正常分娩経過と分娩機転
母性看護学 / 分娩期・分娩経過
解説
正常分娩とは、妊娠37週0日から41週6日の正期産の時期に、胎児が頭位で産道を通り、自然な経過で経腟的に娩出される分娩のことをいいます。今回は正常分娩経過と分娩機転について解説します。
分娩の3要素
分娩を理解するうえで、まず3つの要素を押さえる必要があります。第一に娩出力で、これは子宮収縮による陣痛と、産婦自身がいきむことで生じる腹圧から成り立ちます。第二に産道で、骨盤で形成される骨産道と、子宮下部・頸管・腟・外陰部からなる軟産道に分けられます。第三に娩出物で、胎児に加え、胎盤・卵膜・臍帯・羊水が含まれます。この3要素のいずれかに異常があると分娩は順調に進みません。
分娩開始の定義と分娩各期
分娩開始は、陣痛が10分以内の周期、または1時間に6回以上の頻度で規則的に起こるようになった時点と定義されます。分娩は経過によって4期に区分されます。
第1期は開口期といい、分娩開始から子宮口が全開大(10cm)するまでの期間です。所要時間の目安は初産婦で10〜12時間、経産婦で4〜6時間です。第2期は娩出期で、子宮口全開大から児娩出までを指し、初産婦で2〜3時間、経産婦で1〜1.5時間程度かかります。第3期は後産期で、児娩出から胎盤娩出までを指し、初産婦で15〜30分、経産婦で10〜20分です。第4期は胎盤娩出後の2時間で、子宮収縮が不十分だと弛緩出血を起こしやすい時期にあたるため、十分な観察が必要です。
排臨と発露
第2期に入り児頭が下降してくると、まず排臨がみられます。排臨とは、陣痛発作時には陰裂から児頭が見えるものの、陣痛間欠時には後退して見えなくなる状態です。さらに下降が進むと発露となり、これは陣痛間欠時にも児頭が陰裂から後退せず、常に見えている状態を指します。発露の時期は会陰裂傷を起こしやすいため、産婦には強くいきまずに短促呼吸(ハッハッ呼吸)でいきみを逃がしてもらいます。
分娩機転の4回旋
分娩機転とは、児頭が骨盤を通過するために行う一連の下降と回旋のことで、「屈・回・伸・回」と覚えます。
第1回旋は屈曲です。児が顎を胸に引きつけ屈位をとることで、児頭の最小周囲径である小斜径(約9.5cm)が先進部となり、後頭部の小泉門が先に下降します。屈位がとれず顔位や額位となると、より大きな径が先進するため分娩は遷延します。
第2回旋は内回旋です。骨盤入口部では横径方向を向いていた児頭の矢状縫合が、骨盤内で前後径方向に一致するよう回転し、後頭部が母体の恥骨側(腹側)を向きます(後方後頭位ではなく前方後頭位の正常型)。
第3回旋は反屈です。恥骨結合下を軸として児頭が首を反らすように伸展し、後頭・前頭・顔面の順で娩出されます。この時、児の顔は母体の背側を向いた状態で会陰を通過します。
第4回旋は外回旋です。娩出された児頭が再び横を向き、これに伴って児の両肩が骨盤の前後径方向に一致して娩出されます。
まとめ
正常分娩は、陣痛が10分以内の周期となった時点で始まり、開口期・娩出期・後産期・産褥早期の4期を経て進行します。児頭は骨盤通過のため屈曲・内回旋・反屈・外回旋の4回旋を行い、小斜径を先進部として効率よく産道を通り抜けます。排臨と発露の違い、各分娩期の所要時間、そして4回旋の順序と意味を正確に理解しておくことが、国家試験では繰り返し問われる重要事項です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
分娩開始は、陣痛が分以内の周期、または1時間に回以上の頻度で規則的に起こるようになった時点と定義される。
- 2.
分娩第1期は分娩開始から子宮口までの期間で、期と呼ばれる。
- 3.
分娩第3期は児娩出からまでの期間で、後産期とも呼ばれる。
- 4.
陣痛間欠時にも児頭が陰裂から後退せず常に見えている状態をといい、陣痛発作時のみ見える状態をという。
- 5.
分娩の3要素とは、娩出力・・娩出物の3つである。
- 6.
分娩機転の第1回旋では児頭がし、児頭の最小径であるを先進部として後頭部(小泉門)から下降する。
- 7.
分娩機転の第2回旋はで、矢状縫合が骨盤の横径から前後径方向に一致するよう回転する。
- 8.
分娩機転の第3回旋は反屈で、児頭が娩出される際、児の顔は母体の側を向いた状態で会陰を通過する。
- 9.
分娩機転の第4回旋はで、児の両肩が骨盤の前後径方向に一致して娩出される。
- 10.
胎盤娩出後2時間は分娩第4期と呼ばれ、子宮収縮不全によるの好発時期である。
