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リンパ系の大動脈—胸管はどこから始まりどこへ注ぐ?

看護師国家試験 第114午前28

国試問題にチャレンジ

114午前28

胸管について正しいのはどれか。

  1. 1.集めたリンパを左鎖骨下動脈に注ぐ。
  2. 2.右側の頸リンパ本幹と合流する。
  3. 3.毛細リンパ管網である。
  4. 4.乳び槽から始まる。

対話形式の解説

博士博士
今日は胸管について解剖学的に整理するぞ。リンパ系の中でもボスのような存在じゃ。
サクラサクラ
胸管って胸にあるリンパ管ですよね?大きさはどのくらいですか?
博士博士
成人で長さ約40cm、直径2〜5mm。リンパ系最大の本幹じゃ。
サクラサクラ
どこから始まってどこに注ぐんですか?
博士博士
起始は第1〜2腰椎の高さにある「乳び槽」、終点は左鎖骨下静脈と左内頸静脈の合流部である「左静脈角」じゃ。
サクラサクラ
乳び槽って白っぽい液体が溜まる場所ですか?
博士博士
鋭い。乳び槽には小腸から吸収された脂肪を含むリンパ液(乳び)が集まり、食後は乳白色になる。だから乳び槽と呼ばれるのじゃ。
サクラサクラ
リンパは最終的に静脈に戻るんですよね。動脈ではないんですか?
博士博士
その通り。リンパは循環系の戻り道として静脈に合流する。動脈に注ぐと圧が高くて流れない。だから「左鎖骨下動脈に注ぐ」は誤りじゃ。
サクラサクラ
右側のリンパはどうなるんですか?
博士博士
右上半身(右の頭頸部・上肢・胸郭右半分)のリンパは右リンパ本幹に集まり、右静脈角に注ぐ。胸管は守備範囲外じゃ。
サクラサクラ
じゃあ胸管が担当するのは?
博士博士
下半身全体と左上半身。つまり全身の約3/4のリンパは胸管経由で静脈に戻るのじゃ。
サクラサクラ
毛細リンパ管網と胸管は別物ですよね?
博士博士
その通り。階層は毛細リンパ管→集合リンパ管→リンパ本幹→胸管/右リンパ本幹→静脈角、という流れじゃ。
サクラサクラ
臨床的に胸管が問題になることはありますか?
博士博士
胸部外傷や食道がん手術で胸管が損傷されると「乳び胸」が発生する。胸腔に乳びが貯留して栄養障害や免疫低下を起こすのじゃ。
サクラサクラ
乳がんのリンパ浮腫もリンパ系の還流障害ですよね。
博士博士
その通り。乳がん術後はリンパ節郭清でリンパの流れが悪くなる。患側で血圧測定や採血を避けるのはこのためじゃ。
サクラサクラ
解剖を理解すると、看護のケアの理由が見えてきますね。

POINT

リンパ系最大の本幹である胸管の解剖を問う問題。「乳び槽から始まり左静脈角に注ぐ」がキーフレーズ。

解答・解説

正解は4です

問題文:胸管について正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。胸管はリンパ系最大のリンパ本幹で、第1〜2腰椎の高さにある乳び槽(左右の腰リンパ本幹と腸リンパ本幹の合流部)から始まる。長さは成人で約40cm、直径2〜5mmで、横隔膜の大動脈裂孔を通って胸腔に入り、上行して左静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)に注ぐ。下半身と左上半身のリンパを集める主要なルートである。

選択肢考察

  1. ×1.  集めたリンパを左鎖骨下動脈に注ぐ。

    リンパは静脈系に還流するのが原則。胸管は左鎖骨下「動脈」ではなく、左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部である「左静脈角」に注ぐ。動脈と静脈を取り違えないこと。

  2. ×2.  右側の頸リンパ本幹と合流する。

    右側の頸・鎖骨下・気管支縦隔リンパ本幹が合流するのは右リンパ本幹(約1〜1.5cm)で、右静脈角に注ぐ。胸管は左半身と下半身のリンパを集めるルートで、右上半身は守備範囲外。

  3. ×3.  毛細リンパ管網である。

    毛細リンパ管網は組織間隙にある最末梢のリンパ管網で、胸管とは別の構造。胸管はリンパ系最大の本幹で、毛細リンパ管→集合リンパ管→リンパ本幹→胸管という階層の最上位に位置する。

  4. 4.  乳び槽から始まる。

    第1〜2腰椎の高さにある乳び槽から胸管が始まる。乳び槽は腸リンパ本幹(小腸由来の脂肪を含む乳白色のリンパ液=乳びを集める)と左右腰リンパ本幹の合流部で、食後は乳び成分が豊富となる。

リンパ系の還流経路は、①毛細リンパ管→②集合リンパ管→③リンパ節→④リンパ本幹(頸・鎖骨下・気管支縦隔・腰・腸の各本幹)→⑤胸管または右リンパ本幹→⑥静脈角という階層構造になっている。胸管が左静脈角、右リンパ本幹が右静脈角に注ぐ。乳がん術後のリンパ浮腫はこの還流経路の障害によるもので、患側上肢の血圧測定や採血を避けるのはリンパ流の悪化防止のため。胸管損傷では乳び胸(chylothorax)が発生し、栄養障害や免疫低下の原因となる。

リンパ系最大の本幹である胸管の解剖を問う問題。「乳び槽から始まり左静脈角に注ぐ」がキーフレーズ。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。