地域精神保健活動における二次予防の識別
看護師国家試験 第105回 午前 第57問 / 精神看護学 / 精神保健の基本
国試問題にチャレンジ
地域精神保健活動における二次予防はどれか。
- 1.精神科病院で統合失調症患者に作業療法を行う。
- 2.精神疾患患者に再燃を予防するための教育を行う。
- 3.地域の住民を対象にストレスマネジメントの講演会を行う。
- 4.会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。
対話形式の解説
博士
今回は予防医学の「1次・2次・3次予防」を精神保健活動に当てはめる問題じゃ。この区分は公衆衛生の基本で頻出じゃよ。
サクラ
一次・二次・三次予防の違いを教えてください。
博士
一次予防は「疾病の発生そのものを防ぐ」段階で、健康増進や特異的予防にあたる。健康教育、ストレスマネジメント講演、予防接種などじゃ。二次予防は「発症した疾病の早期発見・早期治療」で、健診やスクリーニングが代表じゃ。三次予防は「発症した疾患の進行抑制・機能回復・社会復帰」で、リハビリや再発予防教育が該当する。
サクラ
なるほど、正解は何番ですか?
博士
正解は選択肢4「会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う」じゃ。健診でうつをスクリーニングし、面接で早期介入する典型的な二次予防じゃよ。
サクラ
選択肢1の「統合失調症患者に作業療法」は?
博士
作業療法は既発症患者のリハビリと社会復帰が目的じゃから、三次予防に分類されるのじゃ。
サクラ
選択肢2の「再燃を予防するための教育」は?
博士
これも既発症患者が対象で、疾患の進行や再発を防ぐ介入じゃから三次予防じゃ。発症前の人への教育ではなく、患者への教育である点がポイントじゃよ。
サクラ
選択肢3の「地域住民へのストレスマネジメント講演」は?
博士
健康な一般住民を対象とした健康増進教育は、疾病発生そのものを防ぐ一次予防じゃ。
サクラ
職場のメンタルヘルス対策で重要な制度はありますか?
博士
2015年12月から労働者50人以上の事業場でストレスチェック制度が義務化されたぞ。高ストレス者への医師面接が二次予防の柱じゃ。
サクラ
リワークプログラムは何次予防ですか?
博士
休職した労働者の職場復帰支援じゃから三次予防じゃ。発症後の社会復帰支援がポイントじゃな。
サクラ
厚労省の「4つのケア」も覚えておくべきですか?
博士
そうじゃ。セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア、の4つじゃ。職場の包括的なメンタルヘルス対策として重要じゃよ。
サクラ
対象者と目的で予防段階を判断すればいいんですね。
博士
その通り。「健康な人か」「早期か」「発症後か」で切り分けるとよいぞ。
POINT
本問は予防医学の三段階(一次・二次・三次予防)を精神保健活動に当てはめる問題です。一次予防は健康増進と特異的予防、二次予防は早期発見・早期治療、三次予防はリハビリテーションと再発予防です。健診でのうつスクリーニング後の面接は二次予防の典型例で、作業療法や再燃予防教育は三次予防、地域住民への啓発講演は一次予防に分類されます。ストレスチェック制度や職場の4つのケアも押さえておくべき制度です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:地域精神保健活動における二次予防はどれか。
解説:正解は 4 です。予防医学の概念には一次・二次・三次予防の3段階があります。一次予防は疾病の発生そのものを防ぐ健康増進と特異的予防(健康教育、ストレスマネジメント講演、予防接種など)、二次予防は発症した疾病の早期発見・早期治療(健診、スクリーニング、早期介入)、三次予防はすでに発症した疾患の進行抑制・機能回復・社会復帰(リハビリテーション、再発予防教育、作業療法)です。会社の健康診断でうつ傾向と判定された人への面接は、うつ病の早期発見と早期治療につなげる介入であり、典型的な二次予防にあたります。
選択肢考察
-
× 1. 精神科病院で統合失調症患者に作業療法を行う。
作業療法は既に発症した精神疾患患者のリハビリテーションと社会復帰を目的とするため、三次予防に分類されます。
-
× 2. 精神疾患患者に再燃を予防するための教育を行う。
再燃予防は既発症患者を対象とした介入で、疾患の進行・再発を防ぐ三次予防にあたります。
-
× 3. 地域の住民を対象にストレスマネジメントの講演会を行う。
健康な一般住民を対象とした健康増進教育は、疾病発生そのものを予防する一次予防にあたります。
-
○ 4. 会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。
健診でうつ傾向をスクリーニングし、面接で早期介入することは、うつ病の早期発見・早期治療につなげる二次予防の代表例です。
職場のメンタルヘルス対策では、厚生労働省が「4つのケア」(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)と「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を示しています。2015年12月からは労働者50人以上の事業場でストレスチェック制度が義務化され、高ストレス者への医師面接が二次予防の柱となっています。リワーク(職場復帰支援)プログラムは三次予防に該当します。
予防医学の一次・二次・三次予防の概念を、具体的な精神保健活動に当てはめて判別できるかを問う問題です。
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