高齢者の検査前準備
老年看護学 / 老年看護総論・その他
解説
今回は高齢者の検査前準備について解説します。
高齢者の検査前準備の基本
高齢者は複数の既往歴や常用薬を持つことが多く、検査前には全身状態と併存疾患の確認が欠かせません。検査で使用される薬剤や処置が、既存疾患を悪化させる危険があるためです。特に抗コリン薬は内視鏡検査で頻用されますが、前立腺肥大症、緑内障、頻脈性不整脈を有する患者では禁忌となるため、問診で必ず確認します。さらに義歯や補聴器、貼付薬の有無、絶飲食の遵守状況、排便・排尿状態などを把握し、安全に検査が行える環境を整えることが看護の役割です。
上部消化管内視鏡検査の前処置
上部消化管内視鏡検査では、前夜21時以降の絶食を指示し、当日は胃内の泡を消すために消泡剤(ジメチコン)を内服させます。咽頭反射を抑制するためにキシロカインビスカスによる咽頭麻酔を行い、胃蠕動を抑える目的でブチルスコポラミン(抗コリン薬)を投与します。前立腺肥大症や緑内障、重症心疾患を有する場合は抗コリン薬を投与できないため、代替薬としてグルカゴンを使用します。ただしグルカゴンは血糖を上昇させるため糖尿病患者には使用できません。必要に応じてミダゾラムなどの鎮静薬を併用します。検査後は咽頭麻酔が切れるまで誤嚥防止のため絶飲食とし、飲水テストでむせがないことを確認してから食事を再開します。生検を施行した場合は出血予防のため、熱い物や刺激物、アルコールを当日は避けるよう指導します。
大腸内視鏡検査の前処置
大腸内視鏡検査では、検査前日から低残渣食とし、当日はモビプレップやマグコロールPなどの腸管洗浄剤を内服して腸内容を排出します。検査中は腸蠕動抑制とスコープ操作を容易にするため、抗コリン薬を静注します。抗コリン薬の副作用には尿閉、排尿困難、頻脈、口渇、眼圧上昇があり、前立腺肥大症のある男性では急性尿閉のリスクが高まるため禁忌です。閉塞隅角緑内障、頻脈性不整脈、麻痺性イレウスでも禁忌で、これらの患者にはグルカゴンを選択します。検査後は腹部膨満感が残るため、排ガスを促す体位や歩行を支援します。
MRI検査前の確認事項
MRIは強力な磁場を用いるため、体内外の金属類が事故や画像不良の原因となります。高齢者は義歯使用者が多く、金属床やクラスプを含む義歯は必ず外します。絶対禁忌は心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、人工内耳、古い脳動脈瘤クリップなどです。注意すべき装着物にはカラーコンタクト、カイロ、金属を含む湿布、刺青、補聴器、ワイヤー入り下着があり、湿布や刺青は熱傷の危険があります。
まとめ
高齢者の検査前準備では、既往歴と常用薬の確認に基づき禁忌薬剤を回避することが最重要です。内視鏡検査では抗コリン薬の禁忌である前立腺肥大症や緑内障を見逃さず、代替薬の準備を行います。MRIでは金属類の除去を徹底し、植込み型医療機器の有無を必ず確認することで、安全で正確な検査につながります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
上部消化管内視鏡検査で胃蠕動を抑える目的で使用される抗コリン薬はである。
- 2.
抗コリン薬は前立腺肥大症、緑内障、のある患者では禁忌である。
- 3.
抗コリン薬が使用できない場合の代替薬として用いられるが、糖尿病患者には禁忌である薬剤はである。
- 4.
上部消化管内視鏡検査の前処置として、胃内の泡を消すために内服する薬剤をという。
- 5.
上部消化管内視鏡検査では咽頭反射を抑えるためにによる咽頭麻酔を行う。
- 6.
大腸内視鏡検査の前処置で腸内容を排出するために内服する薬剤をという。
- 7.
抗コリン薬の副作用で、前立腺肥大症のある男性に急性発症のリスクがあるのはである。
- 8.
MRI検査は強力なを用いるため、体に装着している金属類が事故や画像不良の原因となる。
- 9.
MRI検査の絶対禁忌となる代表的な植込み型医療機器はである。
- 10.
高齢者のMRI検査前には、金属床やクラスプを含むを必ず取り外す必要がある。
