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チック、汚言症、そして併存症、トゥレット障害を立体的に理解する

看護師国家試験 第112回 午前 第65問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第65問

小児期から青年期に発症し、運動性チック、音声チック及び汚言の乱用を伴うのはどれか。

  1. 1.Down<ダウン>症候群(Downʼs syndrome)
  2. 2.Tourette<トゥレット>障害(Touretteʼs disorder)
  3. 3.注意欠如・多動性障害<ADHD>(attention−deficit/hyperactivity disorder)
  4. 4.Lennox−Gastaut<レノックス・ガストー>症候群(Lennox−Gastaut syndrome)

対話形式の解説

博士 博士

今日はトゥレット障害の問題じゃ。運動チック、音声チック、汚言、この3つのキーワードで選ぶ問題じゃ。

サクラ サクラ

そもそもチックって何ですか。

博士 博士

突然現れる速い、反復的、常同的な運動や発声のことじゃ。まばたき、首を振る、肩をすくめるなどの運動チックと、咳払いや鼻ならしなどの音声チックがあるのじゃ。

サクラ サクラ

持続期間で分類されるんですよね。

博士 博士

左様。1か月以内なら一過性チック障害、1年以上続けば慢性チック障害、そして運動・音声の両方が1年以上続けばトゥレット障害と呼ぶ。いずれもDSM-5では神経発達症群じゃ。

サクラ サクラ

汚言症ってどんなものですか。

博士 博士

コプロラリアとも言い、意に反して社会的に不適切な言葉を発してしまう音声チックじゃ。テレビで有名になっておるが、実はトゥレット障害全体の10〜20%程度で、全例にあるわけではない。

サクラ サクラ

なるほど、メディアのイメージよりは少ないんですね。

博士 博士

うむ。しかも本人は言いたくて言っているわけではなく、抑えようとしても出てしまう。周囲の理解が重要じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1のダウン症候群はまったく別ですよね。

博士 博士

ダウン症は21トリソミーによる染色体異常じゃ。特徴的な顔貌、筋緊張低下、知的障害、心内膜床欠損などの先天性心疾患、消化管奇形などがみられる。チックは主症状ではない。

サクラ サクラ

選択肢3のADHDは、チックと併存することがある気がするんですが。

博士 博士

鋭いぞ。トゥレット障害のおよそ半数でADHDが、3〜4割で強迫症が併存するとされておる。ただADHD単独の診断基準は不注意・多動性・衝動性の3症状で、汚言症は含まれない。

サクラ サクラ

選択肢4のレノックス・ガストー症候群は、てんかんでしたね。

博士 博士

指定難病の難治性てんかん症候群じゃ。強直発作、非定型欠神発作、脱力発作と多彩な発作型が出現し、脳波で遅棘徐波複合、知的障害が高頻度で合併する。チックや汚言症は伴わない。

サクラ サクラ

トゥレット障害の治療はどうするんですか。

博士 博士

まずは心理教育と環境調整。学校や家庭に疾患を理解してもらうことが基本じゃ。行動療法として習慣逆転法(HRT)や包括的行動療法(CBIT)が有効じゃ。薬物はハロペリドールやアリピプラゾールなどのドパミン遮断薬を用いる。

サクラ サクラ

経過はどうなるんでしょう。

博士 博士

多くは学童期に発症し10代で症状が最も強くなるが、成人期にかけて自然軽減することが多い。看護師としては本人の苦痛や併存症、いじめや自己評価の低下などに目を向ける姿勢が大事じゃ。

サクラ サクラ

症状だけでなく、併存症や心理社会面も含めて理解することが大切なんですね。

POINT

トゥレット障害は小児期から青年期に発症する神経発達症で、複数の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上持続するものと定義されます。汚言症は有名な症状ですが出現率は10〜20%程度で、全例に認めるわけではなく、ADHDや強迫症などの併存が高率にみられる点も重要です。治療は心理教育と環境調整を基盤とし、習慣逆転法などの行動療法、重症例ではドパミン遮断薬が用いられます。ダウン症候群、ADHD、レノックス・ガストー症候群など他の小児神経発達症・疾患との鑑別ポイントを整理しておくことは精神看護学・小児看護学の双方で重要で、看護師には症状への対応だけでなく本人と家族への理解と支援が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:小児期から青年期に発症し、運動性チック、音声チック及び汚言の乱用を伴うのはどれか。

解説:正解は 2 です。トゥレット障害は、多彩な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上持続し、18歳未満で発症する神経発達症である。汚言症(コプロラリア)を伴うことがあるのは有名だが、実際には全症例の10〜20%程度にとどまる特徴的症状である。

選択肢考察

  1. × 1.  Down<ダウン>症候群(Downʼs syndrome)

    21番染色体が3本になる染色体異常(21トリソミー)で、特徴的顔貌、筋緊張低下、知的障害、先天性心疾患(心内膜床欠損など)を伴う。チックや汚言症は主症状ではない。

  2. 2.  Tourette<トゥレット>障害(Touretteʼs disorder)

    複数の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上続き、18歳未満で発症する。汚言症や反響言語を伴うことがある代表的なチック症。ADHDや強迫症の併存が多い。

  3. × 3.  注意欠如・多動性障害<ADHD>(attention−deficit/hyperactivity disorder)

    不注意・多動性・衝動性の3症状を特徴とする神経発達症で、12歳以前の発症を要件とする。チックや汚言症は診断基準に含まれない(ただし併存はありうる)。

  4. × 4.  Lennox−Gastaut<レノックス・ガストー>症候群(Lennox−Gastaut syndrome)

    小児期に発症する難治性てんかん症候群で、強直発作・非定型欠神発作・脱力発作など多彩な発作型、脳波の遅棘徐波複合、知的障害を特徴とする指定難病。チックや汚言症は伴わない。

チックは突発的で反復的・常同的な運動や発声で、運動チック(まばたき、肩すくめなど)と音声チック(咳払い、鼻ならしなど)に分けられる。持続期間で1か月未満の一過性チック障害、1年以上持続する慢性チック障害、運動・音声両方が1年以上続くトゥレット障害に区別される。DSM-5では神経発達症群に分類される。治療は心理教育や環境調整が基本で、習慣逆転法(HRT/CBIT)などの行動療法、重症例ではハロペリドール、アリピプラゾールなどの薬物療法が用いられる。ADHDや強迫症の合併が多く、併存症の把握が重要である。

小児期から青年期に発症する代表的な疾患・障害を鑑別させ、特徴的症状(チック・汚言症)からトゥレット障害を選ばせる問題。