、両者は概念が異なる。罹患率が高くても経過が短い疾患(インフルエンザなど)では有病率は必ずしも高くならない。
-
× 2. 推計患者数には助産所を利用した者を含む。
患者調査における推計患者数は病院・一般診療所・歯科診療所を対象とし、助産所や薬局などは含まれない。分娩目的のみで助産所を訪れた者は集計対象外。
-
○ 3. 受療率は人口10万人に対する推計患者数である。
受療率は調査日の推計患者数を人口10万対で示した指標で、医療需要の把握や施策立案の基礎データとなる。入院受療率・外来受療率として算出される。
-
× 4. 平均在院日数は調査時点で入院している者の在院日数の平均である。
平均在院日数は一定期間に退院した患者の入院期間の平均で計算される。「在院患者延数/(新入院患者数+退院患者数)×1/2」の式で算出するのが病院報告の方法。
罹患率(incidence)と有病率(prevalence)の関係は「有病率 ≒ 罹患率 × 平均有病期間」で近似される。したがって慢性疾患は罹患率が低くても有病期間が長いため有病率が高く、急性疾患は罹患率が高くても短期で回復するため有病率は低い。疫学の基本概念として国試頻出である。
疫学・保健統計の基本指標(罹患率・有病率・受療率・平均在院日数)の定義を問う問題。それぞれの分母・分子と測定時点の違いを正確に理解しておくことが重要。
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