StudyNurse

外国籍患者の祈りと同室者の安静をどう両立する?

看護師国家試験 第115午前73

国試問題にチャレンジ

115午前73

4人部屋に入院中のAさん(外国籍)は3日後に手術予定である。Aさんは1日3回、決まった時間に毎日病室でお祈りをしている。看護師が訪室したところ、同室のBさんから「お祈りの声が気になってゆっくり休めない」と相談された。 看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.Bさんに有料個室への転室を勧める。
  2. 2.Aさんにお祈りは手術当日に行うよう説明する。
  3. 3.同室者全員に病室の環境のアンケート調査を行う。
  4. 4.Aさんに病室とは別にお祈りのための場所を準備する。

対話形式の解説

博士博士
今日は外国籍のAさんが病室で1日3回お祈りしていて、同室のBさんが『声が気になって休めない』と相談してきた場面じゃ。看護師はどう動くべきかの?
サクラサクラ
えっと、Bさんがつらいなら個室に移ってもらうのはどうですか?
博士博士
それは困っている側に費用や負担を押し付ける構図になってしまうのう。本来環境を調整するのは誰の役目じゃ?
サクラサクラ
あ、確かに…病院側、看護師の役目ですね。じゃあAさんに『お祈りは手術当日だけにして』と頼むのは?
博士博士
それも危ういぞ。信仰行為は本人にとって生活の根幹じゃ。一方的に中止や延期を求めるのは信教の自由を侵害することになるんじゃよ。
サクラサクラ
信教の自由って、憲法でも保障されているやつですよね。
博士博士
そうじゃ。日本国憲法第20条で保障されておる。医療現場でも当然尊重されるべきで、ICN看護師の倫理綱領にも『文化や信条を尊重する』と明記されておる。
サクラサクラ
じゃあ正解は…Aさんに別の祈りの場所を用意することですか?
博士博士
その通り!病棟内のカンファレンスルームや空き個室、面談室などを礼拝場所として案内すれば、Aさんは祈りを続けられ、Bさんも安静を保てる。両者の権利を両立できる調整なんじゃ。
サクラサクラ
アンケート調査をするという選択肢もありましたけど、これはダメですか?
博士博士
時間がかかって今困っているBさんへの即時対応にならんし、信仰の問題を多数決で決めるような構図になりかねん。これも不適切じゃな。
サクラサクラ
最近は外国籍の患者さんが増えていますよね。具体的にどんな配慮が必要なんでしょう?
博士博士
イスラム教徒なら1日5回の礼拝とメッカの方向=キブラへの配慮、ハラル食、ラマダンの絶食期間。さらに女性患者への同性看護師の対応など、宗教ごとの実践内容を押さえておくとよい。仏教徒やキリスト教徒、ヒンドゥー教徒でも食事や祈りの形は異なるからのう。
サクラサクラ
『多文化看護』とか『トランスカルチュラルナーシング』という言葉を聞いたことがあります。
博士博士
レイニンガーが提唱した理論じゃな。患者の文化的背景を理解した上でケアを提供することが、現代看護では必須スキルになっておる。国試でも頻出テーマじゃから押さえておくのじゃぞ。
サクラサクラ
覚え方を教えてください!
博士博士
『我慢させない・押し付けない・両立を探す』じゃ。患者同士の権利が衝突したら、看護師が第三の道をコーディネートする。これが文化的配慮の基本姿勢なんじゃよ。

POINT

多文化・多宗教の患者への対応では、信仰の自由を尊重しつつ同室者の療養環境も守る「両立可能な環境調整」を行うことが看護師の役割です。

解答・解説

正解は4です

問題文:4人部屋に入院中のAさん(外国籍)は3日後に手術予定である。Aさんは1日3回、決まった時間に毎日病室でお祈りをしている。看護師が訪室したところ、同室のBさんから「お祈りの声が気になってゆっくり休めない」と相談された。 看護師の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は4「Aさんに病室とは別にお祈りのための場所を準備する」です。多くの宗教(イスラム教の1日5回の礼拝、仏教やキリスト教の祈祷など)では決まった時間に祈りを行うことが信仰生活の中核であり、これを制限することは個人の信教の自由を侵害することになります。一方で、4人部屋は他患者と空間を共有する療養環境であり、同室者の安静と睡眠を守ることも入院療養における重要な看護師の責務です。看護師は文化的・宗教的多様性を尊重しつつ、入院環境を全患者にとって安楽なものに調整する役割を担います。Aさんの祈りを継続できるよう病棟内のカンファレンスルームや空き個室、面談室などを礼拝場所として準備する対応は、Aさんの信仰の自由を守りつつBさんの療養環境も保てる「両立」の調整であり、文化を考慮した看護(cultural competence/文化的看護)の実践として最も適切です。

選択肢考察

  1. ×1.  Bさんに有料個室への転室を勧める。

    困っている側のBさんに費用負担を伴う転室を勧めるのは、本来病院が調整すべき環境問題の責任を患者に転嫁する対応であり、公平性を欠きます。また「我慢できない方が出ていく」という解決方法は問題の根本的な調整になっていません。

  2. ×2.  Aさんにお祈りは手術当日に行うよう説明する。

    宗教的実践は信仰者にとって日常的かつ規則的に行うべきものであり、看護師が一方的に中止や延期を求めることは信教の自由を侵害します。文化的配慮に欠ける対応で、Aさんの精神的安寧を損ない、術前の不安をかえって増強させる恐れもあります。

  3. ×3.  同室者全員に病室の環境のアンケート調査を行う。

    アンケート調査は実施に時間がかかり、今まさに困っているBさんの訴えに対する即時的な対応にはなりません。また「多数決」で個人の信仰を否定するような構図になりかねず、文化的配慮の場面で取るべき手段としては不適切です。

  4. 4.  Aさんに病室とは別にお祈りのための場所を準備する。

    Aさんの信仰を尊重して祈りを継続できるようにしつつ、Bさんを含む同室者の安静も守れる両立的な調整です。病棟内の静かな部屋を礼拝場所として確保することで、双方の権利と療養環境を保つことができ、文化的看護の実践として最も適切な対応です。

近年は外国籍の患者や在留外国人の入院が増えており、宗教・食事・言語・性別配慮など多文化看護(transcultural nursing)の視点が国試でも頻出です。具体的にはイスラム教徒の1日5回の礼拝(メッカの方向=キブラへの配慮)、ハラル食、ラマダン期間の絶食、女性患者への同性看護師の対応など、宗教ごとの実践内容を押さえておきましょう。覚え方は「我慢させない・押し付けない・両立を探す」。患者双方の権利が衝突する場面では、環境調整によって両立できる第三の道を看護師がコーディネートする姿勢が求められます。

多文化・多宗教の患者への対応では、信仰の自由を尊重しつつ同室者の療養環境も守る「両立可能な環境調整」を行うことが看護師の役割です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。