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在宅がん患者と医療用麻薬の家族指導

看護師国家試験 第115午後45

国試問題にチャレンジ

115午後45

がん性疼痛があり医療用麻薬を使用中の在宅療養者の家族への説明で正しいのはどれか。

  1. 1.医療用麻薬は鍵のかかる棚で管理する。
  2. 2.貼付剤の交換時は、前回とは違う場所に貼る。
  3. 3.医療用麻薬を紛失した場合は、保健所に届け出る。
  4. 4.強い痛みを訴えたときは、定時の医療用麻薬の時間を早めて使用する。

対話形式の解説

博士博士
今回は在宅でがん性疼痛の治療を受けている患者さんの、ご家族への説明についての問題じゃ。
サクラサクラ
医療用麻薬を使っているケースですね。家族にどう伝えるかって、現場でもよく悩むテーマだと思います。
博士博士
選択肢は4つある。1つ目は「医療用麻薬は鍵のかかる棚で管理する」じゃが、これはどう思う?
サクラサクラ
病院や薬局では確かに施錠保管が法律で決まっていますよね。でも家庭でもそこまで必須なんでしょうか?
博士博士
鋭いところに気がついたの。在宅で患者本人が使う分については、必ずしも施錠保管が法的義務というわけではないんじゃ。小児やペットの誤飲を避けつつ、湿気や日光を避けて他の薬と区別して保管できれば十分じゃよ。
サクラサクラ
なるほど、「必ず鍵付きで」と限定して説明するのは不適切なんですね。次の「貼付剤の交換時は、前回とは違う場所に貼る」はどうですか?
博士博士
これが正解じゃ。フェンタニル貼付剤のような経皮吸収型製剤は、同じ場所に繰り返し貼ると皮膚がかぶれて吸収量がばらつき、鎮痛効果が不安定になるからの。
サクラサクラ
胸や上腕、上背部、腹部などをローテーションして使うってことですね。貼る前に汗や汚れを拭き取るのも大事ですよね。
博士博士
その通り。発赤や傷のある部位は避けて、貼った場所を記録しておくと家族も間違えにくいぞ。さて3つ目「紛失したら保健所に届け出る」はどうじゃ?
サクラサクラ
えっと、保健所…ではなく、まずは処方してもらった医療機関や薬局に連絡するのが先ですよね?
博士博士
正解じゃ。在宅での紛失時の第一報は医療機関や薬局じゃ。事故届の正式な手続きは麻薬取扱者が行うので、家族には「気付いたらすぐ連絡」と伝えるのがよい。
サクラサクラ
最後の「強い痛みのときは定時薬の時間を早める」はどうでしょう?これも危なそうに聞こえます。
博士博士
その通り。定時薬を勝手に前倒しすると血中濃度が上がりすぎて、呼吸抑制や過鎮静を招くおそれがある。突出痛にはあらかじめ処方されたレスキュー薬を使うのが基本じゃ。
サクラサクラ
定時薬とレスキュー薬を分けて考えるんですね。家族にもその区別をきちんと説明しておくことが大切なんですね。
博士博士
うむ。在宅麻薬管理は安全と効果の両立がカギじゃ。家族が安心して支えられるよう、具体的な手順を一緒に確認しておくとよい。

POINT

在宅で医療用麻薬(特にフェンタニル貼付剤)を使用するがん患者の家族指導として、貼付部位のローテーションや突出痛へのレスキュー薬使用など、安全管理の基本を理解しているかを問う問題です。

解答・解説

正解は2です

問題文:がん性疼痛があり医療用麻薬を使用中の在宅療養者の家族への説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。フェンタニルなどの医療用麻薬の経皮吸収型製剤(貼付剤)は、皮膚から薬剤が持続的に吸収される仕組みであるため、同じ部位に繰り返し貼り続けると皮膚刺激や発赤・かぶれ・接触性皮膚炎を起こしやすくなります。また、皮膚の状態が悪化すると薬剤の吸収量が不安定になり、鎮痛効果のばらつきや副作用のリスクが高まります。そのため、貼付剤は交換のたびに前回とは異なる部位(胸部・上腕・上背部・腹部などの平坦で体毛の少ない部位)にローテーションして貼ることが基本です。家族にもこの点を具体的に説明し、貼付部位を記録しておく方法などを一緒に確認しておくと安心です。

選択肢考察

  1. ×1.  医療用麻薬は鍵のかかる棚で管理する。

    医療機関や薬局では麻薬及び向精神薬取締法に基づき、医療用麻薬は鍵のかかる堅固な設備で保管することが義務づけられています。しかし、患者本人や家族が在宅で使用する分の医療用麻薬については、必ずしも施錠保管が法的に求められているわけではなく、小児やペットの誤飲を避けつつ、湿気や直射日光を避けて他の薬と区別して保管することが基本です。家族に「必ず鍵のかかる棚で」と限定して伝えるのは適切ではありません。

  2. 2.  貼付剤の交換時は、前回とは違う場所に貼る。

    フェンタニル貼付剤などの経皮吸収型製剤は、同一部位に連続して貼ると皮膚刺激や紅斑、かぶれが生じ、薬剤吸収も不安定になります。交換のたびに胸部・上腕・上背部・腹部など平坦で清潔な部位に貼り替え、同じ場所に再び貼るまで一定期間あけるよう家族に説明します。貼付前には皮膚の汚れや汗を拭き取り、傷や発赤のある部位は避けます。

  3. ×3.  医療用麻薬を紛失した場合は、保健所に届け出る。

    医療用麻薬を在宅で紛失・破損した場合は、保健所ではなく処方を受けた医療機関や薬局(薬剤師・医師)にまず連絡することが原則です。施設管理者や麻薬取扱者は事故届を都道府県知事に提出する義務がありますが、家族への第一の説明としては「すぐに医療機関または薬局に連絡する」が適切で、保健所への直接届出を促す説明は誤りです。

  4. ×4.  強い痛みを訴えたときは、定時の医療用麻薬の時間を早めて使用する。

    定時投与中に出現する突出痛に対しては、定時薬の時間を勝手に早めるのではなく、あらかじめ処方されているレスキュー薬(速放性オピオイドなど)を頓用で使用します。定時薬の時間を前倒しすると血中濃度が過剰となり、呼吸抑制や過鎮静などの重篤な副作用を招くおそれがあります。家族には突出痛時のレスキュー薬の使い方と、医療者への報告のタイミングを具体的に指導します。

在宅でのがん疼痛管理では、(1)定時投与薬とレスキュー薬の区別、(2)貼付剤の貼付部位ローテーションと皮膚観察、(3)便秘・悪心・眠気・呼吸抑制といった副作用の早期発見、(4)余った麻薬や使用済み貼付剤の返却・処分方法、(5)紛失時は医療機関や薬局へ連絡する、といった点が家族指導の柱になります。使用済み貼付剤は粘着面を内側に折り畳んで処分し、子どもやペットが触れないよう注意することも重要です。

在宅で医療用麻薬(特にフェンタニル貼付剤)を使用するがん患者の家族指導として、貼付部位のローテーションや突出痛へのレスキュー薬使用など、安全管理の基本を理解しているかを問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。