子どもの遊びと情緒分化
小児看護学 / 小児の心理発達・権利・社会
解説
遊びとは、子どもにとって生活そのものであり、心身の発達を支える中心的な営みです。今回は子どもの遊びと情緒分化について解説します。看護師は、入院や検査などで生活環境が制限される子どもにも、発達段階に応じた遊びを保障する役割を担います。そのためには、遊びがもつ意義、発達に伴う遊びの変化、そして情緒の分化過程を理解しておく必要があります。
遊びの意義
遊びは単なる余暇活動ではなく、身体・運動機能の発達、認知・言語発達、情緒の安定、社会性の獲得という多面的な役割を担います。走る、跳ぶ、投げるといった粗大運動は筋力・バランス・協調運動を培い、積木や粘土などの微細運動は手指の巧緻性を高めます。ごっこ遊びでは言葉や役割を使うことで言語と社会性が育ち、集団遊びでは順番やルールを守る経験を通して自己制御を学びます。入院中の子どもに対しても、プレイルームやプレパレーションのように遊びを取り入れることが、不安の軽減と治療への協力につながります。
パーテンによる遊びの社会的発達段階
アメリカの発達心理学者パーテン(Parten)は、子どもの遊びを社会性の発達という観点から六段階に分類しました。第一は何もしていない行動で、周囲をぼんやり眺める段階です。第二は一人遊びで、おおむね2歳頃まで主にみられ、他児と関わらず単独で遊びます。第三は傍観遊びで、他児の遊びを見るだけで参加はしません。第四は平行(並行)遊びで、2〜3歳頃に主としてみられ、同じ場所で同じような遊びをしながらも互いに交流せず独立して遊ぶ段階です。第五は連合遊びで、3〜4歳頃にものの貸し借りや会話を伴って関わり始めます。第六は協同遊びで、4歳以降に役割分担やルールを共有して集団で遊びます。
ピアジェの認知発達と遊びの分類
ピアジェの理論では、遊びは認知発達と並行して変化します。2歳頃までは感覚や運動を楽しむ感覚運動的遊び、2〜7歳頃はものを別のものに見立てる象徴遊び(ごっこ遊び)、7歳以降はルール遊びが中心となります。また心身の発達からみた分類として、感覚遊び、運動遊び、模倣(ごっこ)遊び、構成遊び、受容遊びがあり、年齢に応じて重なり合いながら発展します。
発達段階に応じた遊具
遊具は子どもの発達段階に適合させることが大切です。新生児から生後3か月頃まではモビールやガラガラなど視覚・聴覚を刺激するものを用います。生後6か月頃にはボールや人形、絵本が適しています。1歳頃には積木や押し車、太鼓などが用いられます。1歳4か月頃は独歩がほぼ確立する時期であり、手押し車を押して歩くことで歩行のバランスや体幹の発達が促されるため適切です。2〜3歳では粘土、クレヨン、三輪車などで手指機能と運動能力を伸ばし、学童期にはボードゲームや組み立て玩具、スポーツを通じてルールの理解や仲間関係を深めます。
ブリッジズの情緒分化
ブリッジズ(Bridges)は、情緒は未分化な状態から徐々に分化していくと示しました。新生児期は未分化な興奮のみが存在します。生後3か月頃に快と不快へと分化し、生後6か月頃には不快の側から怒り、嫌悪、恐れが分化します。この時期にみられる人見知りは、恐れの情緒が現れた発達の目安です。1歳頃には快の側から愛情や得意が、1歳半から2歳頃には嫉妬が、さらに2〜3歳頃には恥や罪悪感といった自己意識的な情緒が分化します。
安全な遊び環境
遊びを保障する一方で、誤飲、転倒、感染などの事故予防が不可欠です。直径39mm以下の小さな物は乳幼児の誤飲リスクとなるため遠ざけ、家具の角や階段には安全対策を施します。室温や換気にも配慮し、感染症の流行期には玩具の消毒を徹底することで、安全で豊かな遊びの環境を整えます。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
パーテンの遊びの分類で、2〜3歳頃に主としてみられ、同じ場所で同じような遊びをしながらも互いに交流せず独立して遊ぶ段階をという。
- 2.
パーテンの分類で、4歳以降に役割分担やルールを共有して集団で遊ぶ段階をという。
- 3.
ブリッジズの情緒分化図式では、新生児期は未分化なのみが存在する。
- 4.
ブリッジズによれば、生後3か月頃に情緒は快とに分化する。
- 5.
ブリッジズによれば、生後6か月頃には不快の側から怒り、嫌悪、が分化する。
- 6.
独歩がほぼ確立する1歳4か月頃に、歩行バランスと体幹発達を支援する遊具として適しているのはである。
- 7.
ピアジェの分類で、2〜7歳頃にみられる、ものを別のものに見立てる遊びをという。
- 8.
乳幼児の誤飲を防ぐため、直径mm以下の物は手の届かない場所に置く必要がある。
