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乳児のストーマケア 排泄口は体の外側へ

看護師国家試験 第106午後69

国試問題にチャレンジ

106午後69

生後1か月の男児。Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病( Hirschsprung disease )と診断され、生後6日、回腸部にストーマ造設術を行った。術後の経過は良好であり、退院に向けてストーマケアに関する指導を行うことになった。 母親に対する指導として適切なのはどれか。

  1. 1.「面板をはがした部位はタオルで拭いてください」
  2. 2.「ストーマ装具の交換は授乳直後に行ってください」
  3. 3.「ストーマから水様の便が出る時は受診してください」
  4. 4.「ストーマ装具の交換は滅菌手袋を装着して行ってください」
  5. 5.「ストーマ装具は便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ってください」

対話形式の解説

博士博士
今回はヒルシュスプルング病の乳児のストーマケアについて学ぶぞ。状況設定をまず押さえよう。
サクラサクラ
生後1か月の男の子で、回腸にストーマを造設したんですよね。ヒルシュスプルング病って何ですか?
博士博士
腸管壁の神経節細胞が先天的に欠如する病気じゃ。神経節がないと腸が蠕動できず、便が通過できなくなる。機能的腸閉塞とも呼ばれるぞ。
サクラサクラ
治療は手術ですか?
博士博士
新生児期は一時的にストーマを造設し、その後根治術で無神経節腸管を切除して正常腸管を肛門につなげる。出生4,000〜5,000人に1人、男児に多いのが特徴じゃ。
サクラサクラ
なるほど。それでストーマケアの指導ですが…乳児のケアって大人と違うんですか?
博士博士
違うぞ。最大の違いは『誰が管理するか』。大人は本人じゃが、乳児は母親(介助者)が行う。だから装具の装着方向が変わる。
サクラサクラ
え、どういうことですか?
博士博士
成人では本人が便破棄しやすいように排泄口を下向きに装着するが、乳児では介助者が横から操作しやすいように『体の外側』に向けて装着するのじゃ。
サクラサクラ
あ、オムツ替えのときに側面から手が入れやすいからですね!
博士博士
その通り。これが選択肢5の正解の理由じゃ。
サクラサクラ
他の選択肢も見ていきたいです。タオルで拭くのは?
博士博士
面板をはがした後はまずティッシュで便や粘着剤を拭き取り、ぬるま湯と弱酸性石けんでやさしく洗浄するのが基本じゃ。タオルだけだと不十分じゃな。
サクラサクラ
授乳直後の交換は?
博士博士
授乳直後は胃結腸反射で排便が増える上、吐き戻しのリスクもある。授乳前か、排便が少ないタイミングを選ぶのが適切じゃ。
サクラサクラ
水様便で受診は?
博士博士
回腸ストーマでは水様〜泥状便が正常じゃ。大腸で水分吸収されないからのう。母乳栄養の乳児ならなおさら軟便じゃ。
サクラサクラ
ということは、水様便そのものは心配いらないんですね。
博士博士
そうじゃ。ただし急激な増加、血便、発熱、ぐったり、尿量減少などの脱水徴候があれば受診じゃ。
サクラサクラ
滅菌手袋は?
博士博士
腸管粘膜は無菌じゃないし、家族なら素手でもよい。衛生や抵抗感を考えるなら未滅菌のディスポ手袋で十分じゃ。
サクラサクラ
乳児ならではの注意点はありますか?
博士博士
皮膚が薄くデリケートじゃから、①低刺激の皮膚保護剤を使う、②テープの頻繁な剥離を避ける、③装具交換は短時間で、④皮膚の発赤や浸軟に注意、⑤便漏れを予防する、などじゃ。
サクラサクラ
母親の心理面のサポートも大事ですよね?
博士博士
もちろんじゃ。先天性疾患で生まれたばかりの子がストーマを持つことは、母親に大きな衝撃を与える。不安や罪悪感に寄り添い、手技を一緒に練習して自信を育てる関わりが看護師の役割じゃ。
サクラサクラ
退院後の社会資源も気になります。
博士博士
小児慢性特定疾病医療費助成、身体障害者手帳(ストーマ造設で交付対象)、乳児医療費助成などがある。医療ソーシャルワーカーと連携して情報提供するのじゃ。
サクラサクラ
医療と生活の両面から支える視点が必要なんですね。

POINT

乳児のストーマケアに特有の配慮を問う問題。『誰が管理するか(介助者である母親)』の視点が正答への鍵。

解答・解説

正解は5です

問題文:生後1か月の男児。Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病( Hirschsprung disease )と診断され、生後6日、回腸部にストーマ造設術を行った。術後の経過は良好であり、退院に向けてストーマケアに関する指導を行うことになった。 母親に対する指導として適切なのはどれか。

解説:正解は 5 です。乳児のストーマケアでは、母親(介護者)が便破棄を行うため、介助者が便を捨てやすいように『装具の排泄口(便を捨てる部分)が体の外側を向くように貼る』のが基本。これにより、オムツ替えや抱っこの際にも排泄口が操作しやすく、便漏れのリスクも低減する。成人で本人が管理する場合は下向きに装着するのが一般的だが、乳児では介助者視点の装着方法が適切である。

選択肢考察

  1. ×1.  「面板をはがした部位はタオルで拭いてください」

    面板をはがした直後は便や粘着剤が付着しているため、まずティッシュや柔らかい紙で汚れを拭き取り、その後ぬるま湯と弱酸性石けんでやさしく洗浄する。タオルで拭くだけでは皮膚トラブルの原因となる。

  2. ×2.  「ストーマ装具の交換は授乳直後に行ってください」

    授乳直後は胃結腸反射で排便が増え、吐き戻し(溢乳)のリスクも高い。装具交換は授乳前、もしくは授乳から時間を空けた排便が少ないタイミングで行うのが適切。

  3. ×3.  「ストーマから水様の便が出る時は受診してください」

    回腸ストーマでは大腸での水分吸収がないため、水様〜泥状便が正常。母乳栄養の乳児では特に軟便傾向。水様便が続くこと自体は異常ではなく、受診を促す必要はない。ただし急激な量の増加、血便、発熱、脱水徴候は受診の目安となる。

  4. ×4.  「ストーマ装具の交換は滅菌手袋を装着して行ってください」

    ストーマ(腸管粘膜)は無菌野ではないため、装具交換に滅菌手袋は不要。家族であれば素手でもよく、衛生や心理的抵抗を考慮するならディスポーザブル(未滅菌)手袋で十分。

  5. 5.  「ストーマ装具は便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ってください」

    正しい。介助者が便破棄しやすいように排泄口を外側に向けて装着する。乳児では母親が管理することを前提に、操作性と便漏れ防止の観点から適切な方法である。

ヒルシュスプルング病は腸管壁の神経節細胞(アウエルバッハ神経叢・マイスナー神経叢)が先天的に欠如することで、無神経節腸管が蠕動できず機能的腸閉塞を起こす疾患。出生4,000〜5,000人に1人、男児に多い(男女比3:1〜4:1)。新生児期の胎便排泄遅延、腹部膨満、嘔吐で発症する。治療は一時的ストーマ造設の後、根治術(スウェンソン法、ソアベ法、デュアメル法など)で無神経節腸管を切除し正常腸管を肛門につなぐ。乳児のストーマケアでは、皮膚が薄くデリケートなため、低刺激の皮膚保護剤使用、短時間での装具交換、排泄口の向きへの配慮が重要。

乳児のストーマケアに特有の配慮を問う問題。『誰が管理するか(介助者である母親)』の視点が正答への鍵。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。