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ワーク・ライフ・バランスの本質|「ライフ」って何のこと?

看護師国家試験 第114回 午前 第76問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第76問

ワーク・ライフ・バランスの取り組みで正しいのはどれか。

  1. 1.働き方の標準化を図る取り組みである。
  2. 2.女性のライフサイクルに特化した取り組みである。
  3. 3.自己啓発や社会活動にも適応される取り組みである。
  4. 4.キャリアを主体的に設計し実現していく取り組みである。

対話形式の解説

博士 博士

今日はワーク・ライフ・バランスについて学ぶぞ。看護職にとっても重要なテーマじゃ。

アユム アユム

仕事と家庭を両立させることですよね。

博士 博士

それも一面じゃが、もっと広い概念じゃよ。「ライフ」には家庭や育児・介護だけでなく、自己啓発、地域活動、ボランティア、学習、健康増進、休養なども含まれるのじゃ。

アユム アユム

自己啓発や社会活動も入るんですね。

博士 博士

そう、ここが今回の問題のポイントじゃ。「ワーク」以外のすべての生活時間を豊かにすること、これがワーク・ライフ・バランスの本質じゃ。

アユム アユム

女性のための制度ってイメージがあるんですが…。

博士 博士

それは誤解じゃ。男女ともに、すべての労働者が対象。男性の育児参加促進、介護離職防止、若者・高齢者の働き方なども含まれる。

アユム アユム

いつ頃から提唱されたんですか?

博士 博士

日本では平成19年、2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と行動指針が策定されたのが大きな出発点じゃ。

アユム アユム

憲章には何が書かれているんですか?

博士 博士

目指すべき社会の姿として3点挙げられておる。①就労による経済的自立が可能な社会、②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、③多様な働き方・生き方が選択できる社会、じゃ。

アユム アユム

標準化が目的じゃないんですね。

博士 博士

むしろ逆。多様性の確保が目的じゃ。みんな同じ働き方ではなく、ライフステージや個性に応じた選択ができることが目指すゴールじゃ。

アユム アユム

キャリアデザインとは違うんですか?

博士 博士

違うのじゃ。キャリアデザインは将来の働き方や成長プランを主体的に設計する考え方。ワーク・ライフ・バランスは仕事と仕事以外の生活全体の調和を目指すもの。重なる部分はあるが同義ではない。

アユム アユム

看護師にも関係する話ですよね。

博士 博士

大いに関係する。看護職は夜勤・交代制勤務が多く、長時間労働や疲労蓄積が問題視されてきた。日本看護協会は「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を示し、勤務間インターバル11時間以上、夜勤回数の上限などを推奨しておる。

アユム アユム

2交代制が増えているのもその影響ですか?

博士 博士

そうじゃ。3交代制は連続勤務の負担が大きいため、2交代制への移行や変則交代制の見直しが進んでおる。有給休暇取得促進、育児・介護短時間勤務の整備も含めて、組織全体で取り組むテーマじゃ。

アユム アユム

個人の問題ではなく組織の課題なんですね。

博士 博士

看護管理者にとっては重要な責務じゃ。スタッフのワーク・ライフ・バランスを支えることが、結果として離職防止、看護の質向上、患者満足度向上につながるのじゃ。

POINT

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)は、2007年策定の憲章に基づき、仕事と仕事以外の生活(家庭、育児、介護、地域活動、ボランティア、自己啓発、健康増進、休養など)を双方充実させる考え方です。「ライフ」には自己啓発や社会活動も含まれる点、男女問わずすべての労働者が対象である点、画一化ではなく多様な働き方・生き方の選択を目指す点が重要なポイントです。看護職においては夜勤・交代制勤務、長時間労働、育児・介護との両立が大きな課題で、日本看護協会のガイドラインに基づく勤務環境整備、2交代制への移行、有給休暇取得促進などが進められています。看護管理上も離職防止と看護の質向上の観点から重要な視点です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:ワーク・ライフ・バランスの取り組みで正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)は、平成19年(2007年)に策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」とその行動指針に基づく考え方で、仕事と仕事以外の生活(家庭、育児、介護、地域活動、自己啓発、学習、休養など)の双方を充実させ、相互によい影響を与えることを目指す取り組みである。「ライフ」には自己啓発や社会活動も含まれる点が重要。

選択肢考察

  1. × 1.  働き方の標準化を図る取り組みである。

    ワーク・ライフ・バランスはむしろ「多様な働き方・生き方の選択」を目指す取り組みであり、画一的な働き方を標準化するものではない。

  2. × 2.  女性のライフサイクルに特化した取り組みである。

    性別を問わず、すべての労働者を対象とする概念。男性の育児参加や介護離職防止なども重要なテーマで、女性に特化したものではない。

  3. 3.  自己啓発や社会活動にも適応される取り組みである。

    ワーク・ライフ・バランス憲章の「ライフ」には、家庭生活、育児、介護、地域活動、ボランティア、自己啓発、学習、健康増進、休養など幅広い活動が含まれる。

  4. × 4.  キャリアを主体的に設計し実現していく取り組みである。

    これはキャリアデザイン(キャリア形成支援)の説明であり、ワーク・ライフ・バランスとは異なる概念。両者は関連するが同義ではない。

ワーク・ライフ・バランス憲章が掲げる「目指すべき社会の姿」は、(1)就労による経済的自立が可能な社会、(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会、の3つ。看護職においては夜勤・交代制勤務が多いことから、勤務間インターバル、変則3交代制から2交代制への移行、有給休暇取得促進などが具体的取り組みとして進められている。日本看護協会も「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を示している。

ワーク・ライフ・バランスの定義と「ライフ」の範囲を問う問題。育児・介護だけでなく自己啓発・社会活動・健康増進も含む幅広い概念であることがポイント。