労働安全衛生法と労働三法の整理
看護師国家試験 第106回 午後 第36問 / 健康支援と社会保障制度 / 保健活動の基盤と制度
国試問題にチャレンジ
職業病や労働災害の防止、より健康的な労働環境の確保および労働者の健康の向上を目的としている法律はどれか。
- 1.労働組合法
- 2.労働基準法
- 3.労働安全衛生法
- 4.労働関係調整法
対話形式の解説
博士
今回は労働関係の法律じゃ。似た名前が多いから混乱しやすいぞ。
アユム
労働基準法・労働組合法・労働安全衛生法…どれも『労働』で始まりますね。
博士
うむ、整理の第一歩は『労働三法』を理解することじゃ。労働三法は労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の3つを指す。
アユム
安衛法は入っていないんですか?
博士
そうじゃ。安衛法は1972年に労基法から分離独立した法律で、労働三法とは別枠じゃ。
アユム
なぜ分離したんですか?
博士
高度経済成長期に労働災害や職業病が急増し、労基法だけでは対応しきれなくなったからじゃ。専門的・技術的な規制が必要になり独立したのじゃ。
アユム
では各法律の目的を教えてください。
博士
労基法は『労働条件の最低基準』。賃金・労働時間・休日・有給休暇・解雇などを規定する。
アユム
労働組合法は?
博士
労働者の『団結権・団体交渉権・争議権』を保障する法律じゃ。組合結成や団体交渉、不当労働行為の禁止を定める。
アユム
労働関係調整法は?
博士
労働争議の予防・解決を扱う。斡旋・調停・仲裁という3段階の手続きがあり、労働委員会が動く。
アユム
そして労働安全衛生法が『安全と健康』の確保ですね。
博士
その通りじゃ。作業環境管理・作業管理・健康管理という『労働衛生の3管理』が柱じゃ。
アユム
作業環境管理って、例えば何ですか?
博士
粉じんや化学物質の濃度測定、騒音・振動・放射線の管理などじゃ。看護師なら放射線管理区域での被ばく管理が該当する。
アユム
健康管理は定期健診ですね。
博士
うむ、年1回の定期健診、特定業務従事者の6か月健診、2015年からのストレスチェック(労働者50人以上の事業所で義務)などじゃ。
アユム
看護師も対象労働者ですよね。
博士
その通り。夜勤従事者は特定業務従事者として6か月ごとの健診対象じゃ。腰痛予防や感染対策も安衛法の枠組みで行われる。
アユム
働き方改革関連法はどれと関係しますか?
博士
2019年施行の働き方改革関連法は労基法と安衛法の両方を改正したもので、時間外労働の上限規制や医師の面接指導義務などを強化したのじゃよ。
POINT
労働安全衛生法は1972年に労働基準法から分離独立し、職場の安全と健康の確保、労働災害防止、快適な職場環境の形成を目的としています。本問の正解は選択肢3で、作業環境管理・作業管理・健康管理という労働衛生の3管理が運用の柱です。労働三法(労基法・労組法・労調法)との違いを整理し、それぞれの目的を区別できることが法規問題のコツです。看護師自身も労働者として法の保護下にあり、夜勤・ストレスチェック・定期健診などの現場運用を理解することは、自身のキャリアと患者安全の両面で欠かせません。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:職業病や労働災害の防止、より健康的な労働環境の確保および労働者の健康の向上を目的としている法律はどれか。
解説:正解は3です。労働安全衛生法(安衛法)は1972年に労働基準法から分離独立した法律で、第1条に『労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化および自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする』と明記されています。この法律の下で、作業環境管理・作業管理・健康管理の『労働衛生の3管理』が実施されます。
選択肢考察
-
× 1. 労働組合法
労働組合の結成、団体交渉、労働協約、不当労働行為の禁止など、労働者の団結権・団体交渉権を保障する法律。労働者の地位向上が目的であり、安全衛生は対象外。
-
× 2. 労働基準法
労働条件の最低基準を定める法律。賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、解雇、災害補償などを規定する。1947年制定。安全衛生に関する詳細は1972年に労働安全衛生法として分離された。
-
○ 3. 労働安全衛生法
職場の安全と健康の確保、労働災害防止、快適な職場環境の形成を目的とする法律。ストレスチェック義務化、作業環境測定、定期健康診断、産業医選任などを規定する。
-
× 4. 労働関係調整法
労働争議の予防・解決を目的とし、斡旋・調停・仲裁の手続きを定める法律。労働委員会の権限や争議行為の制限を規定する。労働三法(労組法・労基法・労調法)の一つ。
労働関係法規を押さえるときは『労働三法』+安衛法の構造が基本。労働三法=労働基準法(条件)・労働組合法(団結)・労働関係調整法(紛争調整)。安全衛生は労基法から1972年に分離して安衛法へ。近年ではストレスチェック制度(2015年義務化、労働者50人以上)、長時間労働対策、過労死等防止対策推進法、働き方改革関連法(2019年)など、心理的健康・長時間労働対策が拡充されている。看護師自身もこれらの法律の対象労働者であり、夜勤時間・連続勤務・健康診断などで接点が多い。
労働関係法規の中で『安全と健康の確保』を目的とする法律を選ぶ問題。労働三法との区別がカギ。
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