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縦隔ってどこ?胸の中央にある重要臓器の集合地帯

看護師国家試験 第106回 午前 第28問 / 人体の構造・機能 / 生体の防御機構

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第28問

縦隔に含まれるのはどれか。

  1. 1.
  2. 2.胸腺
  3. 3.副腎
  4. 4.甲状腺

対話形式の解説

博士 博士

今日は縦隔について学ぶぞ。胸部の解剖で必ず押さえるべき領域じゃ。

アユム アユム

縦隔って、場所のイメージがぼんやりしています。どこにあるんですか?

博士 博士

簡単に言えば、左右の肺に挟まれた胸郭の中央部分じゃ。前は胸骨、後ろは胸椎、側方は肺、上は胸郭上口、下は横隔膜で囲まれておる。

アユム アユム

そこに何が入っているんですか?

博士 博士

心臓、大動脈、上下大静脈、肺動静脈、気管、主気管支、食道、胸腺、胸管、迷走神経、横隔神経、リンパ節…と、生命維持に不可欠な臓器がぎっしり詰まっておるのじゃ。

アユム アユム

肺は含まれないんですか?

博士 博士

含まれない。縦隔はあくまで両肺の「間」の領域じゃ。肺自体は縦隔の外側にある。

アユム アユム

胸腺はどのあたりにあるんですか?

博士 博士

前縦隔、つまり胸骨の裏側、心臓の前方にあるのじゃ。胸腺は免疫の中枢で、骨髄で作られたリンパ球がここでT細胞に育つ。「T」の由来はThymus=胸腺じゃよ。

アユム アユム

胸腺ってずっと働いているんですか?

博士 博士

いや、思春期に最大(約30〜40 g)になり、その後は徐々に退縮して成人以降は脂肪組織に置き換わっていく。だから成人では機能はわずかじゃ。

アユム アユム

副腎や甲状腺は縦隔に含まれないんですよね?

博士 博士

副腎は腎臓の上に乗る後腹膜臓器だから腹腔領域。甲状腺は頸部にあるから縦隔ではない。ただし、甲状腺が大きくなると下方に進展して縦隔まで入り込むことがあり、縦隔甲状腺腫と呼ぶ。

アユム アユム

縦隔って細かく区分されているんですか?

博士 博士

うむ。上縦隔と下縦隔に分け、下縦隔はさらに前縦隔・中縦隔・後縦隔に分けられる。前縦隔は胸腺、中縦隔は心臓・大血管・気管分岐、後縦隔は食道・下行大動脈・胸管が代表じゃ。

アユム アユム

区分によってできやすい腫瘍が違うって聞きました。

博士 博士

その通り。前縦隔腫瘍には胸腺腫、胚細胞腫瘍、悪性リンパ腫、甲状腺腫(下方進展)が多い。中縦隔には気管支嚢胞、リンパ腫、後縦隔には神経原性腫瘍が多いのじゃ。

アユム アユム

胸腺腫って重症筋無力症と関係がありますよね?

博士 博士

よく知っておるな。重症筋無力症の患者の約15〜30%に胸腺腫が合併する。逆に胸腺腫患者の約30%に重症筋無力症が合併する。胸腺摘除術(拡大胸腺摘出術)が治療選択肢になるのじゃ。

アユム アユム

縦隔って奥が深いですね。

博士 博士

国試では「縦隔に含まれるのはどれか」という直球の問題が頻出じゃ。心臓・大血管・気管・食道・胸腺の5点セットを覚えておけば安心じゃぞ。

POINT

縦隔は左右の肺に挟まれた胸腔の中央領域で、心臓、大血管、気管、食道、胸腺、胸管、神経、リンパ節などの重要な臓器を含みます。本問の選択肢では胸腺が該当し、前縦隔に位置してT細胞の成熟を担う免疫器官です。肺は縦隔の左右に位置し縦隔そのものには含まれず、副腎は後腹膜、甲状腺は頸部にあるため縦隔ではありません。縦隔の解剖と内容物、区分ごとの代表疾患を理解することは、胸部疾患の看護・画像診断の理解にも直結する基礎知識です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:縦隔に含まれるのはどれか。

解説:正解は 2 の「胸腺」です。縦隔(mediastinum)は左右の肺に挟まれた胸腔の中央部で、前方は胸骨、後方は胸椎、側方は両肺(縦隔胸膜)、上方は胸郭上口、下方は横隔膜に囲まれた領域です。縦隔には心臓、大血管(大動脈・上下大静脈・肺動静脈)、気管・主気管支、食道、胸腺、胸管、迷走神経・横隔神経、リンパ節などが含まれます。胸腺はとくに前縦隔(心臓の前方、胸骨の後ろ)に位置し、T細胞の成熟の場として免疫機能に重要な器官です。

選択肢考察

  1. × 1.  肺

    肺は縦隔の左右に存在するが、縦隔そのものには含まれない。縦隔は両肺の「間」の領域である。

  2. 2.  胸腺

    前縦隔に位置する免疫器官。骨髄由来のリンパ球がここでT細胞へと成熟する。思春期に最大となり以後退縮する。

  3. × 3.  副腎

    左右の腎臓の上に位置する後腹膜臓器であり、腹腔(後腹膜腔)の器官。胸腔内の縦隔には含まれない。

  4. × 4.  甲状腺

    頸部の前面、甲状軟骨のすぐ下に位置する内分泌腺。頸部の器官であり、縦隔ではない。

縦隔は上縦隔(胸骨角より上)と下縦隔に大別され、下縦隔はさらに前縦隔・中縦隔・後縦隔に分けられる。前縦隔=胸腺、中縦隔=心臓・大血管起始部・気管分岐、後縦隔=食道・下行大動脈・胸管・奇静脈、という区分が代表的。縦隔に発生する腫瘍では、前縦隔に胸腺腫・胚細胞腫瘍・悪性リンパ腫・甲状腺腫(下方進展)が多く、中縦隔には気管支嚢胞やリンパ腫、後縦隔には神経原性腫瘍が多い。重症筋無力症では胸腺腫の合併が多く、胸腺摘除術が治療選択となる。

縦隔の解剖学的範囲と含まれる臓器を問う問題。「左右の肺に挟まれた中央領域=心臓・大血管・気管・食道・胸腺」を押さえる。