クエン酸がCa²⁺をつかまえて凝固を止める
看護師国家試験 第108回 午後 第74問 / 人体の構造・機能 / 血液と体液
国試問題にチャレンジ
採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。 クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
- 1.トロンビン
- 2.プラスミン
- 3.カルシウムイオン
- 4.ナトリウムイオン
- 5.フィブリノーゲン
対話形式の解説
博士
採血管にはいろいろな抗凝固剤が入っているが、クエン酸はどう働くと思う?
アユム
うーん、カルシウムに関係すると聞いたことがあります。
博士
その通りじゃ。クエン酸はCa²⁺とキレート結合を作って、機能的にCa²⁺を取り除く。
アユム
Ca²⁺って凝固にそんなに大事なんですか?
博士
大事もなにも、Ca²⁺は凝固第Ⅳ因子と呼ばれる存在で、プロトロンビン活性化や第Ⅹ因子活性化など、凝固カスケードの多段階で必須なんじゃ。
アユム
だからCa²⁺を取り除けば凝固が止まるんですね。
博士
そう。選択肢3のカルシウムイオンが正解になる。
アユム
選択肢1のトロンビンは?
博士
トロンビンはプロトロンビンが活性化した凝固酵素じゃ。クエン酸はその上流を止めるのであって、トロンビン自体を除去するわけではない。
アユム
選択肢2のプラスミンは線溶系でしたよね。
博士
その通り。フィブリンを溶かす酵素で、凝固ではなく線溶の主役じゃ。
アユム
選択肢4のナトリウムイオンは?
博士
Na⁺は浸透圧維持には重要じゃが、凝固には直接関わらない。クエン酸のキレート対象でもない。
アユム
選択肢5のフィブリノーゲンは?
博士
第Ⅰ因子で、トロンビンによってフィブリンに変わる基質じゃ。これもクエン酸で除去されるものではない。
アユム
採血管の色ごとに抗凝固剤が違うんですよね。
博士
うむ。クエン酸Naは凝固検査や輸血、EDTAは血算、ヘパリンは生化学、フッ化Naは血糖用じゃ。EDTAもCa²⁺キレートじゃが、ヘパリンはアンチトロンビンⅢを介した経路で機序が異なる。
アユム
採血管の色と機序をセットで覚えると臨床でも使えますね。
博士
その通りじゃ。国試でも頻出だから必ず押さえておこう。
POINT
クエン酸はCa²⁺とキレート結合を形成し、凝固第Ⅳ因子として機能するCa²⁺を機能的に除去することで血液凝固を阻止します。凝固検査や赤沈で使われるクエン酸Na入り採血管の機序です。正解は選択肢3のカルシウムイオンで、抗凝固剤の種類と機序をセットで理解しましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。 クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
解説:正解は 3 です。クエン酸(特にクエン酸ナトリウム)は血液中のカルシウムイオン(Ca²⁺)とキレート結合を形成し、遊離Ca²⁺を不溶性の形として機能的に除去します。Ca²⁺は血液凝固カスケードの第Ⅳ因子として、第Ⅱ因子(プロトロンビン)や第Ⅹ因子などの活性化に必須であるため、これを取り除くことで凝固反応そのものを止められます。赤血球沈降速度検査や凝固検査(PT・APTT)で使われる黒・青キャップの採血管がクエン酸ナトリウム入りです。
選択肢考察
-
× 1. トロンビン
トロンビンはプロトロンビン(第Ⅱ因子)が活性化された凝固酵素です。クエン酸はその上流のCa²⁺依存反応を止めるのであって、トロンビン自体を除去するわけではありません。
-
× 2. プラスミン
プラスミンはフィブリンを分解する線溶系の酵素で、凝固そのものとは別経路です。クエン酸によって除かれる物質ではありません。
-
○ 3. カルシウムイオン
Ca²⁺は凝固第Ⅳ因子として凝固反応の多段階に不可欠で、クエン酸がCa²⁺をキレートすることで凝固が阻止されます。これが正解です。
-
× 4. ナトリウムイオン
Na⁺は細胞外液の浸透圧維持などに関わりますが、凝固カスケードには直接関与せず、クエン酸のキレート対象にもなりません。
-
× 5. フィブリノーゲン
フィブリノーゲン(第Ⅰ因子)はトロンビンによりフィブリンへ変換される基質タンパクで、クエン酸で除去されるものではありません。
抗凝固剤の分類を整理しましょう。クエン酸Na(凝固検査・輸血用)はCa²⁺キレート、EDTA(血算用紫キャップ)もCa²⁺キレート、ヘパリン(緑キャップ)はアンチトロンビンⅢを介してトロンビン等を阻害、フッ化Na(灰キャップ)は解糖系阻害で血糖測定用です。『採血管の色と抗凝固剤の機序』はセットで覚えると臨床でも役立ちます。
抗凝固剤クエン酸の作用機序と、血液凝固におけるCa²⁺(第Ⅳ因子)の役割を理解しているかを問う問題です。
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