肺活量ってどこからどこまで?肺気量分画をスッキリ整理
看護師国家試験 第109回 午後 第80問 / 人体の構造・機能 / 呼吸器系
国試問題にチャレンジ
「安静時呼吸」、「深呼吸」、「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。 肺活量を示すのはどれか。
- 1.①
- 2.②
- 3.③
- 4.④
- 5.⑤
対話形式の解説
博士
今日は呼吸生理の肺気量分画を学ぶぞ。図を見ながら整理する問題じゃが、定義を押さえれば図なしでも解ける。
アユム
肺活量、残気量、全肺気量…似たような用語が多くて混乱します。
博士
そうじゃな。まず4つの基本量から。一回換気量(TV)は安静呼吸で出入りする量、約500ml。予備吸気量(IRV)は安静吸気位からさらに吸える量、約3000ml。予備呼気量(ERV)は安静呼気位からさらに吐ける量、約1100ml。残気量(RV)は最大呼気後も残る量、約1200mlじゃ。
アユム
4つの基本量を組み合わせて複合的な量が定義されるんですね。
博士
その通り。肺活量(VC)はIRV+TV+ERV、つまり最大吸気位から最大呼気位までの差じゃ。約4600ml。これが選択肢5に該当する。
アユム
全肺気量は?
博士
VC+RV、つまり最大吸気位で肺に入っている全部の量、約5800mlじゃ。図中では④じゃな。
アユム
機能的残気量(FRC)は?
博士
ERV+RV、安静呼気位で肺に残っている量、約2300ml。図中では③じゃ。ガス交換の緩衝として重要じゃ。
アユム
最大吸気量(IC)は?
博士
TV+IRV、安静呼気位から最大吸気位までの量、約3500ml。図中では②じゃ。
アユム
なるほど。じゃあ①が残気量で、⑤が肺活量ですね。
博士
正解!残気量は最大努力で吐いた後も残る量で、スパイロメトリーでは直接測れん。ヘリウム希釈法やボディプレチスモグラフィで測定するのじゃ。
アユム
スパイロメトリーで測れるのは?
博士
VC、FVC(努力肺活量)、FEV1.0(1秒量)、TV、IRV、ERV、ICじゃ。RVを含むFRC、TLCは間接測定が必要。
アユム
換気障害の分類はどうなっていますか?
博士
拘束性換気障害は%VC(予測値に対する%)<80%、閉塞性換気障害は1秒率(FEV1.0/FVC)<70%が定義じゃ。肺線維症など肺が膨らみにくい病態が拘束性、COPDや気管支喘息など呼気が出にくい病態が閉塞性じゃ。
アユム
混合性障害もありますよね。
博士
両方の基準を満たすと混合性じゃ。肺気腫を合併した肺線維症などで見られる。
アユム
フローボリューム曲線って何ですか?
博士
努力呼出時の流速と肺気量の関係を示す曲線じゃ。閉塞性障害では呼気流速が下がって『下に凸』の形になる。COPDの診断に重要じゃ。
アユム
呼吸機能検査は看護師にも馴染みがありますが、背景の生理学がわかると意味がより理解できますね。
博士
呼吸生理は臨床と直結する分野じゃ。人工呼吸器管理、喘息・COPD看護、術前評価など多くの場面で応用される。基本をしっかり押さえよう。
POINT
肺気量分画は呼吸機能評価の基本です。肺活量(VC)は予備吸気量+一回換気量+予備呼気量の合計で、最大吸気位から最大呼気位までに吐き出せる最大空気量を表し、図中では⑤に相当します。その他、①残気量、②最大吸気量、③機能的残気量、④全肺気量と定義されます。スパイロメトリーで直接測定できるのはVCやFEV1.0などで、RV・FRC・TLCはヘリウム希釈法等で間接測定します。%VC<80%は拘束性、1秒率<70%は閉塞性換気障害の指標となり、肺線維症・COPD・気管支喘息など代表的疾患の病態把握に不可欠です。呼吸生理学の知識は人工呼吸管理、術前評価、慢性呼吸器疾患看護など幅広い臨床場面で活用される基礎的かつ実践的な学習領域です。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:「安静時呼吸」、「深呼吸」、「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。 肺活量を示すのはどれか。
解説:正解は 5 です。この問題は図を伴いますが、肺気量分画の定義から判定できます。肺活量(VC: vital capacity)とは『最大吸気位から最大呼気位までに肺から吐き出せる最大の空気量』であり、予備吸気量(IRV)+一回換気量(TV)+予備呼気量(ERV)の合計で表されます。図中では⑤が肺活量に該当します。①は残気量(RV)、②は最大吸気量(IC、一回換気量+予備吸気量)、③は機能的残気量(FRC、予備呼気量+残気量)、④は全肺気量(TLC、肺活量+残気量)と想定されます。
選択肢考察
-
× 1. ①
残気量(RV)。最大努力での呼気後も肺・気道内に残る空気量。スパイロメトリーでは直接測定できずヘリウム希釈法やボディプレチスモグラフィで測る。
-
× 2. ②
最大吸気量(IC)。安静呼気位から最大吸気位までの量で、一回換気量+予備吸気量に等しい。
-
× 3. ③
機能的残気量(FRC)。安静呼気時に肺内に残っている空気量で、予備呼気量+残気量に等しい。ガス交換の緩衝として重要。
-
× 4. ④
全肺気量(TLC)。最大吸気位で肺内に存在する総空気量。肺活量+残気量に等しい。
-
○ 5. ⑤
肺活量(VC)。最大吸気位から最大呼気位までに吐き出せる最大空気量で、予備吸気量+一回換気量+予備呼気量。スパイロメトリーで直接測定でき、呼吸機能の基本指標となる。
肺気量分画の基本:一回換気量(TV)約500ml、予備吸気量(IRV)約3000ml、予備呼気量(ERV)約1100ml、残気量(RV)約1200ml、肺活量(VC)約4600ml、全肺気量(TLC)約5800ml、機能的残気量(FRC)約2300ml、最大吸気量(IC)約3500ml。肺活量は年齢・性別・身長で予測値が計算される(%VC)。拘束性換気障害では%VC<80%、閉塞性換気障害では1秒率(FEV1.0/FVC)<70%と定義される。スパイロメトリーで直接測定できるのはVC・FVC・FEV1.0・TV・IRV・ERV・ICで、RV・FRC・TLCは間接的測定が必要。
肺気量分画の定義を正確に理解しているかを問う問題。『肺活量=最大吸気位から最大呼気位までの差』を押さえる。
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