先天性水頭症とV-Pシャント
小児看護学 / 小児神経・運動器・発達障害
解説
先天性水頭症は、生まれつきの脳脊髄液(髄液)の循環や吸収の障害により、脳室内に髄液が過剰にたまって脳室が拡大し、頭蓋内圧が上昇する疾患です。乳児では大泉門の膨隆、頭囲の異常な拡大、嘔吐、不機嫌、落陽現象(眼球が下方に偏位する徴候)などが現れます。治療として広く行われるのが、脳室から腹腔へ髄液を流す**脳室-腹腔シャント(V-Pシャント)**の造設術です。
V-Pシャントのしくみ
V-Pシャントは、側脳室に留置したカテーテルを耳の後ろから皮下を通し、腹腔内へ髄液を排出する経路です。途中にあるバルブが圧や流量を調整し、過剰な髄液を持続的に腹腔へ流して頭蓋内圧亢進を防ぎます。腹腔に流された髄液は腹膜から吸収されます。
腹腔内圧との関係
V-Pシャントは、頭蓋内圧と腹腔内圧の差によって髄液が流れる構造です。そのため腹腔内圧が高くなると髄液の流れが悪くなり、シャント機能が低下します。便秘で腸内にガスや便がたまると腹腔内圧が上昇し、シャント不全から頭蓋内圧亢進を招く危険があります。定期受診や日常観察で便秘の有無を確認することは、最も優先度の高い項目のひとつです。
シャントトラブルと観察ポイント
V-Pシャントの代表的なトラブルは、閉塞・断裂・感染の三つです。閉塞や断裂が起きると髄液が流れず、頭蓋内圧亢進症状として頭痛、嘔吐、意識レベル低下、不機嫌、活動性の低下、発熱が現れます。乳幼児では大泉門の膨隆や易刺激性も重要なサインです。感染では発熱に加え、シャント走行部の発赤や腫脹がみられます。家庭ではこれらの早期発見と、排便コントロール、頭部の打撲予防が大切です。
家族への支援と相談窓口
障害をもつ子どもを育てる家族は、育児不安、心理的孤立、経済的負担など複数の課題を抱えます。地域における第一の相談窓口は、地域保健法に基づき市町村が設置する市町村保健センターです。保健師・助産師・栄養士などが配置され、乳幼児健診や育児相談、医療的ケア児を含む母子の継続支援、福祉課や障害児相談支援事業所との連携を担います。
利用できる制度には、20歳未満の重度障害児を養育する保護者に支給される特別児童扶養手当、小児慢性特定疾病医療費助成、自立支援医療(育成医療)、ひとり親家庭への児童扶養手当などがあります。2021年施行の医療的ケア児支援法により、各都道府県に医療的ケア児支援センターも設置されています。
まとめ
先天性水頭症ではV-Pシャントにより髄液を腹腔へ流し、頭蓋内圧亢進を防ぎます。腹腔内圧の上昇はシャント機能を低下させるため、便秘の予防が重要です。閉塞・断裂・感染の徴候を早期にとらえ、家族への心理的・経済的支援を保健センターなど地域資源と連携して行うことが、退院後の生活を支える鍵となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
先天性水頭症では脳脊髄液が脳室内に過剰にたまり、をきたす。
- 2.
V-Pシャントは脳室からへ髄液を流す経路である。
- 3.
V-Pシャント留置児ではにより腹腔内圧が上昇すると、シャント機能が低下する危険がある。
- 4.
V-Pシャントの代表的なトラブルは閉塞・断裂・の3つである。
- 5.
乳児の頭蓋内圧亢進症状として、大泉門のや嘔吐、不機嫌がみられる。
- 6.
障害児を持つ家族の地域における第一の相談窓口として、市町村が地域保健法に基づき設置するのはである。
- 7.
20歳未満の重度障害児を養育する保護者に支給される手当をという。
- 8.
2021年に施行され、各都道府県に支援センター設置を定めた法律はである。
