排泄援助と排便促進
基礎看護学 / 食事・嚥下・排泄援助
解説
排泄援助とは、自力でトイレに行けない患者や排泄行動に支障のある患者に対し、安全・安楽かつ羞恥心に配慮しながら排尿・排便を介助する看護技術です。今回は排泄援助と排便促進について解説します。
排泄援助の基本原則
排泄は生命維持に欠かせない生理現象であると同時に、極めてプライベートな行為です。看護師は患者の自立度に応じて援助方法を選択し、可能な限り残存機能を活かすことが基本となります。自立度に応じた援助方法には、トイレでの排泄、ポータブルトイレ、尿器・便器(床上排泄)、おむつの使用があり、自立に近い方法を優先します。
援助時には、羞恥心への配慮、プライバシーの確保、保温、感染対策、安全(転倒防止)の五つを常に意識します。具体的には、カーテンやバスタオルで遮蔽し、同性介助を原則とし、声かけは静かに行い、処置は手早く実施します。
床上排泄の方法
床上排泄に用いる便器には洋式と和式があります。洋式便器は厚みがあるため腰を持ち上げられる患者に用い、和式便器は腰を上げにくい患者に用います。便器を当てる際は、患者に膝を立ててもらい腰部を挙上し、洋式便器の幅広い部分を仙骨側に置いて、肛門が便器の中央にくるように差し込みます。
排泄時は仰臥位のままだと腹圧がかかりにくく努責できません。そこでベッドの頭側を15〜30度程度ギャッチアップして上半身を挙上し、腹圧をかけやすい姿勢に整えることで排便を促進します。これは生理的な座位姿勢に近づける意味でも合理的です。女性ではトイレットペーパーを陰部から会陰部に沿わせて当てることで、尿の飛散や便器外への漏れを防げます。
排泄後は速やかに陰部洗浄または清拭を行い、失禁関連皮膚炎や褥瘡を予防します。終了後はカーテンを開け、寝衣・寝具を整え、室内の換気を行います。
高齢者の排泄援助
高齢者では加齢に伴う抗利尿ホルモン分泌リズムの変化、膀胱容量の低下、睡眠の浅さなどから夜間頻尿が生じやすくなります。排泄行動が自立していても、夜間に何度もトイレへ歩くことは疲労感を増し転倒リスクを高めます。このような場合、男性ではベッドサイドで臥位や座位のまま使用できる尿器の利用が有効で、自立性を保ちながら負担を軽減できます。女性ではポータブルトイレが選択肢となります。
排泄援助時の感染対策
排泄物・血液・体液・粘膜・損傷皮膚は感染性物質とみなし、**標準予防策(スタンダードプリコーション)**に基づいて対応します。これらに触れる可能性がある場合は手袋を着用し、汚染作業が終わった直後に外して手指衛生を行います。手袋は『使い捨て・単一作業・汚染後即交換』が原則で、肛門周囲を清拭した直後に手袋を外してから寝衣やカーテンを扱うことで、環境への病原体拡散を防げます。手袋を外した後は必ず石けん手洗いまたは擦式アルコールによる手指衛生を実施します。
まとめ
排泄援助では、自立度に応じた方法を選び、羞恥心とプライバシーに配慮しながら安全・安楽に行うことが重要です。床上排泄では便器の正しい位置決めとギャッチアップによる腹圧の活用、高齢者の夜間頻尿には尿器の活用、感染対策では標準予防策に基づく手袋の適切な使用と手指衛生が国試対策の要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
床上排泄で洋式便器を当てる際は、幅広い部分を側にして肛門が便器中央にくるように差し込む。
- 2.
ベッド上排泄では上半身をすることで腹圧をかけやすくし排便を促進する。
- 3.
排泄物・血液・体液などの感染性物質に触れる可能性がある場合の感染対策をという。
- 4.
汚染作業終了後の手袋は、環境への病原体拡散を防ぐために外す必要がある。
- 5.
高齢者では加齢による抗利尿ホルモン分泌リズムの変化などからが生じやすい。
- 6.
排泄行動が自立している高齢男性の夜間頻尿で疲労を訴える場合、自立性を保ちつつ負担を軽減する援助としての使用が適切である。
- 7.
排泄後の陰部清拭や洗浄を怠ると、皮膚トラブルとしてが生じやすい。
- 8.
手袋を外した後は必ずを行う必要がある。
