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胸腔内圧の秘密!なぜ常に陰圧なのか

看護師国家試験 第107回 午前 第27問 / 人体の構造・機能 / 呼吸器系

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第27問

自発呼吸時の胸腔内圧を示す曲線はどれか。

  1. 1. 選択肢1
  2. 2. 選択肢2
  3. 3. 選択肢3
  4. 4. 選択肢4

対話形式の解説

博士 博士

今日は呼吸生理学の要、胸腔内圧について考えるのじゃ。自発呼吸時の胸腔内圧はどうなっておると思うかな?

サクラ サクラ

吸うときに下がって、吐くときに上がる感じでしょうか?

博士 博士

方向としては正しいが、重要なのは「常に陰圧」という点じゃ。ここがポイントじゃぞ。

サクラ サクラ

陰圧って大気圧より低いってことですよね?

博士 博士

その通りじゃ。胸腔内圧は安静呼気時で約-5cmH2O、吸気時にはさらに下がって-8〜-10cmH2Oになる。ゼロ以下の領域で波打つのが正常な自発呼吸なのじゃ。

サクラ サクラ

なぜ陰圧に保たれているんですか?

博士 博士

肺には縮もうとする弾性収縮力があり、胸郭には外に広がろうとする弾性力がある。この2つが綱引きしておるから胸腔内は陰圧になるのじゃ。

サクラ サクラ

そのおかげで肺が胸郭に張り付いて膨らむんですね。

博士 博士

そうじゃ。もし胸腔に空気が入って陰圧が失われると…?

サクラ サクラ

肺が縮んじゃうんですね。気胸ですか?

博士 博士

ビンゴじゃ。気胸では陰圧が失われて肺が虚脱する。緊急脱気が必要になる疾患じゃ。

サクラ サクラ

吸気のメカニズムをもう一度教えてください。

博士 博士

横隔膜が収縮して下方に下がり、外肋間筋が収縮して肋骨が挙上する。これで胸郭容積が増大し、胸腔内圧がさらに陰圧となる。すると肺も引っ張られて膨らみ、空気が流れ込むのじゃ。

サクラ サクラ

呼気は筋弛緩だけですね。

博士 博士

安静呼気時はそうじゃ。筋肉が弛緩すると胸郭が元に戻り、肺の弾性で空気が押し出される。努力呼気では内肋間筋や腹筋も働くぞ。

サクラ サクラ

選択肢3の波形はどんな呼吸なんですか?

博士 博士

吸気時に陽圧に転じる波形は、人工呼吸器装着時の曲線じゃ。陽圧換気では吸気時にガスが押し込まれるから胸腔内も陽圧になるのじゃ。

サクラ サクラ

陽圧換気だと何か問題があるんですか?

博士 博士

大ありじゃ。胸腔内圧が上がると静脈還流が減少し、血圧低下を起こしやすい。また気胸リスクも高まる。だから人工呼吸管理では血行動態モニタリングが重要じゃな。

サクラ サクラ

胸腔内圧と肺胞内圧は違うんですか?

博士 博士

よい質問じゃ。肺胞内圧は呼吸相によって大気圧より少し高く/低くなって気流を生むが、胸腔内圧は常に陰圧じゃ。両者の差を経肺圧といい、これが肺を膨らませる力になる。

サクラ サクラ

なるほど、陰圧が呼吸の基本なんですね。

博士 博士

その通り。自発呼吸=陰圧、陽圧換気=陽圧、という対比で覚えるのじゃ。

POINT

自発呼吸時の胸腔内圧は常に陰圧に保たれ、安静呼気で約-5cmH2O、吸気時に-8〜-10cmH2Oまで陰圧が強まります。これは肺の弾性収縮力と胸郭の弾性力の釣り合いによるもので、陰圧が失われると気胸となり肺が虚脱します。人工呼吸器(陽圧換気)では吸気時に陽圧となり、静脈還流低下による血圧低下のリスクがあります。呼吸筋(横隔膜・外肋間筋・補助筋)の働きとあわせて、胸腔内圧の生理と波形を確実に押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:自発呼吸時の胸腔内圧を示す曲線はどれか。

解説:正解は4です。自発呼吸時の胸腔内圧は、呼気時・吸気時を通じて常に陰圧(大気圧より低い圧)に保たれています。基準値は安静呼気終末で約-5cmH2O、吸気時には横隔膜と外肋間筋の収縮により胸郭が拡大するためさらに陰圧が強くなり約-8〜-10cmH2Oに下がります。呼気時には呼吸筋が弛緩し胸郭が元に戻るため陰圧は弱まり-5cmH2O付近に戻ります。つまり自発呼吸の胸腔内圧曲線は、常にゼロ以下(陰圧)の領域で吸気時に谷となり呼気時に浅くなる波形を示します。これが選択肢4の曲線です。一方、人工呼吸器(陽圧換気)では吸気時にガスが押し込まれるため胸腔内圧が陽圧に転じ、選択肢3のような曲線を描きます。

選択肢考察

  1. × 1.  
    選択肢1

    陽圧領域にある曲線は自発呼吸では生じません。胸腔内は常に陰圧に保たれているのが正常です。

  2. × 2.  
    選択肢2

    陽圧側の曲線は自発呼吸の胸腔内圧とは一致しません。

  3. × 3.  
    選択肢3

    吸気時に陽圧となる曲線は陽圧換気(人工呼吸器装着時)の胸腔内圧曲線に相当します。自発呼吸ではありません。

  4. 4.  
    選択肢4

    自発呼吸では胸腔内圧は常に陰圧で、吸気時にさらに陰圧が強まり、呼気時に陰圧が弱まるパターンを示します。この波形が選択肢4です。

胸腔は壁側胸膜と臓側胸膜で覆われた密閉空間で、内部には少量の胸水が存在します。胸腔内圧が常に陰圧なのは、肺の弾性収縮力と胸郭の外向きの弾性力が釣り合っているためで、これにより肺が胸郭に張り付いて膨らみ続けます。気胸では胸腔に空気が侵入して陰圧が失われ、肺が虚脱します。呼吸の主要筋は吸気筋の横隔膜と外肋間筋で、努力呼吸時には胸鎖乳突筋や斜角筋(吸気補助筋)、内肋間筋や腹筋(呼気補助筋)が働きます。人工呼吸器では陽圧換気になるため、静脈還流が減少し血圧低下を起こしやすい点も臨床上重要です。

自発呼吸時の胸腔内圧が常に陰圧であること、および陽圧換気との違いを理解しているかを問う問題です。