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定期予防接種と新生児マススクリーニング

小児看護学 / 新生児・乳児期ケア

解説

今回は定期予防接種と新生児マススクリーニングについて解説します。乳幼児期は感染症や先天性疾患による重症化のリスクが高い時期であり、国の公的事業として行われる予防接種と新生児マススクリーニングは、子どもの命と発達を守るうえで欠かせない仕組みです。看護師国家試験では、対象年齢・接種スケジュール・ワクチンの種類・検査時期・対象疾患などが頻繁に問われるため、制度の枠組みから一つひとつ整理して理解していきましょう。

定期予防接種の基本

予防接種とは、ワクチンを接種することで体内に免疫を作り、感染症の発症や重症化を防ぐ医療行為のことです。日本における予防接種は、予防接種法に基づいて市町村が実施する定期予防接種と、希望者が自費などで受ける任意予防接種に大きく分けられます。 定期予防接種はさらに、社会全体での感染症のまん延を防ぐ集団予防目的のA類疾病と、個人の発症や重症化防止を主目的とするB類疾病に分類されます。乳幼児・小児を対象とした主要なワクチンの多くはA類に位置づけられ、努力義務(保護者は子どもに接種を受けさせるよう努める)が課されている点が特徴です。B類疾病には高齢者を対象としたインフルエンザや成人用肺炎球菌ワクチンなどが含まれ、努力義務はありません。

ワクチンの種類

ワクチンは含まれる抗原の状態によって、生ワクチンと不活化ワクチンに大別されます。生ワクチンは病原体の毒性を弱めたものを用いるため、自然感染に近い免疫が得られ、効果が長く持続します。BCG、麻しん風しん混合(MR)、水痘、ロタウイルスなどが代表例です。不活化ワクチンは病原体を化学処理などで死滅させた成分を用いるもので、複数回の接種が必要となります。四種混合(DPT-IPV)、Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、日本脳炎、HPVなどが該当します。 注射生ワクチン同士を接種する場合は、互いの効果が干渉しないよう27日以上の間隔を空ける必要があります。2020年の改正により、不活化ワクチン同士や生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせについては接種間隔の制限が撤廃され、同時接種もより柔軟に行えるようになりました。

乳児期・幼児期の定期予防接種

乳児期(生後1歳未満)から開始される定期予防接種には、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、四種混合ワクチン(DPT-IPV)、ロタウイルスワクチン、BCGなどがあります。Hibワクチンは平成25年(2013年)4月に定期接種化されたワクチンで、インフルエンザ菌b型による細菌性髄膜炎・喉頭蓋炎・敗血症などの侵襲性感染症から乳児を守ることを目的としています。導入前は年間多数の小児髄膜炎患者が発生していましたが、定期接種化以降は罹患数が大きく減少しました。同時期に小児用肺炎球菌ワクチンとヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンも定期接種化されています。 BCGは結核を予防する生ワクチンで、生後5か月から8か月未満の間に管針法(スタンプ式)で経皮接種します。通常は接種から10日ほど経って針跡が赤くなり、4〜6週後に発赤・腫脹・膿疱形成・痂皮化を経て、3か月程度で治癒瘢痕となります。一方、接種後24〜72時間以内という早い時期に強い発赤・腫脹・化膿が出現する反応をコッホ現象といい、接種前から結核に感染していた可能性を示唆する所見です。コッホ現象を疑った場合は速やかに医療機関を受診し、胸部X線やインターフェロンγ遊離試験(IGRA)などで結核感染の有無を評価します。 幼児期(1〜6歳未満)の定期予防接種には、麻しん風しん混合(MR)ワクチン第1期(1歳時)、水痘ワクチン(1〜3歳未満で2回)、日本脳炎第1期(標準は3歳から)、四種混合の追加接種、MR第2期(小学校入学前年度)などがあります。水痘ワクチンは平成26年(2014年)10月から定期接種化された生ワクチンで、幼児期に定期接種として実施される代表的なワクチンとして覚えておきましょう。

