自閉症スペクトラム障害の特徴
看護師国家試験 第111回 午前 第89問 / 小児看護学 / 慢性疾患・障害のある子どもと家族への看護
国試問題にチャレンジ
自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)にみられるのはどれか。2つ選べ。
- 1.運動性チックが出現する。
- 2.計算の習得が困難である。
- 3.不注意による間違いが多い。
- 4.習慣へのかたくななこだわりがある。
- 5.非言語的コミュニケーションの障害がある。
対話形式の解説
博士
今日は発達障害の中で自閉症スペクトラム障害(ASD)について学ぼう。
サクラ
ASDってどんな障害ですか?
博士
DSM-5で定義される神経発達症の一つで、中核症状は2つ。①社会的コミュニケーションと相互作用の持続的欠陥、②限定された反復的な行動・興味・活動、だ。
サクラ
2領域あるんですね。
博士
そう。①には視線が合いにくい、表情や身振りが乏しい、対人関係を築きにくいといった非言語的コミュニケーション障害が含まれる。②には同一性への固執、習慣へのこだわり、儀式的行動、感覚過敏などが含まれる。
サクラ
選択肢4の習慣へのかたくななこだわりと選択肢5の非言語的コミュニケーションの障害が当てはまりますね。
博士
その通り、正解はその2つだ。
サクラ
選択肢1の運動性チックはどうですか?
博士
チックはまばたき・首振り・咳払いなどの不随意運動で、チック症やトゥレット症候群の症状だ。ASDと併存することはあるが中核症状ではない。
サクラ
選択肢2の計算の習得が困難は?
博士
これは限局性学習症(LD)の特徴で、知的能力に比して読み書き計算など特定分野の習得が著しく困難なもの。算数障害、書字障害、読字障害などがある。
サクラ
選択肢3の不注意による間違いが多いは?
博士
これは注意欠如・多動症(ADHD)の中核症状。不注意、多動、衝動性の3つが特徴だ。ASDと併存することもあるが別の診断概念だよ。
サクラ
ASDの有病率はどれくらいですか?
博士
約1〜2%で、男児が女児の2〜4倍多いとされる。併存症としてADHD、知的発達症、不安症、抑うつ、てんかん、感覚過敏などが多い。
サクラ
支援はどうするんですか?
博士
構造化(TEACCHなど)、視覚的手がかりの活用、予告や予定表で変化を予測可能にすること、感覚刺激への配慮、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、家族支援などが基本だ。
サクラ
早期発見が大事なんですね。
博士
その通り。早期療育で社会適応が大きく変わるから、乳幼児健診でのスクリーニング(M-CHATなど)が重要視されている。
サクラ
看護の場面ではどう関わるべきですか?
博士
決まった手順・物の配置・スケジュールを守ること、予告して変化を伝えること、感覚過敏への配慮が大事だ。聴覚過敏の子に大声を出さない、視覚的に手順を示すなどね。
POINT
自閉症スペクトラム障害の中核症状は社会的コミュニケーションの障害と限定的・反復的行動パターンの2領域です。選択肢4の習慣へのこだわりと選択肢5の非言語的コミュニケーション障害が該当し正解です。チック、LD、ADHDはそれぞれ別の発達障害・神経精神疾患で、併存することはあっても中核症状ではありません。
解答・解説
正解は 4 ・ 5 です
問題文:自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)にみられるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 4 と 5 です。自閉症スペクトラム障害(ASD)はDSM-5で定義される神経発達症の一つで、①社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的欠陥、②行動・興味・活動の限定された反復的な様式、の2領域を中核症状とします。②には「同一性への固執、習慣へのかたくななこだわり、儀式的な言語的・非言語的行動様式」が含まれ、①には表情・視線・身振りなど非言語的コミュニケーションの障害が含まれます。
選択肢考察
-
× 1. 運動性チックが出現する。
運動性チック(まばたき・首振りなど)はチック症/トゥレット症候群の症状で、ASDの中核症状ではありません。併存することはあります。
-
× 2. 計算の習得が困難である。
計算や読み書きなど特定分野の学習困難は限局性学習症(LD、算数障害など)の特徴で、ASDの中核症状ではありません。
-
× 3. 不注意による間違いが多い。
不注意・多動・衝動性は注意欠如・多動症(ADHD)の中核症状です。ASDと併存することはありますが本問では該当しません。
-
○ 4. 習慣へのかたくななこだわりがある。
同一性への固執や儀式的行動、習慣への強いこだわりはASDの中核症状の一つで正解です。予定変更が苦手な点も特徴的です。
-
○ 5. 非言語的コミュニケーションの障害がある。
視線・表情・身振りなど非言語的コミュニケーションの障害はASDの中核症状である社会的コミュニケーションの欠陥に含まれ正解です。
ASDの有病率は約1〜2%で、男児が女児の2〜4倍多いとされます。併存症としてADHD、知的発達症、不安症、抑うつ、チック症、てんかん、感覚過敏などが多く認められます。支援は構造化(TEACCHなど)、視覚的手がかりの活用、予告・予定表による変化の予測可能化、感覚刺激への配慮、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、家族支援などが基本です。早期発見・早期療育が予後改善に重要とされています。
自閉症スペクトラム障害の中核症状(社会的コミュニケーション障害と限定的・反復的行動パターン)を他の発達障害(ADHD、LD、チック症)と区別できるかを問う問題です。
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