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看護師の代弁行為とアドボカシー

看護師国家試験 第105回 午前 第74問 / 小児看護学 / 子どもと家族を取り巻く環境

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第74問

Aちゃん(3歳、女児)は、病室で朝食を食べていた。そこに、医師が訪室して採血を行いたいと話したところ、Aちゃんは何も答えず下を向いて泣き始めた。その様子を見ていた看護師は、Aちゃんは朝食を中断して採血されるのは嫌だと思っているようなので、朝食後に採血して欲しいと医師に話した。 この看護師の対応の根拠となる概念はどれか。

  1. 1.アセント
  2. 2.コンセント
  3. 3.アドボカシー
  4. 4.ノーマライゼーション
  5. 5.ノンコンプライアンス

対話形式の解説

博士 博士

3歳のAちゃんが採血の説明で泣いてしまい、看護師がその気持ちを医師に代弁した事例じゃ。この行動の根拠となる概念は何じゃと思うかね。

アユム アユム

患者の気持ちを代わりに伝える行動ですから、アドボカシーでしょうか。

博士 博士

正解じゃ、3番のアドボカシーじゃ。Advocacyは権利擁護・代弁を意味し、意思表示が難しい小児や高齢者の代わりに看護師が意見を伝え、権利や尊厳を守る行為を指すのじゃよ。

アユム アユム

1番のアセントとはどう違うのですか。

博士 博士

アセントはAssent、つまり賛意じゃ。法的同意能力のない小児に対して、年齢に応じた説明を行い、本人の納得と賛意を得ることを指す。医師や医療チームが行う概念で、看護師の代弁行動とは少し立ち位置が違うのじゃ。

アユム アユム

2番のコンセントは耳にする言葉ですが。

博士 博士

インフォームド・コンセントのことじゃな。法的同意能力のある患者や保護者に十分な情報を伝え、同意を得る手続きじゃ。本事例の看護師の行動はこれではないの。

アユム アユム

4番のノーマライゼーションは。

博士 博士

1960年代に北欧で提唱された社会理念で、障害者や高齢者が健常者と区別なく地域で普通に暮らせる社会を目指す考え方じゃ。個別患者の代弁とは別次元じゃな。

アユム アユム

5番のノンコンプライアンスは。

博士 博士

患者が医療者の指示に従わない状態を表す用語じゃ。例えば自己判断で服薬を中止するといった行為がこれにあたる。看護師の行為概念ではない。

アユム アユム

看護師のアドボカシーは具体的にどんな場面で求められるんですか。

博士 博士

今回のように意思表示が難しい小児への代弁、認知症高齢者の療養選択支援、終末期患者の意思決定支援、ハラスメントや虐待への対応など幅広いのじゃ。看護師は患者に最も近い医療者じゃからこそ、アドボケーターとしての役割が大きい。

アユム アユム

倫理綱領にも書かれているんですか。

博士 博士

日本看護協会の看護職の倫理綱領には「人々の生命、尊厳及び権利を尊重する」と明記されておる。これがアドボカシーの根拠じゃ。

アユム アユム

言葉にならない思いを汲み取って伝える。これが看護の本質ですね。

博士 博士

その姿勢を忘れなければ、臨床でも迷わず行動できるぞ。

POINT

アドボカシーは患者の権利を擁護し、本人に代わって意思を代弁する看護実践の根幹概念です。3歳児のように言語的意思表示が困難な対象では、看護師がその非言語サインを読み取り医師に伝えることが典型的なアドボカシー行動です。アセントやコンセントといった同意取得の概念とは区別して理解することが重要で、日本看護協会の倫理綱領にも明記された看護師の基本的役割です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aちゃん(3歳、女児)は、病室で朝食を食べていた。そこに、医師が訪室して採血を行いたいと話したところ、Aちゃんは何も答えず下を向いて泣き始めた。その様子を見ていた看護師は、Aちゃんは朝食を中断して採血されるのは嫌だと思っているようなので、朝食後に採血して欲しいと医師に話した。 この看護師の対応の根拠となる概念はどれか。

解説:正解は 3 です。アドボカシー(advocacy)は「権利擁護・代弁」を意味し、患者が自身の希望や不利益を十分に表明できない場合に、医療者が患者の立場に立って意思や権利を代弁し守る行為を指します。3歳のAちゃんは言葉で意思表示できず泣くことで不快を示しており、看護師がその気持ちを読み取り医師に伝えた行動はまさに患者アドボカシーの実践です。

選択肢考察

  1. × 1.  アセント

    アセントは、法的に同意能力を持たない小児などに対して年齢・理解度に合わせて治療を説明し本人の賛意を得ることで、看護師の代弁行為とは異なります。

  2. × 2.  コンセント

    コンセント(インフォームド・コンセント)は法的同意能力を有する成人患者や保護者に説明し同意を得る行為で、本事例の看護師の行動を表す概念ではありません。

  3. 3.  アドボカシー

    看護師が意思表示の難しい小児の気持ちを汲み取り、代弁して医師に伝えた行動は、患者の権利を擁護するアドボカシーの典型例です。

  4. × 4.  ノーマライゼーション

    ノーマライゼーションは障害者や高齢者が健常者と共に普通の生活を送れる社会を目指す理念で、本事例の個別的代弁行為とは別の概念です。

  5. × 5.  ノンコンプライアンス

    ノンコンプライアンスは患者が医療者の指示や処方に従わない状態を指す用語で、看護師の行動概念ではありません。

インフォームド・コンセントは1964年のヘルシンキ宣言で確立された概念で、説明と同意に基づく医療の基本原則です。一方、小児や認知機能が低下した患者では意思決定支援が困難なため、「インフォームド・アセント」として本人の理解度に合わせた説明と同意取得が行われます。看護師は治療者と患者の中間に立ち、患者の最善の利益のために代弁する役割を担います。これは看護師倫理綱領にも明記されています。

小児看護における患者の権利擁護の概念を理解しているか、アドボカシーと関連用語の違いを識別できるかを問う問題です。