破水の分類と対応
母性看護学 / 分娩期・分娩経過
解説
破水とは、胎児を包んでいる卵膜が破れて、内部の羊水が腟外へ流出する現象をいいます。今回は、破水の分類とその際の看護対応について解説します。分娩経過において破水は必ず起こる生理的な現象ですが、起こるタイミングによって母児に及ぼす影響が異なり、看護師には迅速で的確な判断が求められます。
羊水と卵膜の基礎
卵膜は、絨毛膜と羊膜の二層からなる薄い膜で、その内側に羊水を満たし胎児を保護しています。羊水は通常、無色透明から淡黄色の液体で、羊水特有の臭い(精液様の臭い)を持ち、アルカリ性を示すことが特徴です。BTB試験紙を当てると黄色から青色に変化し、乾燥させて顕微鏡で観察するとシダ状結晶が認められます。これらは尿失禁との鑑別に役立ちます。尿は酸性で、アンモニア臭を伴い、シダ状結晶を形成しません。
破水の分類
破水は発生する時期によって四つに分類されます。最も理解しておくべき分類です。
適時破水
適時破水とは、子宮口が全開大(10cm)に達した時点で起こる破水で、分娩経過における正常な破水とされます。子宮口全開大時に陣痛による子宮内圧の上昇で卵膜が破れるため、生理的で母児へのリスクが最も少ない状態です。
早期破水
早期破水は、陣痛が発来した後、子宮口が全開大になる前に起こる破水です。分娩は開始しているものの、子宮口が十分に開大していないため、臍帯脱出や上行性感染のリスクが高まります。
前期破水
**前期破水(PROM:premature rupture of membranes)**は、陣痛が発来する前に起こる破水です。とくに妊娠37週未満で起こるものを前期早産破水(preterm PROM)といい、早産・胎児機能不全・絨毛膜羊膜炎などのリスクが高く、入院管理のうえ抗菌薬投与や厳重な感染対策が行われます。
遅滞破水(高位破水)
遅滞破水は、子宮口全開大を過ぎても卵膜が破れない、あるいは破水部位が高位にあり羊水が少量ずつ流出する状態をいいます。
破水後に起こりうるリスク
破水が起こると、外界との交通が成立するため、いくつかの重大な合併症が発生する可能性があります。最も警戒すべきは臍帯脱出で、胎児先進部より先に臍帯が腟内に下垂し、児頭などで圧迫されると胎児循環が遮断され、急速に胎児機能不全に陥ります。次に上行性子宮内感染による絨毛膜羊膜炎、胎児機能不全、早産などが挙げられます。
破水時の看護対応
破水が疑われたとき、看護師がまず行うべきは胎児心拍数の確認です。臍帯脱出が起こっても産婦の自覚症状は乏しく、胎児心拍数の異常が唯一の手がかりとなることが多いため、分娩監視装置によるモニタリングで胎児well-beingを評価することが最優先となります。次に体位は左側臥位とし、内診は感染予防のため最小限にとどめます。観察項目として羊水の色(緑色は胎便混入を示し胎児機能不全を疑う)、量、臭い、温度、胎動、母体のバイタルサインを評価し、医師へ報告します。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
卵膜が破れて羊水が流出する現象をという。
- 2.
子宮口全開大時に起こる正常な破水をという。
- 3.
陣痛発来前に起こる破水を(PROM)という。
- 4.
陣痛発来後、子宮口全開大前に起こる破水をという。
- 5.
羊水はアルカリ性のため、BTB試験紙では色に変化する。
- 6.
破水後、胎児先進部より先に臍帯が腟内へ下垂する合併症をという。
- 7.
破水後の上行性感染により生じる炎症をという。
- 8.
破水を疑った際にまず優先して確認すべきはである。
- 9.
羊水が緑色を呈する場合、混入を示し胎児機能不全が疑われる。
