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骨折・ギプス・牽引の観察

成人看護学 / 運動器

解説

今回は骨折・ギプス・牽引の観察について解説します。

骨折とは

骨折とは、外力によって骨の連続性が断たれた状態をいいます。皮膚の損傷を伴わないものを閉鎖骨折、骨折部が外界と交通するものを開放骨折(複雑骨折)といい、開放骨折は感染リスクが高く緊急処置が必要です。局所症状としては疼痛、腫脹、変形、異常可動性、軋轢音、機能障害がみられ、骨折部位の出血や軟部組織損傷で末梢循環障害を起こすことがあるため、全身状態の観察も欠かせません。

ギプス固定と観察

ギプス固定とは、整復後の患部を石膏包帯やグラスファイバーで覆い、骨癒合まで安静を保つ治療法です。患肢が外から圧迫されるため、内圧上昇による循環・神経障害が起こりやすく、観察が重要です。

5Pとコンパートメント症候群

ギプス固定後の末梢循環・神経機能の観察項目として国試で必ず問われるのが5Pです。5PとはPain(疼痛)、Pallor(蒼白)、Paresthesia(しびれ)、Paralysis(運動麻痺)、Pulselessness(脈拍消失)の頭文字をとったものです。これらが揃って出現するときは、筋区画の内圧が上昇して血流が遮断されるコンパートメント症候群(区画症候群)を強く疑います。受傷後数時間から数日で発症することが多く、放置すれば不可逆的な筋壊死や神経障害(フォルクマン拘縮など)に進行します。早期発見のため、末梢の皮膚色、皮膚温、足背動脈の触知、足趾の自動運動、しびれの有無を継続的に観察し、異常があれば直ちに医師に報告してギプスカット(ギプス割り)や筋膜切開を考慮します。患肢は心臓より高く挙上して浮腫軽減を図ります。

牽引法と観察

牽引法とは、骨折部や関節に持続的な力を加えて整復・固定・安静を図る治療法です。骨に直接金属ピンを刺入して牽引力を伝える方法を直達牽引、皮膚に絆創膏や包帯を介して牽引力を伝える方法を介達牽引といいます。直達牽引は大きな力をかけられる反面ピン刺入部の感染に注意し、介達牽引は侵襲は少ないが皮膚障害が起こりやすいという特徴があります。

腓骨神経麻痺の予防

下腿の介達牽引で特に注意すべき合併症が腓骨神経麻痺です。腓骨神経は膝関節外側の腓骨頭直下を表在性に走行するため、圧迫に弱い部位です。下肢が外旋位をとると腓骨頭がベッドに押し付けられ、神経が圧迫されて足背・下腿外側の感覚障害や、足関節背屈ができなくなる下垂足が生じます。予防には外旋位を避けること、腓骨頭部の除圧、長時間同一肢位の回避が大切です。足背のしびれを訴えた場合はまず下肢の肢位を確認し、外旋を矯正して腓骨頭を除圧することが最優先となります。

まとめ

固定中の末梢循環・神経機能の継続観察が看護の要です。ギプス固定では5Pでコンパートメント症候群を早期発見し、下腿介達牽引では腓骨頭圧迫による腓骨神経麻痺の予防と肢位の観察が重要です。異常があれば速やかに医師に報告し、不可逆的な障害を防ぐ対応につなげましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    ギプス固定後に末梢循環・神経機能の異常を発見するための観察指標で、疼痛・蒼白・しびれ・麻痺・脈拍消失の頭文字をとったものをという。

  2. 2.

    ギプス固定や外傷後に筋区画の内圧が上昇し、血流が遮断されて筋・神経に不可逆的な障害をきたす病態をという。

  3. 3.

    ギプス固定後にコンパートメント症候群が疑われる場合、内圧を下げるためにギプスを切開する処置をという。

  4. 4.

    骨折部が皮膚を破って外界と交通している骨折をといい、感染のリスクが高い。

  5. 5.

    骨に直接ピンを刺入して牽引力を伝える牽引法をといい、皮膚に絆創膏や包帯を介して牽引力を伝える方法を介達牽引という。

  6. 6.

    下腿の介達牽引中に下肢が外旋位となり、膝外側の腓骨頭が圧迫されることで生じる神経麻痺をという。

  7. 7.

    腓骨神経麻痺では足関節の背屈ができなくなり、つま先が下垂するがみられる。

  8. 8.

    下腿の介達牽引中に足背のしびれを訴えた患者で、看護師が最も優先して確認すべき項目はである。

骨折・ギプス・牽引の観察」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。