ステロイドと闘う6歳男児へ伝える、たった一つの大切な習慣
看護師国家試験 第114回 午前 第64問 / 小児看護学 / 慢性疾患・障害のある子どもと家族への看護
国試問題にチャレンジ
A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。A君に説明する必要があるのはどれか。
- 1.手指衛生
- 2.床上安静
- 3.水分摂取の制限
- 4.蛋白質の摂取の制限
対話形式の解説
博士
今回は小児ネフローゼ症候群でステロイド治療7日目のA君への指導内容を考えるのじゃ。
アユム
浮腫も尿量も改善してきていますね。何を説明すべきなんでしょう。
博士
まずネフローゼ症候群の病態を整理しよう。糸球体基底膜の透過性亢進で大量の蛋白が尿に漏れる病気じゃ。
アユム
だから低アルブミン血症と浮腫が起きるんですね。
博士
その通り。高度蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫が三大徴候、脂質異常症もよく合併する。小児では特発性が多く2〜6歳に好発する。
アユム
治療はステロイドが第一選択ですね。
博士
プレドニゾロンを使う。約90%は寛解するが、再発率も70〜80%と高いのじゃ。
アユム
再発の引き金は何ですか?
博士
上気道感染などの感染症が代表的な引き金じゃ。だから感染予防がとても大切なのじゃよ。
アユム
ステロイド自体も感染リスクを上げますよね。
博士
そう、免疫抑制作用で易感染状態になる。だから手洗い・うがい・マスク・人混みを避けるなどの感染予防行動が必要じゃ。
アユム
A君は6歳ですから、自分でできることから伝えるのが良いですね。
博士
手指衛生は6歳でも理解できる具体的なセルフケア。これが正解じゃ。
アユム
床上安静はどうですか?
博士
浮腫が高度なときは必要じゃが、改善期に入ったA君では不要。むしろ廃用や血栓のリスクが高まる。
アユム
水分制限は?
博士
浮腫が改善し尿量が出ている状況では不要じゃ。制限するのは塩分であって水分ではない。
アユム
蛋白制限はどうでしょう。
博士
成人の慢性腎臓病と混同しやすいが、小児では成長と蛋白喪失への補充が必要なので制限しない。むしろ十分な蛋白摂取が推奨されるのじゃ。
アユム
ステロイドの他の副作用も気になります。
博士
満月様顔貌、肥満、成長障害、骨粗鬆症、糖代謝異常など多いぞ。生ワクチンは接種制限があることも要チェックじゃ。
POINT
小児ネフローゼ症候群でステロイド治療中のA君は、症状改善期にあっても易感染状態が続くため、6歳の発達段階で実行可能な「手指衛生」の指導が最優先となります。床上安静は急性期を過ぎた本児には不要で、水分制限・蛋白制限は小児では成長と循環動態の観点からむしろ不適切です。ステロイド長期投与は再発抑制に有効である反面、感染・成長障害・骨代謝異常など多彩な副作用を持ち、感染が再発の引き金にもなります。看護師は子ども本人と家族双方に分かりやすい言葉で指導し、生ワクチン制限など具体的な生活上の注意も含めて支援することが重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)と診断され入院した。ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。A君に説明する必要があるのはどれか。
解説:正解は 1 です。小児ネフローゼ症候群の第一選択治療は副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)であり、長期投与により免疫抑制作用から易感染状態となります。A君は治療7日目で尿量増加・浮腫軽減・尿蛋白も改善傾向にあり急性期を脱しつつある段階ですが、ステロイドによる感染リスクは継続します。年齢相応に理解できる6歳児への指導として、手洗い・うがい・人混みを避けるなどの感染予防行動が最も優先されます。
選択肢考察
-
○ 1. 手指衛生
ステロイド治療中は易感染状態となり、感染契機による再発も多い。6歳のA君に自分でできるセルフケアとして、手洗い・うがいなどの手指衛生を分かりやすく説明することは最優先の指導項目である。
-
× 2. 床上安静
急性期で浮腫が高度な時期は安静が必要だが、本児は尿量増加・浮腫軽減と改善傾向にあり、床上安静を継続する必要はない。むしろ過度な安静は心理的負担や血栓形成のリスクを高める。
-
× 3. 水分摂取の制限
浮腫が軽減し尿量が確保できている状況で水分制限は不要。むしろ循環血漿量低下や血栓症のリスクを高める。制限が必要な場合があるのは塩分であり、水分量ではない。
-
× 4. 蛋白質の摂取の制限
成人の慢性腎臓病とは異なり、小児ネフローゼ症候群では蛋白制限は推奨されない。成長期で蛋白喪失も大きいため、年齢に応じた十分な蛋白質摂取が必要。
小児特発性ネフローゼ症候群は2〜6歳に好発し、男児にやや多い。三大徴候は高度蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫で、脂質異常症を伴うことが多い。ステロイド治療は約90%が寛解するが、再発率も70〜80%と高く、感染が再発の引き金になることが知られている。ステロイド長期投与の副作用には易感染、満月様顔貌、肥満、成長障害、骨粗鬆症、糖代謝異常、消化性潰瘍などがある。生活指導では塩分制限(高度浮腫時のみ)、感染予防、生ワクチン接種制限、運動制限の最小化、心理的支援が重要となる。
小児ネフローゼ症候群でステロイド治療開始7日目、症状改善期にあるA君への指導内容を選ぶ問題。ステロイドによる易感染状態と発達段階に応じた指導を結びつけられるかが鍵。
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