HPVワクチンと最新の運用

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、子宮頸がんの予防を目的とした不活化ワクチンで、小学6年生から高校1年生相当の女子を定期接種の対象としています。接種は上腕三角筋への筋肉内注射で行われます。2013年に積極的勧奨が一時差し控えられましたが、2022年4月から積極的勧奨が再開され、対象年齢を逃した平成9年度〜平成19年度生まれの女性を対象とするキャッチアップ接種も実施されています。

新生児マススクリーニング

新生児マススクリーニングは、生まれて間もない新生児を対象に行われる先天性代謝異常等検査で、症状が出現する前に治療可能な疾患を発見し、早期治療によって知的障害や重篤な合併症を防ぐことを目的とする公衆衛生事業です。 検査は生後4〜6日目の早期新生児期に実施され、児の足底(踵)から微量の血液を採取し、濾紙にしみこませた濾紙血を用いて行います。対象疾患には、フェニルケトン尿症・メープルシロップ尿症・ホモシスチン尿症などのアミノ酸代謝異常症、ガラクトース血症などの糖代謝異常症、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、先天性副腎過形成症などの内分泌疾患が含まれます。近年はタンデムマス法の導入により、脂肪酸代謝異常症や有機酸代謝異常症など、検出できる疾患の幅がさらに広がっています。 看護師は、保護者に対して検査の意義と方法を丁寧に説明し、採血時の児の保温と苦痛緩和に努めるとともに、結果が出るまでの不安に寄り添う関わりを行います。

まとめ

定期予防接種は予防接種法に基づき市町村が実施する公的事業で、A類疾病とB類疾病に分類されます。2013年にはHibワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・HPVワクチンの3種が同時に定期接種化され、2014年からは水痘ワクチンも幼児期の定期接種となりました。BCGは生後5〜8か月未満に経皮接種する生ワクチンで、接種後早期の強い反応はコッホ現象を疑います。HPVワクチンは小6〜高1相当の女子に三角筋への筋肉内注射で接種されます。新生児マススクリーニングは生後4〜6日目に足底からの濾紙血で行い、フェニルケトン尿症や先天性甲状腺機能低下症など治療可能な先天性疾患を早期発見します。対象年齢・接種経路・実施時期・対象疾患を正確に区別して覚えることが、国試対策の要となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    平成25年(2013年)4月に定期接種化され、乳児の細菌性髄膜炎などの侵襲性感染症を予防するワクチンはである。

  2. 2.

    平成26年(2014年)10月から定期接種となり、1歳以上3歳未満で2回接種する幼児期の代表的な生ワクチンはである。

  3. 3.

    BCG接種後24〜72時間以内に接種部位の強い発赤・腫脹・化膿がみられ、結核感染の可能性を示す現象をという。

  4. 4.

    BCGは結核を予防する生ワクチンで、生後か月から8か月未満の間に管針法で経皮接種するのが標準である。

  5. 5.

    子宮頸がん予防を目的とする定期予防接種で、小学6年〜高校1年相当の女子を対象とし、上腕三角筋への筋肉内注射で行うワクチンはである。

  6. 6.

    新生児マススクリーニング検査は、通常生後日目の早期新生児期に足底から採取した濾紙血を用いて実施される。

  7. 7.

    新生児マススクリーニングの対象疾患のうち、早期発見・早期治療により知的障害を予防できる内分泌疾患の代表例はである。

  8. 8.

    新生児マススクリーニングで、1回の採血から脂肪酸代謝異常症や有機酸代謝異常症など多数の疾患を同時に検出できる検査法をという。

  9. 9.

    注射生ワクチン同士を接種する場合は、互いの効果の干渉を防ぐため日以上の接種間隔を空ける必要がある。

定期予防接種と新生児マススクリーニング」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。