肺癌の分類と症状
成人看護学 / 呼吸器系
解説
肺癌とは、気管支や肺胞の上皮細胞から発生する悪性腫瘍のことをいいます。今回は肺癌の組織型による分類と、それぞれに特徴的な症状について解説します。
肺癌の組織型分類
肺癌は顕微鏡で観察したがん細胞の形態(組織型)によって、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌の4つに大別されます。このうち腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌の3つをまとめて非小細胞肺癌と呼び、小細胞癌とは治療方針が大きく異なるため、臨床ではまずこの2つに区別します。非小細胞肺癌は手術や放射線療法が中心となるのに対し、小細胞癌は増殖が速く転移しやすいため化学療法と放射線療法が中心となります。
日本で最も頻度が高い組織型は腺癌で、肺癌全体の約50〜60%を占めます。腺癌は肺の末梢である肺野に好発し、女性や非喫煙者にも比較的多くみられます。腫瘍マーカーとしてはCEAが用いられます。
扁平上皮癌は太い気管支のある肺門部に好発し、喫煙との関連が強いことが特徴です。腫瘍マーカーはSCCやCYFRAが用いられ、咳や血痰など気道症状が出やすい組織型です。
小細胞癌は中枢の気管支に好発し、進行が極めて速く早期に遠隔転移をきたします。腫瘍マーカーとしてProGRPやNSEが用いられます。
肺尖部肺癌(パンコースト腫瘍)の症状
肺の上端である肺尖部に発生した肺癌が胸壁へ浸潤したものをパンコースト腫瘍(肺尖部胸壁浸潤癌)といいます。肺尖部は腕神経叢、交感神経節(星状神経節)、肋骨、椎体などの重要な構造物に隣接しているため、通常の肺癌とは異なる特徴的な症状を呈します。
腕神経叢が浸潤されると、肩・上腕・前腕・手指にかけての上肢の疼痛やしびれが出現します。これがパンコースト腫瘍の代表的な症状です。さらに交感神経節の障害により、眼瞼下垂・縮瞳・患側顔面の発汗低下を三徴とするホルネル症候群を併発することがあります。
初期には肩関節周囲炎などの整形外科疾患と誤診されやすく、診断が遅れることがあるため注意が必要です。
まとめ
肺癌は組織型により腺癌・扁平上皮癌・大細胞癌・小細胞癌に分類され、日本では腺癌が最多で肺野に好発します。肺尖部に発生した肺癌は胸壁浸潤により上肢痛やホルネル症候群を呈し、これをパンコースト腫瘍と呼びます。組織型と発生部位により症状が大きく異なる点を整理して理解しておきましょう。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
肺癌の組織型のうち、日本で最も頻度が高いのはである。
- 2.
腺癌は肺の(末梢)に好発する。
- 3.
扁平上皮癌は太い気管支のある部に好発し、喫煙との関連が強い。
- 4.
増殖が速く早期に転移をきたし、化学療法と放射線療法が治療の中心となる組織型はである。
- 5.
腺癌の代表的な腫瘍マーカーはである。
- 6.
肺尖部に発生し胸壁に浸潤した肺癌をという。
- 7.
パンコースト腫瘍では腕神経叢の浸潤によりがみられる。
- 8.
パンコースト腫瘍で交感神経節の障害により生じる、眼瞼下垂・縮瞳・発汗低下を三徴とする症候群をという。
