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高齢者の就労と社会参加

老年看護学 / 老年看護総論・その他

解説

今回は高齢者の就労と社会参加について解説します。日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入しており、65歳以上の高齢者がいかに働き、社会とつながりを持ち続けるかは、国民の健康・福祉政策の中心的なテーマとなっています。看護師国家試験では、就業構造基本調査や内閣府の意識調査といった統計データの数値だけでなく、その背景にある社会的意義や、高齢者の就労を支える法律・制度についても繰り返し問われています。

高齢者の就労の現状

高齢者の就労状況を把握する代表的な統計が、総務省が5年ごとに実施する就業構造基本調査です。この調査は、国民の就業・不就業の実態を全国規模で明らかにすることを目的としており、雇用形態や産業、収入などの詳細を把握できます。 平成24年(2012年)の就業構造基本調査によると、65歳以上の高齢者では非正規雇用の割合が極めて高いことが特徴です。具体的には、65〜69歳の就業者のうち非正規職員・従業員の割合は約78%、70〜74歳では約72%にのぼり、15〜64歳の生産年齢人口の非正規割合(約35〜38%)と比べてはるかに高い水準にあります。これは、企業の定年退職を迎えた後に、再雇用・嘱託・パート・アルバイトといった非正規形態で働き続ける高齢者が多いためです。 高齢者が就労を続ける理由は経済的なものだけではありません。社会参加による役割の獲得、健康の維持、生きがいの確保、長年培った技能の伝承など、多面的な意義があります。人生100年時代を見据え、高齢者の働き方は今後ますます多様化していくと考えられます。

高齢者の雇用を支える法律

高齢者の就労を制度面から支えるのが、**高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)**です。この法律により、企業には65歳までの雇用確保(定年延長・継続雇用制度・定年廃止のいずれか)が義務付けられています。さらに2021年(令和3年)4月からは、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務とされ、シニア世代の活躍の場が一層広がりつつあります。

高齢者の社会参加

高齢者の社会参加は、フレイル予防や認知症予防の観点からも極めて重要とされています。社会的つながりを保ち、役割を担うことは、心身の健康維持に直結する保護因子です。 内閣府が実施した平成25年(2013年)の**「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」によると、高齢者が実際に参加している活動のうち最も割合が高かったのは健康・スポーツ**で、約33.7%でした。次いで趣味、地域行事と続きます。これは、健康増進や介護予防への関心の高まりを反映した結果といえます。 背景には、健康日本21(第二次)、健康増進法、介護保険法に基づく介護予防事業など、地域における健康づくり活動を後押しする各種政策の存在があります。介護保険制度の地域支援事業の総合事業では、ウォーキング教室や体操サロンといった、社会参加と介護予防を同時に実現する取り組みが全国で展開されています。

シルバー人材センター

退職した高齢者に就労機会を提供する代表的な公益団体がシルバー人材センターです。シルバー人材センターは高年齢者雇用安定法に基づき設置され、定年退職後の概ね60歳以上の高齢者を会員として、臨時的・短期的または軽易な就業の機会を提供する組織です。地域の家庭・企業・公共団体などから請け負った仕事を、会員に紹介します。 シルバー人材センターでの就業は雇用関係ではなく、請負または委任の形式で行われるため、最低賃金法は適用されず、報酬は配分金として支払われます。働く高齢者に生きがいと健康増進をもたらすと同時に、地域社会への貢献を果たす仕組みとして全国の市区町村に広く設置されています。

まとめ

高齢者の就労については、平成24年就業構造基本調査において65〜74歳の就業者の多くが非正規雇用であることを押さえておきましょう。社会参加に関する活動では、平成25年の意識調査で健康・スポーツが最多であることが重要です。退職した高齢者に就労機会を提供する機関としてはシルバー人材センターが代表的で、高年齢者雇用安定法を根拠に設置されています。さらに、企業に対する65歳までの雇用確保義務と70歳までの就業機会確保の努力義務化など、法制度の進展もあわせて理解しておくことが、国家試験対策として求められます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    総務省が5年ごとに実施し、高齢者の就労状況を把握する代表的な統計調査をという。

  2. 2.

    平成24年(2012年)の就業構造基本調査において、65歳以上75歳未満の高齢者の就業者で最も多い雇用形態はである。

  3. 3.

    企業に65歳までの雇用確保を義務付け、70歳までの就業機会確保を努力義務としている法律をという。

  4. 4.

    平成25年(2013年)の内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」で、高齢者が参加している活動のうち最も割合が高かったのはである。

  5. 5.

    退職した概ね60歳以上の高齢者に対し、臨時的・短期的または軽易な就労機会を提供する公益団体をという。

  6. 6.

    シルバー人材センターでの就業は雇用関係ではなくまたは委任の形式で行われるため、最低賃金法は適用されない。

  7. 7.

    高齢者の社会参加は、心身の虚弱化であるの予防や認知症予防に有効である。

高齢者の就労と社会参加」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。