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チェーンソーと白蝋病 振動障害とレイノー現象の関係

看護師国家試験 第106回 午後 第66問 / 健康支援と社会保障制度 / 保健活動の基盤と制度

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第66問

チェーンソーの使用によって生じるのはどれか。

  1. 1.じん肺( pneumoconiosis )
  2. 2.視力低下
  3. 3.心筋梗塞( myocardial infarction )
  4. 4.肘関節の拘縮
  5. 5.Raynaud〈レイノー〉現象

対話形式の解説

博士 博士

今回は職業性疾患の問題じゃ。チェーンソーと言えば何を思い浮かべる?

アユム アユム

林業、木を切る…くらいしか。

博士 博士

林業従事者に多い職業病があるのじゃ。『白蝋病』と呼ばれ、別名『振動障害』という。

アユム アユム

白蝋病?白い蝋のような…?

博士 博士

その通り、寒冷や振動の刺激で手指の動脈が攣縮して真っ白になることから名付けられた。これを『レイノー現象』と呼ぶぞ。

アユム アユム

聞いたことあります!色が三段階に変化するんですよね?

博士 博士

そう、蒼白→紫(チアノーゼ)→紅潮の三相性変化が典型じゃ。加えてしびれ、冷感、疼痛もある。

アユム アユム

なぜチェーンソーで起こるんですか?

博士 博士

チェーンソーは激しい振動を発する工具じゃ。長時間手で握り続けると、振動が末梢血管や神経を傷つけ、血管が攣縮しやすくなる。

アユム アユム

他の振動工具でも起こりますか?

博士 博士

削岩機、グラインダー、チッピングハンマー、ブッシュクリーナー(草刈り機)など、振動工具全般で生じうる。

アユム アユム

これは労災の対象ですか?

博士 博士

そうじゃ、労災認定の対象疾患で、定期的な振動健診も制度化されておる。

アユム アユム

予防にはどうすればいいですか?

博士 博士

①振動工具の軽量化・低振動化、②連続作業時間の制限(1日2時間以内など)、③寒冷曝露を避ける、④防振手袋の着用、⑤禁煙(血管攣縮を悪化させる)、⑥定期健診、この6点が柱じゃ。

アユム アユム

禁煙も大事なんですね。ニコチンで血管が収縮するから?

博士 博士

その通り、症状を悪化させるからのう。

アユム アユム

他の選択肢も見ていいですか?じん肺は?

博士 博士

じん肺は粉じん吸入による肺の線維増殖性変化じゃ。鉱山、トンネル工事、陶磁器製造、アスベスト曝露などで生じる。チェーンソーとは無関係じゃな。

アユム アユム

VDT症候群は画面作業ですよね?

博士 博士

そう、Visual Display Terminal症候群。眼精疲労、視力低下、肩こり、頸肩腕障害などを引き起こす現代の職業病じゃ。

アユム アユム

職業病って原因と疾患のペアで覚えるといいですね。

博士 博士

その通り。粉じん→じん肺、振動→振動障害、騒音→騒音性難聴、画面→VDT症候群、高温→熱中症、有機溶剤→中毒、電離放射線→がん、といった具合じゃ。

アユム アユム

看護師の職業病は何ですか?

博士 博士

腰痛、針刺し事故、感染症曝露、夜勤による概日リズム障害、化学療法薬の曝露などじゃ。自分の身を守る知識も大事じゃよ。

アユム アユム

産業保健って看護師にも関わる分野なんですね。

POINT

チェーンソーなどの振動工具を長期に使用することで生じる代表的な職業病が『振動障害(白蝋病)』で、その中核症状がレイノー現象です。寒冷や振動刺激により手指末梢動脈が攣縮し、蒼白→チアノーゼ→紅潮の三相性の色調変化と、しびれ・冷感・疼痛を生じます。労災認定対象疾患で、林業従事者などに多く見られます。予防には振動工具の改善、作業時間制限、寒冷回避、防振手袋、禁煙、定期健診が重要です。国試では職業病と原因のペア(じん肺=粉じん、振動障害=振動工具、VDT症候群=画面作業、騒音性難聴=騒音など)を整理して押さえるのが効率的です。

解答・解説

正解は 5 です

問題文:チェーンソーの使用によって生じるのはどれか。

解説:正解は 5 です。チェーンソーや削岩機、グラインダーといった振動工具を長時間使用することで生じる職業性疾患を『振動障害(白蝋病)』と呼ぶ。その中核症状がレイノー現象で、寒冷や振動の刺激により手指の末梢動脈が攣縮し、蒼白→チアノーゼ(紫)→紅潮の三相性の色調変化と、冷感・しびれ・疼痛を生じる。林業従事者の典型的な職業病として知られ、労災認定の対象である。

選択肢考察

  1. × 1.  じん肺( pneumoconiosis )

    じん肺は粉じん(シリカ、アスベスト、石炭粉じんなど)の長期吸入により肺に線維増殖性変化が生じる職業性肺疾患。鉱山労働者、トンネル工事作業者、陶磁器製造従事者などが典型で、振動工具とは無関係。

  2. × 2.  視力低下

    視力低下を伴う職業病としてはVDT症候群(パソコン等の画面を長時間見ることで生じる)が代表的。チェーンソー作業と直接関係はない。

  3. × 3.  心筋梗塞( myocardial infarction )

    心筋梗塞は冠動脈の動脈硬化が主因で、生活習慣(喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病)との関連が強い。チェーンソーの使用で特異的に生じる疾患ではない。

  4. × 4.  肘関節の拘縮

    振動障害では末梢神経障害や筋骨格系障害が起こりうるが、肘関節の拘縮は特異的ではない。拘縮は外傷後の不動やリウマチなどで生じやすい。

  5. 5.  Raynaud〈レイノー〉現象

    正しい。振動工具の長時間使用により血管攣縮が起こり、寒冷曝露で誘発されるレイノー現象(手指の蒼白発作、白蝋病)を呈する。振動障害の代表的症状。

振動障害(局所振動障害)は、末梢循環障害(レイノー現象)、末梢神経障害(しびれ、感覚鈍麻)、筋骨格系障害(手指・肘関節の関節痛、変形)の3つの要素からなる。労災認定の対象で、予防には①振動工具の軽量化、②連続作業時間の制限、③寒冷曝露を避ける、④防振手袋の着用、⑤定期健康診断(振動健診)などが重要。職業病と原因の組合せはじん肺(粉じん)、振動障害(振動工具)、VDT症候群(画面作業)、難聴(騒音)、熱中症(高温環境)などをセットで覚える。

振動工具の代表例であるチェーンソーが引き起こす職業病を問う問題。振動障害=レイノー現象=白蝋病の連想で解ける。