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圧迫骨折とフレイル

老年看護学 / 運動器・転倒・リハビリ

解説

今回は高齢者の圧迫骨折とフレイルについて解説します。両者は密接に関連しており、加齢に伴う心身の脆弱化が転倒・骨折を招き、骨折によってさらに活動性が低下するという悪循環を理解することが、国試対策の要となります。

圧迫骨折とは

圧迫骨折とは、椎体(背骨を構成する一つひとつの骨)が上下方向の圧力によって押しつぶされるように変形する骨折のことです。多くは胸椎下部から腰椎にかけて発生し、高齢女性に多くみられます。原因の大半は骨粗鬆症による椎体の脆弱化であり、しりもち・転倒といった軽微な外力、さらには重い物を持ち上げる・くしゃみをするといった日常動作だけでも発症することがあります。骨が脆くなっているため、明らかな受傷機転がないまま気づかないうちに骨折している「いつのまにか骨折」も少なくありません。

症状と経過

主な症状は、急性期の腰背部痛と、それに伴う体動制限です。寝返りや起き上がりで痛みが増強し、立位・歩行が困難になります。骨折が進行すると椎体の前方が楔状に変形し、背中が丸くなる円背(亀背)や身長の短縮が生じます。多発例では呼吸機能の低下や消化器症状(食欲低下、逆流性食道炎)を併発することもあります。神経症状(下肢のしびれ・麻痺、膀胱直腸障害)が出現する場合は脊髄や馬尾の圧迫が疑われるため、緊急の対応が必要となります。

治療と看護

治療は安静と疼痛コントロール、コルセットによる体幹固定が基本で、症状に応じて活性型ビタミンD製剤やビスホスホネート製剤など骨粗鬆症治療薬が併用されます。看護では、長期臥床による廃用症候群(筋力低下・関節拘縮・褥瘡・誤嚥性肺炎・深部静脈血栓症など)を防ぐため、疼痛緩和を図りつつ早期離床を促すことが重要です。退院後の転倒予防、住環境調整、服薬管理も含めた包括的な支援が求められます。

フレイルとは

フレイルとは、加齢に伴って心身の予備能力が低下し、健常な状態と要介護状態の中間に位置する「虚弱」な状態を指します。日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、英語の frailty に由来します。重要なのは、フレイルが可逆的な状態であるという点です。適切な介入(運動・栄養・社会参加)を行うことで健常な状態に戻すことが可能であり、早期発見と早期介入が予後を大きく左右します。

フレイルの診断基準

国際的に広く用いられているのがFriedの基準(CHS基準)で、日本では基準を一部改訂したJ-CHS基準が使用されます。評価項目は以下の5つです。第一に体重減少(6か月で2〜3kg以上の意図しない減少)、第二に主観的疲労感(わけもなく疲れた感じがする)、第三に歩行速度の低下(おおむね1.0m/秒未満)、第四に握力低下(男性28kg未満、女性18kg未満)、第五に身体活動量の低下(軽い運動や定期的な運動をしていない)です。これら5項目のうち3項目以上該当でフレイル、1〜2項目該当でプレフレイル、該当なしで健常と判定します。

フレイルとサルコペニア

フレイルと関連の深い概念にサルコペニアがあります。サルコペニアは加齢に伴う骨格筋量の減少と筋力・身体機能の低下を指し、フレイルの身体的側面の基盤をなす病態です。低栄養はサルコペニアを進行させ、サルコペニアは活動性低下と転倒・骨折を招き、さらなる低栄養を生む「フレイル・サイクル」が形成されます。BMI(体重÷身長の二乗)が18.5未満は低体重とされ、フレイルやサルコペニアのリスクが高まります。

圧迫骨折とフレイルの関連

圧迫骨折とフレイルは互いに原因と結果の関係にあります。フレイル状態にある高齢者は筋力低下とバランス能力低下により転倒しやすく、骨粗鬆症と相まって軽微な外力でも圧迫骨折を起こします。逆に圧迫骨折後の安静臥床は筋力低下・低栄養を加速させ、フレイルを悪化させます。したがって看護では、骨折治療と並行してフレイル評価を行い、栄養指導・リハビリテーション・社会的支援を統合的に提供することが重要です。退院後は介護保険サービス(家事援助、訪問看護、デイサービス等)の活用、介護支援専門員(ケアマネジャー)との連携、状態変化時の区分変更申請なども視野に入れた継続的な支援が求められます。

まとめ

圧迫骨折は骨粗鬆症を背景に胸椎・腰椎に好発する高齢者の代表的な骨折で、軽微な外力でも発症します。フレイルは健常と要介護の中間状態であり、Fried基準・J-CHS基準の5項目(体重減少・疲労感・歩行速度低下・握力低下・身体活動低下)のうち3項目以上該当で診断されます。フレイルは可逆的であり、早期介入により改善可能です。両者は転倒・骨折・廃用の悪循環で結びつくため、看護師はフレイル評価と骨折予防、退院後の生活支援を統合的に行う必要があります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    椎体が上下方向の圧力で押しつぶされるように変形する骨折をといい、胸椎下部から腰椎に好発する。

  2. 2.

    高齢女性の圧迫骨折の最大の原因は、骨密度の低下によって椎体が脆弱化するである。

  3. 3.

    加齢に伴い心身の予備能力が低下し、健常と要介護の中間に位置する虚弱な状態をという。

  4. 4.

    フレイルは適切な介入により健常な状態に戻すことが可能であり、な状態であることが重要な特徴である。

  5. 5.

    フレイルの代表的な診断基準であるでは、体重減少・主観的疲労感・歩行速度低下・握力低下・身体活動低下の5項目で評価する。

  6. 6.

    Friedの基準では、5項目のうち項目以上該当でフレイルと判定する。

  7. 7.

    加齢に伴う骨格筋量の減少と筋力・身体機能の低下を指し、フレイルの身体的基盤をなす病態をという。

  8. 8.

    要介護認定後、状態変化により現在の介護度が実態と合わなくなった場合、市町村にを行うことができる。

  9. 9.

    圧迫骨折後の長期臥床により、筋力低下・関節拘縮・褥瘡・誤嚥性肺炎などが生じる状態をという。

圧迫骨折とフレイル」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。