化学療法の副作用と看護
成人看護学 / がん・緩和・終末期
解説
化学療法とは、抗がん薬を用いてがん細胞の増殖を抑える治療法です。今回は化学療法の代表的な副作用と看護のポイントについて解説します。
抗がん薬は分裂が盛んな細胞に作用するため、がん細胞だけでなく骨髄・消化管粘膜・毛根・生殖細胞などの正常細胞も障害します。その結果、骨髄抑制、悪心・嘔吐、脱毛、口内炎、下痢、性腺機能低下などの副作用が高頻度で出現します。看護師はこれらを早期に発見し、予防的に介入することが求められます。
骨髄抑制と感染対策
骨髄抑制とは、抗がん薬によって骨髄での造血機能が低下し、白血球・赤血球・血小板が減少する状態をいいます。多くの抗がん薬は投与後7〜14日で血球数が最低値となり、この時期を**ナディア(最低値期)**と呼びます。
なかでも好中球は細菌や真菌を貪食する一次防御の主役であり、減少すると感染リスクが急増します。好中球数が500/mm³未満になると、健常人では感染しない弱毒菌や真菌、ウイルスによる日和見感染が起こりやすくなります。好中球500/mm³未満かつ38.0℃以上の発熱を**発熱性好中球減少症(FN)**といい、緊急対応を要する病態です。看護では手洗い・含嗽・口腔ケア・面会制限などの感染予防が重要となります。血小板減少時は出血傾向、赤血球減少時は貧血症状にも注意します。
悪心・嘔吐と制吐療法
抗がん薬による悪心・嘔吐は、延髄の化学受容器引金帯(CTZ)の刺激や消化管粘膜障害によって生じます。放置すると食事摂取量低下や脱水を招き治療継続が困難になるため、薬剤の催吐性リスクに応じて5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬、ステロイドなどを予防的に投与します。「悪心は我慢させず薬で緩和する」が適切な看護です。
血管外漏出と過敏反応
抗がん薬は血管外に漏出すると組織壊死を起こすため、太く直線的な静脈を選び、定期的に逆血と刺入部を観察します。漏出時は直ちに投与を中止します。また抗体医薬やパクリタキセルでは過敏反応・アナフィラキシーに備えバイタルを監視します。
シクロホスファミドと出血性膀胱炎
アルキル化薬であるシクロホスファミドは、代謝産物のアクロレインが膀胱粘膜を刺激し出血性膀胱炎を引き起こします。予防には大量輸液による強制利尿、頻回排尿、解毒薬メスナの併用が行われます。
まとめ
化学療法の看護では、骨髄抑制による感染・出血・貧血、悪心・嘔吐、血管外漏出、薬剤特有の副作用を理解し、予防的に介入することが重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
抗がん薬による骨髄抑制で血球数が最低値となる時期をという。
- 2.
好中球が/mm³未満になると日和見感染症のリスクが著しく高まる。
- 3.
好中球500/mm³未満かつ38.0℃以上の発熱をという。
- 4.
抗がん薬による悪心・嘔吐は延髄の(CTZ)の刺激によって生じる。
- 5.
抗がん薬による悪心・嘔吐の予防にはなどの制吐薬を予防的に投与する。
- 6.
アルキル化薬であるは出血性膀胱炎を起こすことで知られる。
- 7.
シクロホスファミドの代謝産物であるが膀胱粘膜を刺激し出血性膀胱炎を引き起こす。
- 8.
シクロホスファミドによる出血性膀胱炎の予防には解毒薬のを併用する。
