胸膜腔の中身と陰圧の仕組み
看護師国家試験 第110回 午後 第74問 / 人体の構造・機能 / 呼吸器系
国試問題にチャレンジ
胸膜腔に存在するのはどれか。
- 1.滑液
- 2.空気
- 3.血液
- 4.漿液
- 5.粘液
対話形式の解説
博士
胸膜腔には何が入っておるか知っておるかの?
アユム
確か漿液、つまり胸水が少量入っていますよね。
博士
その通り、約5〜20ml程度じゃ。役割は何じゃ?
アユム
呼吸で肺が動くときに胸膜同士が擦れないように潤滑油になります。
博士
胸膜腔の圧は正常でどうなっておる?
アユム
常に陰圧、つまり大気圧より低い圧に保たれています。
博士
なぜ陰圧が必要じゃ?
アユム
陰圧があることで肺が広がり続けられます。もし陰圧が失われると肺は虚脱してしまいます。
博士
それが起こる病態は?
アユム
気胸ですね。胸膜腔に空気が入ってしまうと肺が縮んでしまいます。
博士
血液が溜まると?
アユム
血胸、膿なら膿胸です。
博士
滑液はどこに?
アユム
関節腔です。
博士
粘液は?
アユム
気道や消化管の粘膜から分泌されます。胸膜腔ではありませんね。
POINT
正常な胸膜腔には少量の漿液が存在し、呼吸時の潤滑剤として働きます。胸膜腔内圧は常に陰圧に保たれることで肺が膨張状態を維持できます。この陰圧が失われると気胸となり肺が虚脱し、貯留する内容物によって気胸・血胸・膿胸・胸水などの病態が生じます。臨床では胸腔ドレナージで内容物を排出し、陰圧を回復させる処置が行われます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:胸膜腔に存在するのはどれか。
解説:正解は 4 です。胸膜腔は臓側胸膜と壁側胸膜の間にあるわずかな空間で、正常では数ml程度の漿液(胸水)で満たされています。この液体が潤滑剤となり、呼吸運動の際に胸膜同士の摩擦を防ぎ、肺が滑らかに膨らんだり縮んだりできるようになっています。
選択肢考察
-
× 1. 滑液
滑液は関節腔内に存在する粘性のある液体で、関節軟骨への栄養供給と関節運動の潤滑を担います。胸膜腔には存在しません。
-
× 2. 空気
胸膜腔に空気が入り込むと気胸となり、肺が虚脱して呼吸困難を引き起こします。正常な胸膜腔には空気はありません。
-
× 3. 血液
胸膜腔に血液が貯留すると血胸と呼ばれる病的状態で、外傷や血管損傷が原因となります。正常状態では血液は存在しません。
-
○ 4. 漿液
胸膜腔には約5〜20mlの漿液(胸水)があり、呼吸に伴う胸膜の滑走をスムーズにする潤滑油の役割を果たします。胸水の貯留過多は胸水症として病的状態を示します。
-
× 5. 粘液
粘液は気道や消化管粘膜から分泌される粘性のある液体で、胸膜腔には存在しません。気道粘液は異物の捕捉や粘膜保護を担います。
胸膜腔内圧は吸気時に約-8cmH2O、呼気時でも約-4cmH2Oと常に陰圧に保たれており、この陰圧が肺を膨らませる役割を果たしています。胸膜腔に空気(気胸)や血液(血胸)、膿(膿胸)、胸水貯留が起こるとガス交換障害となります。
胸膜腔に存在する正常な内容物が漿液であることを理解しているかを問う問題です。
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