加齢で泌尿器系はどう変わる?高齢者の腎・膀胱の変化を体系的に押さえる
看護師国家試験 第115回 午後 第87問
国試問題にチャレンジ
加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.尿濃縮力の亢進
- 2.排尿回数の減少
- 3.膀胱収縮力の低下
- 4.尿細管の基底膜の肥厚
- 5.糸球体濾過量〈GFR〉の増加
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
加齢に伴う腎・尿路系の構造的および機能的変化を、正常加齢の方向性(亢進か低下か)として正確に理解できているかを問う基礎問題である。
解答・解説
正解は3です
問題文:加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は3(膀胱収縮力の低下)と4(尿細管の基底膜の肥厚)である。加齢に伴い、腎臓では糸球体硬化や尿細管基底膜の肥厚といった構造的変化が進行し、機能面では糸球体濾過量(GFR)や尿濃縮力の低下、薬物排泄能の低下が生じる。膀胱・下部尿路では、排尿筋(膀胱平滑筋)の収縮力低下と膀胱容量の減少が起こり、残尿の増加、排尿回数の増加、夜間頻尿、尿失禁などの下部尿路症状が出現しやすくなる。これらは脱水・電解質異常・尿路感染症・薬物有害事象などの高齢者特有のリスクに直結するため、看護では水分摂取、排尿パターンの把握、薬剤投与量の調整、転倒予防(夜間頻尿対策)など多面的な配慮が求められる。
選択肢考察
- ×1. 尿濃縮力の亢進
誤り。加齢により髄質の浸透圧勾配が低下し、抗利尿ホルモン(ADH)に対する集合管の反応性も鈍化するため、尿濃縮力はむしろ低下する。その結果、夜間尿量が増加し脱水を起こしやすくなる。
- ×2. 排尿回数の減少
誤り。膀胱容量の減少、排尿筋の不随意収縮(過活動膀胱)の増加、夜間の抗利尿ホルモン分泌リズムの乱れなどにより、高齢者ではむしろ排尿回数が増加する。とくに夜間頻尿は高齢者で頻度が高い。
- ○3. 膀胱収縮力の低下
正しい。加齢により膀胱平滑筋(排尿筋)の収縮力が低下し、有効な排尿が困難になる。これにより残尿量が増加し、溢流性尿失禁や尿路感染症のリスクが高まる。男性では前立腺肥大も加わり、排尿障害をさらに増悪させる。
- ○4. 尿細管の基底膜の肥厚
正しい。加齢に伴う腎の組織変化として、糸球体数の減少、糸球体硬化、尿細管萎縮、間質線維化とともに尿細管基底膜の肥厚がみられる。これらの構造変化はGFRの低下や薬物排泄遅延と密接に関連する。
- ×5. 糸球体濾過量〈GFR〉の増加
誤り。GFRは40歳以降おおむね年間1mL/分/1.73m²前後ずつ低下するとされ、高齢者では明らかに減少する。腎血流量も減少するため、造影剤や腎排泄性薬物(ジゴキシン、アミノグリコシドなど)の使用には注意が必要である。
高齢者の泌尿器系の変化は『腎機能の低下』と『下部尿路機能の低下』の2軸で整理すると覚えやすい。腎機能では、ネフロン数の減少・糸球体硬化・尿細管基底膜の肥厚といった構造変化と、GFR低下・尿濃縮力低下・薬物クリアランス低下といった機能変化が起こる。下部尿路では、膀胱容量の減少、排尿筋収縮力の低下、不随意収縮の増加、骨盤底筋群の脆弱化が生じ、頻尿・夜間頻尿・尿失禁・残尿増加につながる。臨床では、夜間頻尿による転倒、残尿による尿路感染、脱水・薬物中毒のリスクを念頭に置いた看護が重要である。血清クレアチニン値は筋肉量の少ない高齢者では低めに出るため、eGFRやクレアチニンクリアランスで腎機能を評価する点も押さえておきたい。
加齢に伴う腎・尿路系の構造的および機能的変化を、正常加齢の方向性(亢進か低下か)として正確に理解できているかを問う基礎問題である。
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