StudyNurse

家族介護者の支援

老年看護学 / 老年看護総論・その他

解説

家族介護者の支援とは、要介護者を在宅で支える家族の心身の負担を軽減し、介護を継続できる環境を整えるための援助のことをいいます。今回は家族介護者の支援について解説します。

家族介護者の現状

わが国における家族介護者の状況は、厚生労働省が3年ごとに大規模調査を行う国民生活基礎調査によって把握されています。この調査では、要介護者の年齢や介護を必要とする原因、主に介護を行う者(主介護者)の続柄や年齢、性別、介護時間などが明らかにされ、在宅介護の実態を示す基礎資料として活用されています。

平成28年(2016年)の調査では、主介護者の続柄をみると、要介護者と同居している家族が約58.7%とおよそ6割を占めており、残りの約4割を別居の家族や事業者などが担っています。同居家族の内訳では、配偶者が25.2%で最も多く、続いて子が21.8%、子の配偶者が9.7%となっています。また、別居の家族による介護が約12.2%、事業者によるものが約13.0%を占めています。

経年的にみると、同居家族が介護を担う割合は徐々に減少し、別居の家族や事業者が担う割合が増加しています。これは核家族化の進行、高齢化、女性の社会進出といった社会構造の変化を反映しています。

主介護者の続柄・性別・年齢

主介護者の性別は女性が66.0%、男性が34.0%で、依然として女性が多くを占めています。年齢構成をみると60〜69歳が最も多く、要介護者と主介護者がともに60歳以上である世帯は約7割に達しています。配偶者間や親子間で高齢者同士が介護を担う状況が一般化していることがわかります。

介護をめぐる新たな課題

高齢化の進展に伴い、家族介護にはさまざまな新しい課題が生じています。高齢の夫婦や親子で介護し合う老老介護は、介護者自身の健康悪化や共倒れのリスクをはらんでいます。介護者と要介護者の双方に認知症がある認認介護では、服薬管理や金銭管理が困難となり、安全確保が大きな問題となります。

さらに、育児と介護を同時に担うダブルケア、仕事と介護を両立するビジネスケアラーも増加しています。介護を理由に離職する介護離職は本人の生活基盤を揺るがすだけでなく、社会全体の労働力低下にもつながるため、社会的な課題として注目されています。

介護者のストレスとその原因

国民生活基礎調査では、同居の主介護者が抱える悩みやストレスの原因についても調査されています。男女ともに第1位は**「家族の病気や介護」**そのもので、平成22年の調査では男性68.7%、女性74.5%と高い割合を示しています。次いで自身の病気や収入・家計などが続きます。介護そのものが心身に大きな負担を与えていることが読み取れます。

家族介護者支援の具体的方法

家族介護者を支える代表的な手段がレスパイトケアです。レスパイトとは「休息」の意味で、短期入所生活介護(ショートステイ)、通所介護(デイサービス)、訪問介護などを利用して介護者が一時的に介護から離れ、心身を休める時間を確保します。

また、相談窓口として地域包括支援センターが設置されており、介護保険サービスの調整や権利擁護、虐待対応まで幅広く担います。仕事と介護の両立のためには、育児・介護休業法に基づく介護休業制度を活用できます。さらに、同じ立場の介護者同士が支え合う家族会や認知症カフェなどのピアサポートも心理的支援として有効です。

看護師のかかわり

看護師は、まず介護者の話を傾聴して状況を把握し、介護負担感をアセスメントします。評価にはZarit介護負担尺度などが用いられます。次に必要な社会資源を紹介し、ケアマネジャーや医師、行政との多職種連携につなげます。介護うつや高齢者虐待のリスクも常に念頭に置き、早期発見と予防に努めることが大切です。

まとめ

家族介護者は要介護者の生活を支える重要な存在ですが、その多くが高齢の同居家族で、ストレスや健康問題を抱えやすい状況にあります。看護師は社会的背景を理解したうえで、レスパイトケアや相談窓口、介護休業制度などの社会資源を活用しながら、介護者自身の生活と健康を守る視点で支援を行うことが求められます。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    国民生活基礎調査は厚生労働省が年ごとに大規模調査として実施している。

  2. 2.

    平成28年の国民生活基礎調査において、主介護者が要介護者と同居している割合はおよそ割である。

  3. 3.

    同居の主介護者の続柄ではが最も多い。

  4. 4.

    主介護者の性別はが約66%を占めている。

  5. 5.

    要介護者と主介護者がともに60歳以上である世帯は約7割に達しており、これをという。

  6. 6.

    育児と介護を同時に担う状況をという。

  7. 7.

    同居の主介護者のストレスや悩みの原因として男女ともに第1位はである。

  8. 8.

    介護者の休息確保のためにショートステイなどを利用する支援をという。

  9. 9.

    在宅介護に関する総合的な相談窓口として市町村に設置されているのはである。

  10. 10.

    介護負担感を評価するために用いられる代表的な尺度は介護負担尺度である。

家族介護者の支援」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。