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皮疹がないのに全身がかゆい!高齢者に多い「老人性皮膚掻痒症」を徹底解説

看護師国家試験 第115午後56

国試問題にチャレンジ

115午後56

老人性皮膚掻痒症の特徴はどれか。

  1. 1.水痘の感染歴と関連する。
  2. 2.症状の範囲は全身性である。
  3. 3.治療は原因物質の除去である。
  4. 4.強い痒みを伴う紅斑性丘疹である。

対話形式の解説

博士博士
今日は高齢者の皮膚トラブルでとても多い『老人性皮膚掻痒症(ろうじんせいひふそうようしょう)』について学ぶぞ。
サクラサクラ
『そう痒症』って、かゆみのことですよね。老人性ってつくと、加齢が関係している感じがします。
博士博士
その通りじゃ。加齢に伴って皮脂腺や汗腺の働きが低下し、皮膚の水分が逃げやすくなる…いわゆる『ドライスキン』が背景にあるのじゃよ。
サクラサクラ
なるほど。じゃあ、湿疹みたいな赤いブツブツがたくさん出るんですか?
博士博士
ここが大事なポイントじゃ。老人性皮膚掻痒症は、見た目には目立った発疹がないのに、強いかゆみが出るのが特徴なのじゃ。
サクラサクラ
えっ、皮膚は普通に見えるのにかゆい…?それは患者さん辛そうですね。
博士博士
そうじゃ。しかも、かゆみは背中や下肢、体幹など全身性に広がりやすい。だから今回の問題では『症状の範囲は全身性である』が正解なのじゃよ。
サクラサクラ
他の選択肢、たとえば『水痘の感染歴と関連する』はどうして違うんですか?
博士博士
それは帯状疱疹の話じゃな。子どもの頃にかかった水痘ウイルスが神経節に潜んでいて、加齢や免疫低下で再活性化して片側のデルマトームに沿って水疱と痛みが出る。老人性皮膚掻痒症とはまったく別物じゃ。
サクラサクラ
『治療は原因物質の除去』は…接触皮膚炎みたいな感じですか?
博士博士
お、よく気づいたな。原因物質を除くのは接触皮膚炎の基本治療。老人性皮膚掻痒症はドライスキンが土台じゃから、治療は保湿が主役。ヘパリン類似物質や尿素軟膏、ワセリンなどを使って皮膚のバリア機能を補うのじゃ。
サクラサクラ
『強い痒みを伴う紅斑性丘疹』は、蕁麻疹や湿疹のイメージですね。
博士博士
その通り。老人性皮膚掻痒症ではむしろ皮疹が乏しいのが特徴。掻きこわして二次的に湿疹化することはあるが、最初は『かゆいだけ』のことが多い。
サクラサクラ
看護師として生活指導するなら、どんなことを伝えればいいですか?
博士博士
ぬるめの湯(38〜40度)で短時間入浴、ナイロンタオルでゴシゴシこすらない、入浴後5分以内に保湿剤を塗る、部屋を加湿する、肌着は綿素材を選ぶ…このあたりが基本じゃ。
サクラサクラ
冬になると乾燥でかゆみが強くなるって聞きますもんね。季節ケアも大事ですね。
博士博士
うむ。あとひとつ重要なことを言うておこう。高齢者の全身性のかゆみは、糖尿病・慢性腎臓病・胆汁うっ滞・甲状腺疾患・悪性リンパ腫など、内科疾患に伴う症候性掻痒のこともある。漫然と『歳のせい』で済ませず、背景疾患の検索も忘れてはならんのじゃ。
サクラサクラ
皮膚の症状の奥に全身疾患が隠れていることもあるんですね。視野を広く持つことが大切ですね。

POINT

高齢者に多い「老人性皮膚掻痒症」の臨床的特徴を問う問題。皮疹を伴わず全身性のかゆみが生じる、加齢に伴うドライスキンが背景にある、という基本像を押さえているかが鍵となる。

解答・解説

正解は2です

問題文:老人性皮膚掻痒症の特徴はどれか。

解説:正解は 2 です。老人性皮膚掻痒症(老人性皮膚そう痒症)は、加齢に伴って皮脂腺・汗腺の機能が低下し、皮膚の水分保持能力が落ちることで生じる「ドライスキン(皮脂欠乏性皮膚)」を背景としたかゆみの病態です。明らかな原発疹(紅斑や丘疹など)がないにもかかわらず、強いかゆみが背中・下肢・体幹など全身性に出現するのが特徴で、特に空気が乾燥する秋〜冬季に悪化しやすいとされます。掻破により二次的に湿疹化(皮脂欠乏性湿疹)へ進展することもあります。

選択肢考察

  1. ×1.  水痘の感染歴と関連する。

    水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染後にウイルスが知覚神経節に潜伏し、再活性化して発症するのは帯状疱疹である。帯状疱疹はデルマトーム(皮膚分節)に沿った片側性の有痛性水疱が特徴で、老人性皮膚掻痒症とは別疾患である。

  2. 2.  症状の範囲は全身性である。

    加齢による皮脂分泌の低下・角質水分量の減少を基盤として、背部・下腿・体幹を中心に全身性のかゆみを呈する。発疹を伴わないか、あっても乾燥に伴う細かな鱗屑程度であることが多い。

  3. ×3.  治療は原因物質の除去である。

    原因物質(アレルゲン・刺激物)の除去が治療の基本となるのは接触皮膚炎である。老人性皮膚掻痒症の治療は、保湿剤(ヘパリン類似物質・尿素軟膏・ワセリンなど)によるスキンケアと、必要に応じた抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬が中心となる。

  4. ×4.  強い痒みを伴う紅斑性丘疹である。

    老人性皮膚掻痒症では、本来は目に見える皮疹(紅斑や丘疹)はみられず、かゆみだけが先行する点が特徴である。強い痒みを伴う紅斑性丘疹は、蕁麻疹・湿疹・虫刺症・アトピー性皮膚炎などで典型的に認められる所見である。

老人性皮膚掻痒症の基盤にあるのは皮脂欠乏(ドライスキン)であり、過度な石鹸使用、熱い湯での長湯、ナイロンタオルでの強い摩擦、暖房による乾燥はいずれも悪化要因となる。看護援助としては、ぬるめの湯(38〜40度)での短時間入浴、弱酸性の低刺激洗浄料の使用、入浴直後(5分以内)の保湿剤塗布、室内の加湿(湿度50〜60%)、綿などの肌に優しい衣類選択を指導する。また、高齢者の全身性掻痒では、糖尿病・慢性腎臓病・肝胆道疾患(胆汁うっ滞)・甲状腺機能異常・悪性リンパ腫など内科的疾患に伴う症候性のかゆみが隠れていることもあり、漫然と皮膚科的対応に終始せず原因検索を行う視点も重要である。

高齢者に多い「老人性皮膚掻痒症」の臨床的特徴を問う問題。皮疹を伴わず全身性のかゆみが生じる、加齢に伴うドライスキンが背景にある、という基本像を押さえているかが鍵となる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。