薬物依存症の退院後支援
看護師国家試験 第107回 午後 第105問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん( 32歳、男性 )。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。 Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
- 1.服薬心理教育を実施する。
- 2.ハローワークを紹介する。
- 3.生活技能訓練< SST >を勧める。
- 4.薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラPOINT
薬物依存症の退院支援では、自宅だけに戻さず同じ課題を持つ仲間と繋がるリハビリ施設や自助グループへの情報提供が再発予防に直結します。
解答・解説
正解は4です
問題文:Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。 Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
解説:正解は4の薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供することです。Aさんは自力での断薬が困難だったことを認識し、自宅に戻ると再使用してしまう不安を自ら語っており、回復志向の動機が芽生えた状態です。退院後にすぐ自宅で生活すると再発のリスクが高いため、DARCや精神保健福祉センターと連携したリハビリ施設など、同じ依存症をもつ仲間と共に回復プログラムを続けられる社会資源を紹介することが最も適切です。
選択肢考察
- ×1. 服薬心理教育を実施する。
心理教育は治療の基本要素ですが、既に動機づけが形成され退院後環境の不安を訴えている段階では、具体的な退院後の枠組み提示がより適切です。
- ×2. ハローワークを紹介する。
就労支援は依存からの回復が安定してから取り組む段階的課題です。断薬が未確立な時期に就労を優先するとストレスから再使用を誘発する危険があります。
- ×3. 生活技能訓練< SST >を勧める。
SSTは対人関係やコミュニケーションのスキル習得を目的とした訓練で、本人の再発予防の切実な不安に直接答える手段ではありません。
- ○4. 薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
DARCや自助グループなど依存症専門のリハビリ施設では、同じ課題を抱える仲間と共に回復プログラムを実施できます。再発しやすい退院直後の環境を整える最も有効な選択肢です。
薬物依存症の治療は解毒・リハビリ・アフターケアの3段階に分かれ、入院での離脱期を終えたら地域の自助グループ(NA)や民間リハビリ施設(DARC)、精神保健福祉センターの依存症回復プログラムへつなぐことが標準的です。「一人で頑張らない」環境づくりが回復のカギで、本人の回復意欲を支える他者との関わりが重要です。
薬物依存症の退院支援では、自宅だけに戻さず同じ課題を持つ仲間と繋がるリハビリ施設や自助グループへの情報提供が再発予防に直結します。
「物質依存・自殺・自傷」の関連問題
「死にたい」と言われたら—境界性パーソナリティ障害と自傷への初期対応
境界性パーソナリティ障害で自傷後に希死念慮を訴える患者への救急外来初期対応を問う問題。説得・指導・他者への配慮喚起ではなく、まず本人の苦痛に共感し受容することが原則。
115回(状況設定)
揺れる関係を支える看護の知恵 ボーダーラインパーソナリティ障害とチームアプローチ
境界性パーソナリティ障害の患者にみられる『特定スタッフへの依存・分裂操作』と、それに巻き込まれそうな看護師への対応として、チームでの感情共有と枠組みのある関わり(限界設定)が問われている問題。
115回(状況設定)
怒りを言葉に変える瞬間を逃さない:BPD患者の「語れた」を支える看護
境界性パーソナリティ障害の患者が、攻撃的な行動化の直後に、その引き金と過去のトラウマ的背景を自ら言葉にできた場面で、看護師がどの対応を選ぶかを問う問題。行動の制止や記憶の抑制ではなく、感情を言語化できた事実そのものを肯定的に承認することが、回復に資する関わりとなる。
115回(状況設定)
処方薬がいつしか「快感の道具」に…乱用と急性中毒はどう違う?
処方薬を陶酔目的で逸脱使用し社会生活に支障が出ている状態を、急性中毒・拘禁反応・乱用・フラッシュバックのどれに位置づけるかを問う精神科分類問題。
114回(状況設定)
入院でぴたりと薬を止めたら…48〜72時間に襲う離脱症候群の正体
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の長期大量服用者が急に断薬された際、48〜72時間に出現しやすい症状を問う問題。離脱症候群の時間経過と中核症状を理解しているかが問われる。
114回(状況設定)
