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嚥下障害と誤嚥性肺炎予防

老年看護学 / 高齢者の疾患・身体ケア

解説

嚥下障害とは、食物や水分を口から胃へ送り込む一連の過程に支障をきたした状態をいいます。今回は嚥下障害と誤嚥性肺炎の予防について解説します。

嚥下のしくみと加齢による変化

嚥下は口腔期・咽頭期・食道期の三相から成り立ちます。咽頭期では、舌骨と喉頭が挙上し喉頭蓋が気管の入り口をふさぐことで、食塊が誤って気道に入らないよう制御されています。

加齢に伴って舌筋・喉頭挙上筋群・咽頭収縮筋などの嚥下関連筋の筋力が低下し、喉頭の位置も下がる(喉頭下垂)ため、嚥下のタイミングがずれやすくなります。さらに気道粘膜の感覚神経が鈍麻し、誤って気道に入った異物に対する咳嗽反射が起こりにくくなります。その結果、本人も周囲も気づかないうちに唾液や食物が気道へ流れ込む不顕性誤嚥(silent aspiration)が増加し、これが高齢者における誤嚥性肺炎の主要な発症機序となります。

誤嚥性肺炎予防の基本ケア

誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)は、口腔・咽頭の細菌を含む唾液や食物が気道に流入して生じる肺炎で、高齢者の死因として頻度が高い疾患です。予防の柱は、食事の工夫と口腔ケアです。

食事時の姿勢は、頸部をやや前屈させ顎を引いた頸部前屈位が基本です。仰臥位での摂食は誤嚥のリスクを高めるため避けます。食物形態は液体ほど誤嚥しやすいため、必要に応じてとろみ剤を用いて粘度を調整し、一口量は少なくしてゆっくり嚥下させます。食後はすぐに臥床させず、胃食道逆流による誤嚥を防ぐため30分以上は坐位を保持します。就寝時も上半身を挙上したヘッドアップ位とすることで、夜間の不顕性誤嚥を予防できます。

口腔ケアと嚥下訓練

口腔内の細菌数を減らすことは誤嚥性肺炎予防の要であり、食前・食後・就寝前の口腔ケアが重視されます。嚥下障害がある患者では、ブラッシング中の水分や唾液、食物残渣そのものを誤嚥する危険があるため、口腔内を吸引しながらブラッシングすることで誤嚥を防ぎつつ細菌量を減らします。

嚥下機能の評価には、反復唾液嚥下テスト(RSST)改訂水飲みテスト(MWST)、嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡検査(VE)などがあります。また嚥下体操や構音訓練により嚥下関連筋を鍛えることも有効です。肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種も予防策として推奨されます。

まとめ

加齢により嚥下関連筋の筋力低下と咳嗽反射の低下が生じ、不顕性誤嚥を介して誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。予防には、頸部前屈位での摂食、とろみ食、一口量の調整、食後の坐位保持、徹底した口腔ケアが基本となり、嚥下障害例では吸引併用下のブラッシングが安全です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    加齢により嚥下関連筋の筋力低下と気道感覚の鈍麻が生じ、誤嚥してもが起こりにくくなる。

  2. 2.

    本人も周囲も気づかないうちに唾液や食物が気道に流入する現象を(silent aspiration)という。

  3. 3.

    口腔・咽頭の細菌を含む内容物が気道に入って生じる肺炎を(aspiration pneumonia)という。

  4. 4.

    嚥下障害のある患者の食事時には、頸部をやや前屈させ顎を引いたを基本とする。

  5. 5.

    液体は誤嚥しやすいため、を用いて粘度を調整する。

  6. 6.

    食後は胃食道逆流による誤嚥を防ぐため分以上の坐位を保持する。

  7. 7.

    軽度の嚥下障害がある患者の口腔ケアでは、誤嚥を防ぐためする。

  8. 8.

    嚥下機能の簡易評価法として、反復唾液嚥下テスト(RSST)や(MWST)が用いられる。

嚥下障害と誤嚥性肺炎予防」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。