なぜ赤ちゃんはお腹で息をする?乳児の呼吸器ここが違う4つのポイント
看護師国家試験 第115回 午後 第60問
国試問題にチャレンジ
乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。
- 1.肋骨はほぼ水平位である。
- 2.肺胞数は成人に比べて多い。
- 3.胸郭の左右径は前後径の2倍である。
- 4.気道内径は成人に比べて相対的に太い。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
乳児の呼吸器系における成人との解剖生理学的な相違点を問う問題。肋骨の走行・肺胞数・胸郭形状・気道径という4つの観点で発達段階を整理できているかが問われる。
解答・解説
正解は1です
問題文:乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。乳児は胸郭の発達が未熟で、肋骨が脊柱に対してほぼ水平に付着しています。成人では肋骨は前下方に傾斜しており、外肋間筋の収縮によりバケツの取っ手が持ち上がるような動き(バケツハンドル運動)で胸郭が前後・左右に拡大し胸式呼吸が成立します。一方、乳児では肋骨が水平のためこの胸郭拡大運動が起こりにくく、横隔膜の上下運動に依存する腹式呼吸が中心となります。さらに、胸壁が軟らかく肋間筋も未発達なため、呼吸窮迫時には陥没呼吸(胸骨上窩・肋間・季肋部などの陥凹)が出現しやすいのも特徴です。
選択肢考察
- ○1. 肋骨はほぼ水平位である。
乳児の肋骨は脊柱に対してほぼ水平に走行している。そのため成人のような胸郭の拡張運動が乏しく、横隔膜運動による腹式呼吸が主体となる。成長に伴い肋骨は徐々に前下方に傾き、胸式呼吸が可能になっていく。
- ×2. 肺胞数は成人に比べて多い。
新生児の肺胞数は約2,000万〜5,000万個で、成人の約3億個と比較して圧倒的に少ない。肺胞は出生後8歳頃までに急速に増加し、その後は容量の拡大により肺機能が発達していく。
- ×3. 胸郭の左右径は前後径の2倍である。
乳児の胸郭は前後径と左右径がほぼ等しい円筒状(樽状)で、成長とともに左右径が前後径より大きい扁平な楕円形へと変化していく。胸郭の形態変化は胸式呼吸の発達と連動している。
- ×4. 気道内径は成人に比べて相対的に太い。
乳児の気道は絶対的にも相対的にも細い。気道抵抗は半径の4乗に反比例するため(ポアズイユの法則)、わずかな浮腫・分泌物・異物でも容易に気道狭窄を起こし呼吸困難に陥りやすい。クループや細気管支炎で重症化しやすい根拠でもある。
乳児の呼吸器の特徴は「狭・短・水平・腹式」と覚えると整理しやすい。①気道が狭く短いため感染や閉塞に弱い、②鼻腔が狭く鼻呼吸優位(生後3〜4か月までは鼻閉が哺乳障害に直結)、③肋骨水平で胸郭運動に乏しく腹式呼吸が中心、④呼吸中枢が未熟で無呼吸や周期性呼吸が起こりやすい、⑤酸素消費量が体重あたり成人の約2倍で代償予備能が小さい。これらにより呼吸障害は急速に進行するため、SpO2低下や陥没呼吸、鼻翼呼吸、シーソー呼吸、呻吟といった呼吸窮迫サインを早期に察知することが重要である。
乳児の呼吸器系における成人との解剖生理学的な相違点を問う問題。肋骨の走行・肺胞数・胸郭形状・気道径という4つの観点で発達段階を整理できているかが問われる。
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