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なぜ赤ちゃんはお腹で息をする?乳児の呼吸器ここが違う4つのポイント

看護師国家試験 第115午後60

国試問題にチャレンジ

115午後60

乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。

  1. 1.肋骨はほぼ水平位である。
  2. 2.肺胞数は成人に比べて多い。
  3. 3.胸郭の左右径は前後径の2倍である。
  4. 4.気道内径は成人に比べて相対的に太い。

対話形式の解説

博士博士
今日は乳児の呼吸器の解剖学的な特徴を学ぶぞ。大人と赤ちゃんでは呼吸の仕組みがかなり違うのじゃ。
サクラサクラ
赤ちゃんって、お腹を上下させて息をしているイメージがあります。なんで大人みたいに胸で呼吸しないんですか?
博士博士
鋭いところに気づいたな。それは肋骨の付き方が違うからじゃ。大人は肋骨が前下方に傾いて付いているから、外肋間筋が収縮すると肋骨が持ち上がって胸が前後左右に広がる。これを「バケツハンドル運動」と呼ぶのじゃ。
サクラサクラ
バケツの取っ手が持ち上がるみたいに動くんですね。じゃあ赤ちゃんはどうなってるんですか?
博士博士
乳児は肋骨が脊柱に対してほぼ水平に付いておる。だから肋骨を持ち上げても胸郭が広がりにくい。その代わり横隔膜を下げて肺を膨らませる腹式呼吸が中心になるのじゃ。
サクラサクラ
なるほど!だからお腹がよく動くんですね。じゃあ胸郭の形も大人とは違うんですか?
博士博士
うむ、大きく違う。乳児の胸郭は前後径と左右径がほぼ同じ「円筒状」、いわゆる樽型じゃ。成長すると左右径のほうが大きい扁平な形になって、胸式呼吸ができるようになっていくのじゃ。
サクラサクラ
肺胞の数も大人と同じくらいあるんですか?
博士博士
いやいや、新生児の肺胞は2,000万〜5,000万個ほど。成人は約3億個じゃから、5〜10分の1しかないのじゃよ。肺胞は8歳頃までに急速に増えていく。
サクラサクラ
じゃあ気道の太さはどうですか?体が小さいぶん気道も細そうですけど…。
博士博士
その通り、絶対的にも相対的にも細い。しかも気道抵抗は半径の4乗に反比例するという「ポアズイユの法則」がある。半径が半分になると抵抗は16倍じゃ。
サクラサクラ
えっ、16倍ですか!じゃあちょっとした浮腫や痰でも一気に苦しくなるんですね。
博士博士
そういうことじゃ。だからクループや細気管支炎、異物誤嚥などで乳幼児はあっという間に重症化する。看護では早期発見が命じゃ。
サクラサクラ
呼吸が苦しいときのサインって、どんなものを観察すればいいんですか?
博士博士
陥没呼吸(胸骨上窩や肋間が呼吸のたびにへこむ)、鼻翼呼吸(小鼻がピクピク広がる)、シーソー呼吸(胸とお腹が逆方向に動く)、呻吟(うなり声)じゃ。これらは呼吸窮迫の重要サインじゃよ。
サクラサクラ
見た目で分かるサインがたくさんあるんですね。SpO2の数値だけ見ていてはダメということですね。
博士博士
その通り。乳児は酸素消費量が体重あたり成人の約2倍で予備能が小さい。SpO2が下がる前から呼吸努力のサインを見抜くのが小児看護の腕の見せどころじゃ。

POINT

乳児の呼吸器系における成人との解剖生理学的な相違点を問う問題。肋骨の走行・肺胞数・胸郭形状・気道径という4つの観点で発達段階を整理できているかが問われる。

解答・解説

正解は1です

問題文:乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。乳児は胸郭の発達が未熟で、肋骨が脊柱に対してほぼ水平に付着しています。成人では肋骨は前下方に傾斜しており、外肋間筋の収縮によりバケツの取っ手が持ち上がるような動き(バケツハンドル運動)で胸郭が前後・左右に拡大し胸式呼吸が成立します。一方、乳児では肋骨が水平のためこの胸郭拡大運動が起こりにくく、横隔膜の上下運動に依存する腹式呼吸が中心となります。さらに、胸壁が軟らかく肋間筋も未発達なため、呼吸窮迫時には陥没呼吸(胸骨上窩・肋間・季肋部などの陥凹)が出現しやすいのも特徴です。

選択肢考察

  1. 1.  肋骨はほぼ水平位である。

    乳児の肋骨は脊柱に対してほぼ水平に走行している。そのため成人のような胸郭の拡張運動が乏しく、横隔膜運動による腹式呼吸が主体となる。成長に伴い肋骨は徐々に前下方に傾き、胸式呼吸が可能になっていく。

  2. ×2.  肺胞数は成人に比べて多い。

    新生児の肺胞数は約2,000万〜5,000万個で、成人の約3億個と比較して圧倒的に少ない。肺胞は出生後8歳頃までに急速に増加し、その後は容量の拡大により肺機能が発達していく。

  3. ×3.  胸郭の左右径は前後径の2倍である。

    乳児の胸郭は前後径と左右径がほぼ等しい円筒状(樽状)で、成長とともに左右径が前後径より大きい扁平な楕円形へと変化していく。胸郭の形態変化は胸式呼吸の発達と連動している。

  4. ×4.  気道内径は成人に比べて相対的に太い。

    乳児の気道は絶対的にも相対的にも細い。気道抵抗は半径の4乗に反比例するため(ポアズイユの法則)、わずかな浮腫・分泌物・異物でも容易に気道狭窄を起こし呼吸困難に陥りやすい。クループや細気管支炎で重症化しやすい根拠でもある。

乳児の呼吸器の特徴は「狭・短・水平・腹式」と覚えると整理しやすい。①気道が狭く短いため感染や閉塞に弱い、②鼻腔が狭く鼻呼吸優位(生後3〜4か月までは鼻閉が哺乳障害に直結)、③肋骨水平で胸郭運動に乏しく腹式呼吸が中心、④呼吸中枢が未熟で無呼吸や周期性呼吸が起こりやすい、⑤酸素消費量が体重あたり成人の約2倍で代償予備能が小さい。これらにより呼吸障害は急速に進行するため、SpO2低下や陥没呼吸、鼻翼呼吸、シーソー呼吸、呻吟といった呼吸窮迫サインを早期に察知することが重要である。

乳児の呼吸器系における成人との解剖生理学的な相違点を問う問題。肋骨の走行・肺胞数・胸郭形状・気道径という4つの観点で発達段階を整理できているかが問われる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。