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胸管とリンパ系解剖

人体の構造・機能 / 循環器・呼吸器

解説

リンパ系とは、毛細リンパ管から始まり、集合リンパ管、リンパ節、リンパ本幹を経て静脈系に合流する一方向性の循環路です。今回は胸管を中心に、リンパ系の解剖と役割について解説します。

リンパ系の役割と流れ

リンパ系には大きく三つの役割があります。第一に、血管から組織へ滲み出して残った組織間液を回収して静脈系に戻す役割です。第二に、小腸絨毛のリンパ管から長鎖脂肪酸などの脂溶性栄養素を吸収し輸送する役割です。第三に、リンパ節を介した免疫応答の場としての役割です。

リンパ液は末梢から中枢へ一方向に流れます。心臓のような強力なポンプはなく、骨格筋の収縮、呼吸による胸腔内圧の変動、そしてリンパ管内に存在する弁による逆流防止の働きで、ゆっくりと中枢側へ送られます。

胸管の解剖

胸管人体最大のリンパ本幹で、長さは成人で約40cm、直径は2〜5mmです。胸管は第1〜2腰椎の高さにある乳び槽から始まります。乳び槽は左右の腰リンパ本幹と腸リンパ本幹が合流してできる袋状の部分で、腸管から吸収された脂肪を含む白濁したリンパ液(乳び)が流れ込むためにこの名前がついています。

胸管は乳び槽から脊柱の前面を上行し、横隔膜の大動脈裂孔を通って胸腔に入ります。胸腔内をさらに上行し、最終的に左静脈角で静脈系に合流します。左静脈角とは、左内頸静脈と左鎖骨下静脈が合流する部位を指します。

胸管が集めるリンパは、下半身全体と左上半身、すなわち左頭頸部・左上肢・左胸部に及び、全身のおよそ四分の三を担当します。一方、右上半身(右頭頸部・右上肢・右胸部)のリンパは右リンパ本幹に集まり、右静脈角で静脈系に注ぎます。右上半身以外の全身のリンパは胸管を経由して左静脈角に戻る、と整理しておくと覚えやすくなります。

リンパ節と臨床的意義

リンパ節は、リンパ管の途中に存在し、細菌や異物をろ過してリンパ球による免疫応答を行う場で、頸部・腋窩・鼠径部などにグループをなして分布しています。がん細胞もリンパ流に乗って広がるため、リンパ節転移はTNM分類のN因子として病期を決める重要な指標です。

乳がん術後に腋窩リンパ節を郭清すると患側上肢に、骨盤内手術後では下肢にリンパ浮腫が生じやすくなります。患側での血圧測定や採血を避けるのは、リンパ還流のさらなる悪化を防ぐためです。また胸管が損傷すると胸腔にリンパ液が漏れる乳び胸となり、栄養障害や免疫低下を招きます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    人体最大のリンパ本幹はである。

  2. 2.

    胸管は第1〜2腰椎の高さにあるから始まる。

  3. 3.

    胸管は横隔膜のを通って胸腔に入る。

  4. 4.

    胸管は左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部であるに注ぐ。

  5. 5.

    右上半身のリンパを集めて右静脈角に注ぐのはである。

  6. 6.

    腸管から吸収された脂溶性栄養素を含む白濁したリンパ液をという。

  7. 7.

    リンパ管内には逆流を防止するが存在する。

  8. 8.

    乳がん術後に腋窩リンパ節を郭清すると患側上肢にが生じやすい。

胸管とリンパ系解剖」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。