高齢者の排尿機能変化
老年看護学 / 排泄機能と援助
解説
今回は高齢者の排尿機能変化について解説します。 加齢に伴って腎臓・膀胱・尿道といった泌尿器の構造と機能はゆるやかに変化し、若年成人とは異なる排尿パターンを示すようになります。看護師国家試験では「出しきれない・ためられない・夜間に多い」という三方向の変化が繰り返し問われるため、それぞれの仕組みを基礎から理解しておくことが重要です。
加齢による腎臓・尿生成の変化
腎臓は血液をろ過して尿をつくる臓器であり、ろ過能力は糸球体濾過量(GFR)で表されます。加齢により糸球体の数が減少し、腎血流量と糸球体濾過量はともに低下します。また、尿を濃く濃縮する尿濃縮能も低下するため、高齢者ではうすい尿が多く出る傾向となり、尿比重は低下します。 さらに、夜間に水分を体内に保つよう働く抗利尿ホルモン(ADH、バソプレシン)の分泌リズムが乱れます。本来ADHは夜間に多く分泌されて尿量を減らしますが、高齢者ではこのリズムが崩れるため、夜間につくられる尿量が増える夜間多尿が起こります。これが夜間頻尿の主な原因です。
加齢による膀胱・尿道の変化
膀胱は尿をためる袋状の臓器で、内側の平滑筋(排尿筋)が収縮することで尿を排出します。加齢に伴い膀胱平滑筋の弾性が低下し、ためられる量である膀胱容量は減少します。そのため少ない尿量で尿意を感じ、頻尿となります。 一方で、排尿時に膀胱を絞り出す排尿筋の収縮力も弱まるため、一度に尿を出しきれず残尿量は増加します。残尿は細菌の温床となり尿路感染症の原因になるほか、あふれ出すように漏れる溢流性尿失禁を引き起こします。 男性では加齢とともに前立腺が大きくなる前立腺肥大が起こり、尿道が圧迫されて排尿困難や残尿増加につながります。女性では出産や加齢で骨盤底筋群がゆるみ、咳やくしゃみなど腹圧がかかったときに漏れる腹圧性尿失禁が増えます。
高齢者の尿失禁の分類
尿失禁は原因によって四つに分類されます。腹圧性尿失禁は腹圧上昇で漏れるもの、切迫性尿失禁は強い尿意を我慢できずに漏れるもので過活動膀胱が代表的です。溢流性尿失禁は残尿が多すぎてあふれるもの、機能性尿失禁は排尿機能自体は保たれているのに、認知症や運動機能低下のためトイレに間に合わず漏れるものです。
まとめ
高齢者では腎臓の濾過能・濃縮能の低下とADH分泌リズムの乱れにより、尿比重が低下し夜間多尿となります。膀胱では容量減少による頻尿、排尿筋収縮力低下による残尿増加が同時に起こります。男性は前立腺肥大、女性は骨盤底筋群の弛緩が加わり、腹圧性・切迫性・溢流性・機能性の各尿失禁が生じやすくなります。これらの変化を正確に押さえることが国試対策と高齢者看護の基本となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
加齢に伴い膀胱平滑筋の弾性が低下するため、尿をためられる量であるは減少し、頻尿の原因となる。
- 2.
高齢者では排尿筋の収縮力が低下し、一度に尿を出しきれないためが増加する。これは尿路感染や溢流性尿失禁の原因となる。
- 3.
高齢者では夜間に分泌されるはずのの分泌リズムが乱れることで、夜間多尿となり夜間頻尿が生じる。
- 4.
加齢により腎臓の尿濃縮能が低下するため、希釈された尿が多く排泄されは低下する。
- 5.
残尿が膀胱の容量を超えてあふれ出るように尿が漏れる尿失禁をという。
- 6.
咳やくしゃみなどで腹圧が上昇したときに尿が漏れる尿失禁をといい、女性では骨盤底筋群の弛緩が原因となる。
- 7.
強い尿意を我慢できずに漏れてしまう尿失禁をといい、過活動膀胱が代表的な原因である。
- 8.
認知症や運動機能低下のためにトイレまで間に合わず漏れる尿失禁をという。
- 9.
男性高齢者で尿道を圧迫し、排尿困難や残尿増加の原因となる加齢変化をという。
