小児の呼吸様式と睡眠
小児看護学 / 小児の成長・身体発達
解説
今回は小児の呼吸様式と睡眠について解説します。小児は成人と比べて胸郭や呼吸筋、気道の構造が未発達であり、それに伴って呼吸様式や呼吸数、睡眠の構成が年齢とともに大きく変化します。発達段階ごとの特徴を押さえることが、看護とアセスメントの基本となります。
小児の胸郭と呼吸筋の特徴
新生児・乳児期の胸郭は、肋骨がほぼ水平に走行しており、前後径と左右径がほぼ等しい「樽状胸」と呼ばれる形をしています。さらに肋間筋などの呼吸筋が未発達であるため、胸郭そのものを大きく動かして換気量を増やすことが困難です。そのため、この時期は横隔膜を主体とした呼吸が中心になります。成長に伴って肋骨が斜め下方に向かって走行するようになり、肋間筋が発達してくると、胸郭の動きによる呼吸が可能になっていきます。
呼吸様式の発達
小児の呼吸様式は、年齢とともに腹式呼吸から胸式呼吸へと移行します。新生児期・乳児期は横隔膜が上下することで腹部が膨らむ腹式呼吸(横隔膜呼吸)が主体です。幼児期(おおむね2〜6歳)には腹式と胸式が混在する胸腹式呼吸となり、学童期(およそ7歳以降)になると成人と同じ胸式呼吸が確立します。横隔膜優位の時期は腹部膨満が呼吸を妨げやすいため、おむつや衣服による腹部圧迫を避けることが看護のポイントです。
年齢別の呼吸数
小児は成人に比べて代謝が活発で酸素需要が大きいため、呼吸数が多くなります。目安として、新生児は40〜50回/分、乳児は30〜40回/分、幼児は20〜30回/分、学童は18〜20回/分、成人は12〜18回/分です。年齢が上がるにつれて呼吸数は減少していく点が国試で問われます。同様に心拍数も多く、新生児では120〜140回/分程度と頻脈の状態が生理的に正常です。
気道の解剖・生理的特徴
乳児は鼻呼吸優位であり、鼻腔が分泌物で閉塞すると容易に呼吸困難に陥ります。そのため鼻汁の吸引などの気道ケアが重要となります。また小児の気道は全体に細く、わずかな浮腫や分泌物でも狭窄を起こしやすい構造です。さらに舌が口腔内で相対的に大きく、喉頭の位置がC3〜C4付近と成人より高位にあるため、誤嚥や気道閉塞のリスクが高い点も特徴です。これらの特徴は、体位管理や吸引、誤嚥予防の根拠となります。
睡眠の構造と発達
睡眠は脳を休めるノンレム睡眠と、身体を休めつつ脳が活動して記憶の整理を行うレム睡眠から構成されます。小児では大脳皮質の成熟度に応じてレム睡眠の比率が変化します。レム睡眠の割合は新生児で約50%と非常に高く、乳児で約40%、幼児で約20〜25%、成人で約20%へと年齢とともに減少していきます。新生児のレム睡眠優位は脳の発達に関与すると考えられており、外界の刺激で覚醒しやすい原始的な眠りが特徴です。 また新生児は短時間の睡眠と覚醒を繰り返す多相性睡眠であり、授乳間隔と連動して昼夜の区別なく眠ります。生後3〜4か月ごろから夜間にまとまって眠るようになり、概日リズムが形成されていきます。
SIDSの予防
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、それまで健康だった乳児が睡眠中に突然死亡する原因不明の疾患です。発症リスクを下げるための代表的な対策として、仰臥位での睡眠、家族を含めた禁煙、母乳栄養の推進の3つが国試で頻出です。やわらかい寝具やうつ伏せ寝を避けることも重要なポイントとなります。
まとめ
小児の呼吸様式は腹式から胸腹式、胸式へと移行し、呼吸数は年齢とともに減少します。乳児は鼻呼吸優位で気道が細く喉頭が高位にあるため、気道閉塞や誤嚥に注意が必要です。睡眠ではレム睡眠の比率が新生児で約50%と高く、成長に伴って約20%に低下し、多相性から夜間にまとまった睡眠へと変化していきます。さらにSIDS予防として仰臥位睡眠・禁煙・母乳栄養が重要であり、これらは看護の基本知識として確実に押さえておきましょう。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
新生児・乳児期は肋骨が水平で肋間筋が未発達なため、横隔膜を主体としたを行う。
- 2.
2〜6歳ごろの幼児期にみられる、腹式と胸式が混在する呼吸様式をという。
- 3.
おおむね7歳以降の学童期になると、成人と同じが確立する。
- 4.
新生児の呼吸数の目安は回/分であり、年齢とともに減少していく。
- 5.
乳児は優位であり、鼻閉により容易に呼吸困難となるため、吸引などの気道ケアが重要となる。
- 6.
小児は舌が相対的に大きく、喉頭が付近と成人より高位にあるため、誤嚥や気道閉塞のリスクが高い。
- 7.
睡眠は脳を休めるノンレム睡眠と、身体を休めつつ脳が活動して記憶を整理するから構成される。
- 8.
新生児ではレム睡眠の割合が約%と高く、成長に伴って成人の約20%まで減少する。
- 9.
新生児は短時間の睡眠と覚醒を繰り返すであり、生後3〜4か月ごろから夜間にまとまって眠るようになる。
- 10.
乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防として、での睡眠、家族の禁煙、母乳栄養が推奨される。
