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骨に直接ピンを打ち込む?直達牽引と介達牽引の決定的な違い

看護師国家試験 第115午前55

国試問題にチャレンジ

115午前55

骨折時の直達牽引の説明で正しいのはどれか。

  1. 1.開放損傷には適さない。
  2. 2.介達牽引に比べ牽引力が弱い。
  3. 3.骨に鋼線を刺入して牽引する。
  4. 4.弾性包帯を巻き直す必要がある。

対話形式の解説

博士博士
今日は整形外科の基本、「牽引法」について学ぶぞ。骨折治療で必ず登場する処置じゃ。
サクラサクラ
牽引って、骨を引っぱって治すやつですよね。種類があるって聞いたんですけど…。
博士博士
うむ、牽引には大きく分けて「直達牽引」と「介達牽引」の2つがある。今日のテーマは直達牽引じゃ。直達牽引はな、骨に直接キルシュナー鋼線やスタインマンピンを刺入して、そこに錘をぶら下げて引っぱる方法なんじゃ。
サクラサクラ
えっ、骨にピンを刺すんですか!?痛そう…。
博士博士
もちろん局所麻酔をかけてから刺すから、刺入時の強い痛みはコントロールされる。よく使う部位は脛骨粗面、踵骨、大腿骨遠位部などじゃな。頸椎損傷ではGardner-Wells鉗子を頭蓋骨に装着する頭蓋直達牽引もあるぞ。
サクラサクラ
じゃあ介達牽引はどう違うんですか?
博士博士
介達牽引は皮膚に絆創膏やスポンジパッドを貼って、その上から包帯で固定して牽引する方法じゃ。スピードトラクションやバックトラクションが代表例じゃな。骨に侵襲がない分手軽だが、皮膚への負担があるので牽引重量は2〜5kg程度が限界。
サクラサクラ
なるほど、つまり強い力で引っぱりたいときは直達牽引なんですね。
博士博士
その通り!直達牽引なら体重の1/7〜1/8、大腿骨では7〜10kg以上の牽引もかけられる。だから大腿骨骨幹部骨折や転子部骨折で手術までのつなぎとしてよく使われるんじゃ。
サクラサクラ
問題の選択肢に「開放損傷には適さない」とありましたが、これは間違いなんですよね?
博士博士
そうじゃ。むしろ開放骨折ではギプスや皮膚に貼る介達牽引だと創部の処置がしにくい。直達牽引なら創を開放したまま管理できるから、状況によっては選択されることもある。一律禁忌ではないんじゃよ。
サクラサクラ
看護のポイントは何ですか?
博士博士
まず錘を絶対に床に着けないこと。着いた瞬間に牽引力がゼロになってしまう。それから対抗牽引といって、体が引っぱられすぎないよう頭側挙上を制限することも大事じゃ。ピンを刺している部位は感染リスクがあるから、ピンサイト感染の観察も欠かせん。
サクラサクラ
長期間ベッドで寝たままになるから、合併症も気になりますね。
博士博士
鋭いの!褥瘡、深部静脈血栓症、便秘、廃用症候群、沈下性肺炎などのリスクが高い。下肢の他動運動や深呼吸、踵部の除圧などをこまめに行うことが看護の鍵じゃ。
サクラサクラ
「直達は骨に直接、介達は皮膚に間接」と覚えれば、もう混乱しなさそうです!

POINT

直達牽引と介達牽引の違いを問う基礎問題。直達牽引の定義(骨に鋼線を刺入して牽引)を正確に押さえられるかがポイント。

解答・解説

正解は3です

問題文:骨折時の直達牽引の説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。直達牽引(direct traction)とは、骨折部位より末梢の骨に専用のキルシュナー鋼線(Kワイヤー)やスタインマンピンを直接刺入し、そこに錘(おもり)を用いた牽引力をかけて整復・固定を行う方法である。骨に直接力が伝わるため、皮膚を介する介達牽引よりも強い牽引力を持続的にかけることができ、大腿骨頸部骨折・転子部骨折・大腿骨骨幹部骨折・脊椎損傷などで手術までの待機期間や、整復・固定の補助として用いられる。代表例として大腿骨に対する脛骨粗面牽引や、頸椎損傷に対するGardner-Wells(ガードナーウェルズ)鉗子・Crutchfield(クラッチフィールド)鉗子を用いた頭蓋直達牽引などがある。

選択肢考察

  1. ×1.  開放損傷には適さない。

    開放骨折であっても直達牽引が一律に禁忌となるわけではない。むしろ開放骨折ではギプスや介達牽引が創部処置の妨げになるため、創を開放したまま管理できる直達牽引が選択されることもある。感染や軟部組織損傷の状態によって適応は個別に判断される。

  2. ×2.  介達牽引に比べ牽引力が弱い。

    逆である。介達牽引は皮膚と絆創膏・スポンジを介して間接的に力をかけるため、皮膚障害を避ける観点から牽引重量が制限される(成人で概ね2〜5kg程度が上限)。直達牽引は骨に直接ピンを刺入して牽引するため、体重の1/7〜1/8程度(大腿で7〜10kg以上)といった大きな牽引力を持続的にかけられる。

  3. 3.  骨に鋼線を刺入して牽引する。

    正しい。直達牽引はキルシュナー鋼線やスタインマンピンを局所麻酔下で骨(脛骨粗面、踵骨、大腿骨遠位部、頭蓋骨など)に経皮的に刺入し、鋼線にトラクションボウ(牽引弓)を取り付け、滑車を介して錘で持続的に牽引する方法である。これが直達牽引の本質的な定義となる。

  4. ×4.  弾性包帯を巻き直す必要がある。

    弾性包帯やスピード・トラクションキット(絆創膏とスポンジパッド)の使用は介達牽引(スピードトラクション・バックトラクションなど)の特徴である。直達牽引ではピン刺入部の消毒・観察は行うが、弾性包帯の巻き直しは本質的な看護ケアに含まれない。

牽引法の看護では、(1)持続的に牽引力がかかるよう錘を床に着けない・体位を保つ、(2)対側にかかる対抗牽引(カウンタートラクション)を維持するため頭側挙上を制限する、(3)ピン刺入部の感染(ピンサイト感染)の早期発見、(4)長期臥床に伴う合併症(褥瘡・深部静脈血栓症・廃用症候群・便秘・肺炎)への対策が重要である。覚え方は「直達=骨に直接ピン、介達=皮膚に絆創膏」とセットで暗記し、牽引力の強さ(直達>介達)と関連づけて整理するとよい。

直達牽引と介達牽引の違いを問う基礎問題。直達牽引の定義(骨に鋼線を刺入して牽引)を正確に押さえられるかがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。