皮膚搔痒症と保湿ケア
老年看護学 / 高齢者の疾患・身体ケア
解説
今回は皮膚搔痒症と保湿ケアについて解説します。皮膚搔痒症とは、目に見える発疹がないにもかかわらず、かゆみ(搔痒)を主訴とする病態のことです。高齢者では加齢に伴う皮膚生理機能の低下を背景に発症することが多く、看護では原因を理解したうえでスキンケアを指導することが重要になります。
皮膚搔痒症とは
皮膚搔痒症は、湿疹・蕁麻疹・皮膚炎などの明らかな発疹を伴わないかゆみが特徴です。発疹を伴う皮膚疾患(接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎など)とは区別されます。掻破を繰り返すうちに皮膚が傷つき、二次的に湿疹化したり、引っかき傷から細菌感染を起こすことがあるため、早期からの対策が必要です。
老人性皮膚搔痒症
高齢者に好発する皮膚搔痒症を老人性皮膚搔痒症といいます。原因は加齢による**皮膚の乾燥(ドライスキン)**で、角層の水分保持機能の低下と、皮脂腺・汗腺からの分泌の減少が背景にあります。皮膚バリア機能が低下すると、わずかな刺激にも神経が反応しやすくなり、かゆみが生じます。下腿(特に前面)・腰背部・腹部に好発し、入浴後や就寝時、衣服による摩擦時にかゆみが増強しやすいのが特徴です。掻き続けると皮脂欠乏性湿疹(乾皮症性湿疹)へ進展することもあります。
看護とスキンケア
治療と看護の基本は保湿による皮膚バリアの補強です。入浴後は皮膚表面の水分が蒸発しやすいため、タオルで軽く押さえ拭きしたあと、できるだけ早く(おおむね5分以内)保湿剤を全身に塗布します。これにより角層の水分を保ち、乾燥によるかゆみを軽減できます。
入浴方法も重要です。熱い湯は皮脂を過剰に洗い流すため、**ぬるめの湯(38〜40℃前後)**で短時間の入浴とします。ナイロンタオルやブラシでこする洗い方は角層を傷つけるため避け、よく泡立てた石けんを手で優しく洗い、十分にすすぎます。石けんは弱酸性で刺激の少ないものを選びます。
生活環境では、室内湿度を**50〜60%**程度に保ち、肌着は綿などの刺激の少ない素材を選びます。電気毛布やこたつでの過度な温めは皮膚を乾燥させるため控え、爪は短く整えて掻破による損傷を防ぎます。
まとめ
皮膚搔痒症は発疹を伴わないかゆみが特徴で、高齢者では加齢に伴うドライスキンが主な原因となる老人性皮膚搔痒症が代表的です。看護の基本は保湿で、入浴後すぐに保湿剤を塗布し、ぬるめの湯での短時間入浴、ナイロンタオルでの摩擦を避けること、室内湿度を50〜60%に保つことなどを生活指導します。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
目に見える発疹を伴わずにかゆみを主訴とする病態をという。
- 2.
高齢者の皮膚搔痒症の主な原因は、加齢による角層の水分保持機能と皮脂分泌の低下に伴う皮膚のである。
- 3.
老人性皮膚搔痒症の症状改善の基本は、入浴後に剤(保湿クリーム)を塗布し、皮膚バリアを補うことである。
- 4.
皮膚搔痒症の患者への入浴指導では、皮脂を過剰に奪わないためにの湯で短時間の入浴とする。
- 5.
皮膚搔痒症の患者では、角層を傷つけ乾燥を悪化させるため、などでの強い摩擦による洗浄は避ける。
- 6.
皮膚搔痒症の生活環境指導として、皮膚の乾燥を防ぐために室内湿度を%程度に保つよう指導する。
