知的・発達障害の特徴と制度
精神看護学 / 発達・知的障害・その他
解説
今回は知的障害と発達障害の特徴、そしてこれらを支える法制度について解説します。
知的障害(精神遅滞)とは
知的障害(精神遅滞、intellectual disability/mental retardation)とは、おおむね18歳までの発達期に発症し、知的機能と適応機能の両方に明らかな制約がみられる状態をいいます。知的機能とは、推論、問題解決、計画、抽象的思考、学習などを指す力です。適応機能とは、コミュニケーション、対人関係、自己管理、地域社会への参加、学業や就労など、日常生活を自立して送るための能力を指します。知的機能だけ、または適応機能だけの低下では診断されず、両方に制約がそろって初めて知的障害と診断される点が国試の重要ポイントです。 従来はIQ(知能指数)の数値で重症度を判定していましたが、現在のDSM-5では適応機能の障害の程度を重視し、軽度・中等度・重度・最重度の4段階に分類します。
知的障害の原因
知的障害の原因は発症時期により出生前・周産期・出生後に大別されます。出生前では染色体異常(ダウン症候群など)、先天性代謝異常(フェニルケトン尿症、先天性甲状腺機能低下症など)、胎内感染、胎児性アルコール症候群、周産期では低酸素性虚血性脳症や頭蓋内出血、出生後では髄膜炎や頭部外傷などが原因となります。 なかでもフェニルケトン尿症は、フェニルアラニン水酸化酵素が先天的に欠損する先天性代謝異常症で、無治療では体内にフェニルアラニンが蓄積し脳障害を来して重度の知的障害を生じます。新生児マススクリーニング(タンデムマス法)による早期発見と、低フェニルアラニン食による食事療法で発症を予防できる代表的疾患で、国試頻出です。
発達障害とは
発達障害とは、生まれつきの脳機能の偏りにより、低年齢から対人関係・学習・行動などに特性が現れる状態の総称です。知的障害が全般的な遅れであるのに対し、発達障害は特定領域に偏った困難さを示す点が異なります。
発達障害者支援法における定義
発達障害者支援法は平成16年に制定され平成28年に改正された法律で、発達障害者の早期発見、生涯にわたる支援、社会参加の促進を目的としています。同法第2条では発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠如・多動症(ADHD)その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。つまり、自閉スペクトラム症(ASD)・学習障害(LD)・ADHDが法律の対象となる代表的な発達障害です。 支援体制として、都道府県および指定都市に発達障害者支援センターが設置され、乳幼児健診での早期発見、就学・就労支援、家族支援などを担います。
トゥレット障害
トゥレット障害は、多彩な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上持続し、18歳未満で発症する神経発達症です。チックとは突発的・反復的・常同的な運動や発声で、まばたきや肩すくめなどの運動チックと、咳払いや鼻ならしなどの音声チックに分けられます。 持続期間により、1か月未満の一過性チック障害、1年以上の慢性チック障害、運動と音声の両方が1年以上続くトゥレット障害に区別されます。汚言症(コプロラリア、汚い言葉が意図せず出る症状)を伴うことが知られていますが、実際には全症例の10〜20%程度です。DSM-5では神経発達症群に分類され、ADHDや強迫症の合併が多いのも特徴です。治療は心理教育や環境調整が基本で、重症例ではハロペリドールやアリピプラゾールなどの薬物療法が用いられます。
まとめ
知的障害は発達期に発症し知的機能と適応機能の両方に制約がある状態で、フェニルケトン尿症やダウン症候群が代表的原因です。発達障害者支援法では広汎性発達障害・学習障害・ADHDなどが発達障害と定義され、発達障害者支援センターが支援の中核を担います。運動チックと音声チックを1年以上伴うトゥレット障害は神経発達症の代表的疾患です。定義・原因・法制度・代表疾患を結び付けて整理することが国試対策の要となります。
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- 1.
知的障害(精神遅滞)は、おおむね18歳までのに発症し、知的機能と適応機能の両方に明らかな制約がみられる状態と定義される。
- 2.
知的障害の診断では、推論や学習などの知的機能の制約と、コミュニケーションや自己管理などのの制約の両方がそろって初めて成立する。
- 3.
フェニルアラニン水酸化酵素の先天的欠損により体内にフェニルアラニンが蓄積し、無治療では重度の知的障害を来す先天性代謝異常症をという。
- 4.
発達障害者支援法では、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、その他これに類する脳機能の障害であって、症状が通常低年齢において発現するものを発達障害と定義している。
- 5.
発達障害者支援法における発達障害には、自閉スペクトラム症やADHDのほか、読み書きや計算など特定領域に困難を示すが含まれる。
- 6.
発達障害者の早期発見や就学・就労支援、家族支援などを担うために都道府県および指定都市に設置されている機関をという。
- 7.
小児期から青年期に発症し、多彩な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上持続し、汚言症を伴うこともある神経発達症をという。
- 8.
トゥレット障害でみられる、汚い言葉が意図せず出てしまう症状をといい、全症例の10〜20%程度にみられる。
