DPAT・こころのケア体制
看護の統合と実践 / 災害看護
解説
今回はDPATとこころのケア体制について解説します。地震・津波・豪雨などの自然災害や、航空機事故、大規模犯罪事件などの集団災害では、身体的な負傷だけでなく、恐怖や喪失体験による強い心理的反応が被災者や支援者に生じます。これらの精神的影響を軽減し、被災地の精神科医療機能の低下を補うために、専門的な支援体制が整備されています。
DPATとは
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team、災害派遣精神医療チーム)とは、自然災害や大規模事故などの発生後、被災地域の精神科医療と精神保健活動を支援するために派遣される専門チームです。チームは精神科医、看護師、業務調整員(ロジスティクス担当)などで構成され、被災者だけでなく、もともと精神疾患をもつ患者や支援者のメンタルヘルスも対象とします。
東日本大震災(2011年)の経験を踏まえ、2013年に厚生労働省によって制度化されました。組織主体は都道府県および政令指定都市で、要請に基づき被災地へ派遣されます。
活動原則SSS
DPATの活動原則は「SSS」と呼ばれます。Self-sufficiency(自己完結型で被災地に負担をかけない)、Share(積極的な情報共有)、Support(名脇役であれ=支援の主体はあくまで被災地域であり、DPATはそれを支える立場)の3つです。
先遣隊と後続隊
DPAT先遣隊は発災から48時間以内に活動を開始し、急性期の精神科医療ニーズに対応します。その後、後続隊が引き継ぎながら、通常1週間単位でローテーションを組み、継続的に支援を行います。活動にあたっては被災地の精神科医療機関、保健所、精神保健福祉センターなどと密に連携します。
他の災害医療チームとの違い
災害医療には複数の専門チームがあり、役割が明確に分かれています。DMAT(災害派遣医療チーム)は発災後48時間以内の急性期に身体的救急、特に外傷や救命を担当します。JMAT(日本医師会災害医療チーム)は亜急性期以降の医療支援を中心に活動します。DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)は被災自治体の保健医療調整機能を支援する役割を担います。これらと連携することで、被災地全体の医療ニーズに包括的に応えます。
PFA(心理的応急処置)
PFA(Psychological First Aid、心理的応急処置)は、WHOやアメリカNCTSNが手引きを公開している支援手法で、専門家でなくても実施できる点が特徴です。手順は4ステップで、(1)準備、(2)見る、(3)聞く、(4)つなぐから構成されます。被災者の安全確保とニーズの把握、傾聴、そして必要な資源につなぐことを目的とし、無理に体験を語らせない点が重要です。
心の反応の経過と継続支援
災害後の心の反応は、急性期(おおむね発災から1か月以内)と中長期(数か月〜数年)に分けて理解する必要があります。急性期には不眠、不安、過覚醒などが生じやすく、中長期にはPTSDやうつ病、アルコール依存などが顕在化することもあります。そのため、DPATによる急性期の支援後も、地域の精神保健福祉センターなどによる長期的なフォローアップが不可欠です。
まとめ
DPATは2013年に制度化された災害派遣精神医療チームで、SSSの原則に基づき発災48時間以内から活動します。DMAT・JMAT・DHEATなど他チームと役割を分担しながら、PFAの考え方を活用して急性期から中長期まで切れ目のないこころのケアを実現することが、災害時の精神保健支援の基本です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
災害発生後、被災地域の精神科医療と精神保健活動を支援するために派遣される専門チームをという。
- 2.
DPATはの経験を踏まえ、年に厚生労働省によって制度化された。
- 3.
DPATの活動原則SSSとは、Self-sufficiency()、(積極的情報共有)、Support(名脇役であれ)の3つである。
- 4.
DPAT先遣隊は発災から時間以内に活動を開始し、後続隊が通常週間単位でローテーションを組む。
- 5.
急性期の身体救急・救命を主に担う災害医療チームはであり、保健医療調整機能を支援するチームはである。
- 6.
亜急性期以降の医療支援を担う日本医師会の災害医療チームをという。
- 7.
WHOなどが手引きを公開し、専門家以外でも実施可能な心理的応急処置をといい、その4ステップは準備・見る・・である。
- 8.
DPATの構成員には精神科医、看護師、業務調整員が含まれ、組織主体はおよび政令指定都市である。
