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意識不明の患者の治療方針決定とアドバンスディレクティブ

看護師国家試験 第104回 午後 第73問 / 看護の統合と実践 / 臨床実践場面における統合的な判断

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第73問

Aさん(79歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血(cerebral hemorrhage)を起こし意識不明の状態になった。Aさんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族はAさんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。 Aさんの家族への対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.医師に方針を決めてもらうよう伝える。
  2. 2.病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。
  3. 3.Aさんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。
  4. 4.経管栄養法を開始することでAさんの身体の状態は維持できると伝える。

対話形式の解説

博士 博士

今日は79歳のAさんの事例じゃ。脳出血で意識不明、家族は延命を望んでおる。

サクラ サクラ

ご家族が看護師に相談されているんですね。

博士 博士

さて、医師に決めてもらうよう促すのはどう思う?

サクラ サクラ

本人や家族の意向抜きで医師任せにするのは違う気がします。

博士 博士

その通り、選択肢1は不適切じゃ。

サクラ サクラ

倫理委員会に判断を依頼するのはどうでしょう。

博士 博士

委員会は難事例の検討の場で、まず確認すべきは本人の意思じゃ。

サクラ サクラ

Aさんは化学療法中で、ご自身で考えていた可能性がありますね。

博士 博士

そこで登場するのがアドバンスディレクティブじゃ。

サクラ サクラ

事前指示書ですね。リビングウィルなどでしょうか。

博士 博士

うむ。本人が判断能力を失った時に備え、希望する医療をあらかじめ示しておくものじゃ。

サクラ サクラ

看護師は家族に確認を促すのが大事ですね。

博士 博士

選択肢4の経管栄養を勧めるのはどうじゃ?

サクラ サクラ

看護師が独断で特定の医療を提示するのは越権ですし、家族の判断を歪めますね。

博士 博士

最近はACP、人生会議という言葉も使われておる。

サクラ サクラ

継続的な話し合いのプロセスですね。

博士 博士

じゃから正解は3、本人の事前指示を確認じゃよ。

POINT

意思決定できない患者の医療方針は、まず本人の意思を最優先に考えます。アドバンスディレクティブの有無を確認し、家族・医療チームで本人の価値観に沿った決定を行うのが看護師の支援の要です。医師任せや倫理委員会への丸投げ、看護師の独断的提案は適切ではなく、ACPの視点で継続的な対話を支えることが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん(79歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血(cerebral hemorrhage)を起こし意識不明の状態になった。Aさんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族はAさんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。 Aさんの家族への対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は3です。本人が意思表示できない状況では、最も尊重されるべきは患者自身の意思です。事前指示書やリビングウィルなどアドバンスディレクティブの有無を家族に確認し、Aさんの価値観に沿った意思決定を支援することが看護師の役割です。

選択肢考察

  1. × 1.  医師に方針を決めてもらうよう伝える。

    治療方針は医師の独断ではなく、患者本人の意思を中心に家族と医療チームが協働して決定します。医師任せにするよう促す対応はインフォームドコンセントの理念に反します。

  2. × 2.  病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。

    倫理委員会は倫理的に判断が難しい事例の検討の場であり、家族に丸投げを促すものではありません。まずは本人の意思確認と家族の思いの傾聴が先です。

  3. 3.  Aさんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。

    化学療法を受けていたAさんは終末期について事前に意思表示している可能性があります。事前指示の有無や内容を家族に確認し、本人の意思を尊重した治療方針決定を促すのが最も適切です。

  4. × 4.  経管栄養法を開始することでAさんの身体の状態は維持できると伝える。

    特定の医療行為を看護師が独断で提示することは適切ではなく、医学的判断や家族との合意形成を経るべきです。誤った見通しを与え意思決定を歪める恐れもあります。

アドバンスディレクティブには、リビングウィル(具体的な医療行為への希望)と医療代理人指名があります。近年はACP(アドバンス・ケア・プランニング、人生会議)として、本人・家族・医療者が継続的に話し合うプロセスが重視されています。

意思決定能力を失った患者の終末期医療において、本人の意思尊重とアドバンスディレクティブの活用を理解しているかを問う問題です。