皮疹がないのに全身がかゆい!高齢者に多い「老人性皮膚掻痒症」を徹底解説
看護師国家試験 第115回 午後 第56問
国試問題にチャレンジ
老人性皮膚掻痒症の特徴はどれか。
- 1.水痘の感染歴と関連する。
- 2.症状の範囲は全身性である。
- 3.治療は原因物質の除去である。
- 4.強い痒みを伴う紅斑性丘疹である。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
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サクラ
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サクラPOINT
高齢者に多い「老人性皮膚掻痒症」の臨床的特徴を問う問題。皮疹を伴わず全身性のかゆみが生じる、加齢に伴うドライスキンが背景にある、という基本像を押さえているかが鍵となる。
解答・解説
正解は2です
問題文:老人性皮膚掻痒症の特徴はどれか。
解説:正解は 2 です。老人性皮膚掻痒症(老人性皮膚そう痒症)は、加齢に伴って皮脂腺・汗腺の機能が低下し、皮膚の水分保持能力が落ちることで生じる「ドライスキン(皮脂欠乏性皮膚)」を背景としたかゆみの病態です。明らかな原発疹(紅斑や丘疹など)がないにもかかわらず、強いかゆみが背中・下肢・体幹など全身性に出現するのが特徴で、特に空気が乾燥する秋〜冬季に悪化しやすいとされます。掻破により二次的に湿疹化(皮脂欠乏性湿疹)へ進展することもあります。
選択肢考察
- ×1. 水痘の感染歴と関連する。
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染後にウイルスが知覚神経節に潜伏し、再活性化して発症するのは帯状疱疹である。帯状疱疹はデルマトーム(皮膚分節)に沿った片側性の有痛性水疱が特徴で、老人性皮膚掻痒症とは別疾患である。
- ○2. 症状の範囲は全身性である。
加齢による皮脂分泌の低下・角質水分量の減少を基盤として、背部・下腿・体幹を中心に全身性のかゆみを呈する。発疹を伴わないか、あっても乾燥に伴う細かな鱗屑程度であることが多い。
- ×3. 治療は原因物質の除去である。
原因物質(アレルゲン・刺激物)の除去が治療の基本となるのは接触皮膚炎である。老人性皮膚掻痒症の治療は、保湿剤(ヘパリン類似物質・尿素軟膏・ワセリンなど)によるスキンケアと、必要に応じた抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬が中心となる。
- ×4. 強い痒みを伴う紅斑性丘疹である。
老人性皮膚掻痒症では、本来は目に見える皮疹(紅斑や丘疹)はみられず、かゆみだけが先行する点が特徴である。強い痒みを伴う紅斑性丘疹は、蕁麻疹・湿疹・虫刺症・アトピー性皮膚炎などで典型的に認められる所見である。
老人性皮膚掻痒症の基盤にあるのは皮脂欠乏(ドライスキン)であり、過度な石鹸使用、熱い湯での長湯、ナイロンタオルでの強い摩擦、暖房による乾燥はいずれも悪化要因となる。看護援助としては、ぬるめの湯(38〜40度)での短時間入浴、弱酸性の低刺激洗浄料の使用、入浴直後(5分以内)の保湿剤塗布、室内の加湿(湿度50〜60%)、綿などの肌に優しい衣類選択を指導する。また、高齢者の全身性掻痒では、糖尿病・慢性腎臓病・肝胆道疾患(胆汁うっ滞)・甲状腺機能異常・悪性リンパ腫など内科的疾患に伴う症候性のかゆみが隠れていることもあり、漫然と皮膚科的対応に終始せず原因検索を行う視点も重要である。
高齢者に多い「老人性皮膚掻痒症」の臨床的特徴を問う問題。皮疹を伴わず全身性のかゆみが生じる、加齢に伴うドライスキンが背景にある、という基本像を押さえているかが鍵となる。
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